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Stan Getz

The Cool Sound of Stan Getz


 を 聴きながら


 **


 『……さ、では始めようか。……さて、情報を得るものを共有することが不可能になってきている原因……については、イラカ君にも解かるかな?どうぞ、言ってくれたまえ』


 衣良化イラカ『はい!師匠せんせい!それは、ネットの普及から来るテレビ離れですね』


 『おお。そうだね。有難う。イラカ君。その通りだ。核家族化が進み、テレビも個人所有になるまではまだギリギリ情報の共有化は可能だった。音楽の共有は保たれなくなっていたが……。戦前や戦後直ぐのようにレコードが主流だった時代、そして、ラジオが主流だった時代、は……まだ、良かったのだが……ね。……個人個人聴いている音楽が外に音漏れしなくなって久しい。イヤホンをしてしまえば、隣に座っている人間が体感している音すら聴くことはかなわない。趣味の個人化への突入はそういったところからジョジョに生まれていたが、……まだ表面化には至らなかった。……深部ではかなり……開きが出ていたのだが……。ああ、戦前の子供をそもマーケティングに入れていない時代は、話にすら上らない類のことだ。確かに、戦前、テレビもない時代も、子供が好む遊びと大人が好む遊びは分かたれていたが、それらを結びつける必要性すらなかった。存在すらしていないし、それを認識しなければならない理由すらない。イラカ君、何故か解るかね?』


 衣良化イラカ『はい!師匠せんせい!うーん、……テレビがない時代の話なんて……僕には……うーん、……表面化するって、もしかして、経済活動のことですか?子供の趣味嗜好が、そこまで経済に影響するとは認識されていない時代と……それがお金になると認識された時代の違い……かな?あと、テレビがなかったから、余計、子供は得る情報そのものが少なくて、大人の話を鵜呑みにすることも多かったのだろうかとも思いました!』


『おお。イラカ君、有難う。そうなんだ。嘗ての子供たちは、別に親に何か意見しようとかあんまりしなかった。そも、親は怖い存在だからね、絶対に近い。遊びの話なんてしようとも考えなかった筈だ。彼らは彼らの世界を楽しみにはしたけれど、それは、子供だけの秘密であり、大人には……よっぽどの問題が無ければ洩らさなかった。まあ、ほぼ、大人社会のオマケ。それが子供たちだった』


 『SNSの普及により、子供世界は新たな広がりを見せる。趣味の個人化の拡がりも始まっていたが、それはまた別の話だからここでは省こう。日本では子供の特権に憧れる人ばかりだった訳だ。日本はどちらかというと閉鎖的だからね、没個性化しやすく、内にもこもりやすく、どちらかというと内省的な国民性だから、休日に躍りまくってストレス発散なんてどこかの明るい国のようなことは出来ない。創造性もそのせいで豊かだし、四季が豊富なせいか、情緒も繊細で豊かだ。些細なことで傷つき内省しやすい』


 『物語を創り続けることは、案外地味な作業だ。辛いことも多い筈だが、それにのめりこめるぐらいには、現実逃避したい方ばかりだったのかもしれない』


 『そんなこんなで、テレビ離れをし始めた者たちは、ネットで新たな自分たちが好む世界を構築し始めた』


 『今までは核家族化していたとしても、団らんには必ずテレビがあった。……テレビを囲って、共通の話題をすることが出来、世代が違ったとしても、そこには『流行りを共有出来る』ぐらいの情報の共有ぐらいはまだ存在していた訳だ。理解は出来なくともな』


 衣良化イラカ『うーん。師匠せんせいが仰ることも解らないでもないのですが、僕は、釈然としないですね。……だって、おかしいですよ!確かに、若い人と世代が上の方との情報格差は広がっているのかもしれないですけれど、別に広がったってよいじゃないですか!若い人は若い人!世代が上の方は世代が上の方で、それぞれ別の文化を創り上げていけばよいんですよ』


 『おお。イラカ君。今回の雑文の肝を早くも見抜いてくれたね。有難う。君は、優秀な助手だ。そう。つまりは、情報格差があったところで、別に経済がそれなりに動いていれば問題はないはずなのだけれど、何故こんな雑文を書いたかというと、私は、次の項で言いたいことがあったからだ。良ければ、次で最後だからよんでくれたまえ』


 衣良化イラカ『はい!師匠せんせい


 『おお。良い返事だ。有難う。さあいこうか』


 

 

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