④
Stan Getz
The Cool Sound of Stan Getz
を 聴きながら
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『ぜーぜーぜー。(……しんどー。息継ぎ忘れてたわぁ)
衣良化『……、せ、師匠。大丈夫ですか……。しっ、しっかり』
『ぐっ、げほええ。おお、有難う。イラカ君。君に背をさすってもらって助かったよ。ちょっと息切れがね……』
衣良化『……もう。大丈夫ですか……。もうお若くないんだから、気をつけないと駄目ですよ?ほら、しゃんとして!』
『ぐっ、いたたた……愛のムチとはかくも痛いものなのか……イラカ君、君、もう少し私に優しくしてくれてもよいと思うんだがね……なにも思いっきり背中をたたかずとも……』
衣良化『……優しくしたら師匠は、すぐにつけあがり……いや、調子に乗りますからね!僕ぐらいがちょうどよいんですよ!』
『……き、君、……全然取り消せてないというか、フォローになっていないというか、ただひどい言葉を重ねただけに見えるんだが……端的に言って、ひどくないかね?』
衣良化『あはは』
『……』
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『……と、まあ、話は変わるとして、そのようなことになっていき、そのような子供世界の拡大も、また、新たなフィールドに突入した、……というか、私は、今、前世代との格差間のひずみみたいなものを危惧している訳だね』
衣良化『……んー。具体的に……どういうことなのか、……僕にはつかめないのですが……格差間とは……どういうことですか?』
『うん。つまりだね、イラカ君、我々は、既に、核家族化の先の形態へと突入し始め、既に、『情報を得るものを共有することすら不可能になってきている』という新たな時代に突入した、ということを指すのだよ』
衣良化『……情報を得るものを共有することすら不可能になってきている……ですか?』
『ああ。それについては、次の項で述べよう。イラカ君、ついてきてくれるかな?』
衣良化『はい!師匠!』
『むほう。良い返事だ!さあ、ではいこうか』