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いよひ 〜異世界幼女姫だったボクは日本美少女勇者の故郷で平和に暮らす~  作者: 雛宇いはみ
2.3章 〰北陸新幹線と超巨大都市東京のお話〰 〜
51/64

51:転生幼女にはR18なんてやっぱり駄目だよね

 「ここは皇居東御苑こうきょひがしぎょえん


 六本木(ろっぽんぎ)ヒルズから出て、次の目的地は先ほど六本木ヒルズの展望台から見えた緑の場所だ。


 「イヨヒくんも緻羽(ちはね)も、二人とも王宮に興味津々(しんしん)のようだから、ここに連れてきた」

 「王宮の敷地(しきち)だと言ったから、ボクはてっきり一般人は(はい)れないかと思っていたよ」


 あっちのフレイェン帝国の王宮なら敷地(しきち)どころか、王宮の周りの道路さえ一般人は重要な用事ない限り近づけることはできないよ。やっぱりこことは全然違うよね。


 「でも観光できるのは江戸城(えどじょう)の周りだけだね。ここには昔のお(しろ)の遺跡がある」

 「東京は歴史長い首都みたいだね」

 「確かにここの歴史は長いけど、首都になったのは明治時代以来だね」

 「明治時代って、いつのこと?」


 ボクはまだここの歴史を勉強していないので、いきなり『〇〇時代』と言ってもピンとこないよね。


 「確かにもう100以上前のことだな。明治天皇(てんのう)がここの王様として在位していた時代だった。ここでは、天皇が変わると時代の称号は変わるよ。今この時代は『令和(れいわ)』っていう時代だ。あたしたちが生まれてきたのは平成(へいせい)時代で、父さん母さんたちは昭和(しょうわ)時代生まれ」

 「王様が変わるといろいろ変わるよね?」

 「いや、実際にただ時代の呼び方が変わるだけだ。さっきも言ったけど、ここの王様は絶対的な権利がない。だからあっちのイヨヒちゃんの国みたいに、王様が変わると国が一変するということはほとんどないはずだよ。むしろ政治家たちの方が国の方針を決める権利があるね」

 「そうだよね。一人で国の行方を決めるなんて、いいことではないよね。傲慢(ごうまん)だよね」

 「今の台詞(せりふ)、あっちの王様に聞こえられたら、イヨヒお姉ちゃんは死刑(・・)だね」

 「緻羽ちゃん……笑えない冗談だよね、これ」


 いきなり緻羽ちゃんが話に割り込んできた。まあ、あっちの王族のことなら確かにこうなるよね。


 「まあね。確かに王族の人は、冷血(れいけつ)で他人を見下ろして軽蔑(けいべつ)することが多いよ」


 これはボク自身の経験から言っていることだ。他人事(ひとごと)とは言えないね。


 「イヨヒお姉ちゃん、そこまで言わなくても」

 「少なくとも、わたくし(・・・・)の父上はそうだったよ」


 身近の人だからよく知っている。そして今の王様も類友(るいとも)だよ。


 「やっぱりボクにとって日本がいい」

 「チハネもそう思っているよ。異世界転生でここに生まれ変わってよかった」


 今チオリが少し離れていったから、緻羽ちゃんは小さい声でボクに前世の話をした。この転生幼女、「バレたら困るから絶対秘密だ」と言ったものの、隙があれはいつもボクと話してきているね。やっぱり実はあっちの世界のことも懐かしく感じているだろうね。


 「そうか。ならよかった。ボクたちは本当に似ている者同士だね」


 ボクも同郷である緻羽ちゃんが一緒にいると心強いよ。時々あっちの世界の話もできるから。


 その後、ボクたちはしばらくの間、この庭の中で歩き回ってきた。


 「次はメインの目的だ。皇居(こうきょ)はただのお負け。本番はあっち。『聖地』と呼ばれる場所だ!」


 『聖地』って、なんかいい響きだね。どんな場所だろうな? チオリはこんなにわくわくしているのだから、きっとすごく素敵なところだよね? ボクも期待が高まって、わくわくしてきた。




・―――――・ ※




 しかし、実際来たら……。


 「何、ここ……?」

 「……聖地、秋葉原(あきはばら)だよ!」

 「どこがすごいの?」


 見たところ建物いっぱいだけど。特に観光地らしい場所は見当たらない。


 「ここは日本のアニメやゲームの文化の中心だよ。いい店いっぱいある」

 「まさか、チオリはただ自分が来たかっただけ……」


 前日緻渚(ちなぎ)さんがここへ一緒に来たくないとか言った理由は何となくわかってきた。


 「なんでがっかりしたような顔をしてるの? イヨヒくん、緻羽まで……。2人にもアニメやゲームの素晴(すば)らしさを知っておいて欲しいよ」

 「まあ、いいけど。チオリの好きなものって、どんなものなのかボクもなんか知りたいね」


 がっかりするのはまだ早い。そもそもボクにとってチオリと一緒ならどんな場所でもいいよ!


 そしてボクたちはこの辺りのいろんな店に入って買い物をしていた。


 「ちょっと緻羽、駄目! あっち入ってはまずい。R18(・・・)ゾーンだから。あたしたちはまだ(はい)れない」

 「ボク(・・)は24歳だ。(はい)れるよ」


 今緻羽はわざと大人らしい声をした。24歳ってのはもし緻羽ちゃんは『転生せずに今まで生きてきたなら』の話だよね。前世は8年前に死んだ時は16歳だから。でもそんなのカウントできるはずがないよ。


 「いや、何言ってる? 緻羽はまだ7歳だろう。大人ぶっても無駄。無理に決まってる」

 「まあ、チオリの言った通りだ」


 まったくだ。大体前世のことはチオリにはまだ秘密にしているしね。ていうか、チオリの前で『ボク(・・)』と言って本当に大丈夫なのか? まあ、確かに冗談のような口調だから問題ないかもしれないけど。


 「へぇ、見たいよ。チハネ見たいよ。お願い、姉ちゃん」

 「駄目ったら駄目!」

 「姉ちゃんの吝嗇(けち)!」


 緻羽ちゃん、さっき大人ぶったばかりなのに、今の様子だと我儘(わがまま)の子供っぽいよね。まるで本物の小娘みたい……。いや、別に偽物だというわけではないしね。実際に緻羽ちゃんの身体も精神も幼女で間違いないし。中身のことはともかく、多分これは子供としての自然な振る舞いだと思う。別に演技のようには見えない。多分ね。


 でもむしろ緻羽ちゃんはこれでいいかも。こんな(ふう)に子供らしい行動を取っていけば、中身が大人だとバレる心配はなくなるよね。でもやっぱり我儘(わがまま)すぎるとチオリが迷惑だから程々にしたいかもね。


 「これは子供の見るものではない! 教育に悪いから」

 「イヨヒお姉ちゃんも見てみたいよね?」

 「なんでボクに訊くの!? べ、別に」


 やっぱりチオリは正義感の強い勇者様だ。ボクももちろん正義(チオリ)の味方だよ。


 でも確かにまだ少しピンとこないかも。なぜ18歳未満は(はい)れないっていうことになっているの? どのようなやばい(・・・)アイテムが発売されているのか? すごく気になるけどね。まあいいか。


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