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始動

下ネタレベル 低級 (当社比)


苦手な方は回れ右でお願いいたします!


  

と、いうわけで今やるべき事が見つかった。

 


「フッ!フッ!はっ!ていっ!」



 只今私は素直すぎる下半身を鍛えるべく、日々体術、剣技にと一人隠れて特訓に勤しんでいた!精神を鍛えるにはまず健全な身体の強化。化け物ステータスな体のおかげで面白いほど動きがよく、転生前の動けない三十路の身体では味わえない爽快感を体感している。あ~動けるって素晴らしい!

 乙女ゲームの設定ガン無視で攻略キャラにもライバルキャラにも差し障りなく回避スキルを発揮しかわしつつ、異世界ライフを満喫できていた。



 イベント発生はなんとな~く肌でわかるというか、攻略キャラと悪役令嬢がセットで現れるから今の所わかりやすい。



 最近のイベント発生でいえば、攻略対象キャラのラムーシュ・リアラスとの初邂逅での事だった。

 この学園ではバカでかいお洒落な学生食堂があり、お昼には生徒に先生にとすごい賑わいになる。

 私は基本食堂で購入したサンドイッチを持って人気の無い場所を探してさ迷うのがお昼の日課である。

 その日もサンドイッチ片手に新地開拓のため、南棟側の裏庭に足を伸ばしていた。南棟は主に3年生の棟の為、なかなか普段は1年の身では訪れる場所ではない。

 3年生の先輩方になるべく気付かれないよう気配を消し、さっさかとランチポイントを目指して隠密スキルで活動。

 隠密スキルとか聖女に必要か?

 よくは確認してないけど、カノンのステータスには珍しいスキルから不穏なスキルまで勢揃いしていた。調教スキルってのが気になった。それこそ聖女に必要なのか?!



「なに…?なんかこの辺寒っ!」



 急に気温が下がったのか、鳥肌立つ腕をさすりさすり足を進める。ふと、微かないさかいの声が耳に入ってきた。

 この冷気に満ちた空気はあそこから発せられているようだ。水系の魔法の気が感じられるから、おそらく魔法発動な出来事が今行われているという事である。

 

 男が4人、1対3で対闘している。こんな貴族学校で喧嘩だなんて、でも数で不利なはずの方が有利なようだ。

 あれよね、男子高校生による縄張り争い、調子乗ってんなよごらぁーっ!的な。



「お前のような辺境男爵風情が調子に乗りやがって!目障りなんだよ!」

「いいかげん身の程を知ったらどうだ!」

「今日こそわからせてやるよ!」



 テンプレ通りだったー!予想通りすぎていっそ感動しますわー!!このままだと君らの方が負ける未来しか見えませんわー!



「それはこっちの台詞だ!お前らこそしつこすぎるぞ!今日も返り討ちにしてやるからかかってこい!!」



 言い合いが終わると同時に双方の魔法詠唱が始まった。3人組は火・土・風のトリプル魔法の総攻撃。コンビネーションがいいのか、単体魔法が合わさって合体魔法となっている。

 実はこの世界でまともにレベルの高い攻撃魔法を見たのは初めてだったので、改めて、すごい世界に来てしまったと実感が湧く。魔法の授業はあるけど、まだ1年生なので初級から学んでいるのだ。



「ブリザーレイン!!」



 対するお一人様は氷の雨。あ、これめっちゃ強いわ。3人組の合体魔法相殺した上に更に攻撃加速してる。案の定3人組は完膚なきまでに地面に伏す事になった。レベルが違うんだろなぁ、あのお一人様の周りが常に冷気で満ちている様が力の差の現れか。



「…くっそっ…!っフレイムボムッ!」



 倒れ際に体勢をなんとか整えた生徒が放った火の魔法がお一人様めがけて放たれた。なるほど、こちらもそれなりの使い手だったみたいだ。敷地的に3年生のテリトリーだから、四人共最上級生だろう。成る程な魔法合戦。

しかし、お一人様の掌に水の気配が集中しだし、火の魔法を捕らえる構えをとりだした。


 ん~、やはりお一人様の勝ちかな…。

 …ちょっとあれヤバイかも…っ!


 水魔法でフレイムボムの塊が数個脇に反れたのと、反れた先の木陰に人影が現れたのに気がついて駆け出した私の足は同時だった。


 瞬速!!


 スキル発動で素早くフレイムボムを追い抜き、木陰の人物を抱えてその場を離れた。その直後に爆発音が木霊する。

 いくらなんでも学生が危なすぎる。他人にまで害を成す魔法喧嘩だなんて、拳で語り合え!!教師は何をやっているんだ。可哀想にこの巻き添えお嬢様目を見開いてフルフル震えてるじゃないの。

 こんな危険な場所は早く退散しなくてはいけない。抱えていた体をそっと地面に下ろし、怪我が無いのを確認して早速失礼した。このまま残ってても面倒なので。


「まっ…!」


 地面に下ろした彼女の「待って」という声を笑顔で対応し、速足でその場を後にした。






この時のお一人様と助けた女生徒が、攻略キャラとライバルキャラであったのだ。イベント発生していたんだろうなぁ、無難に回避できて良かった良かった。直接接触したのはライバルキャラだけど、一瞬だったし只の通りすがりで通る状況だったと思う。攻略キャラにいたっては後ろ姿を見られた程度でイベント不発に終わった。


攻略キャラの名前はラムーシュ・リアラス。辺境に配備されているリアラス男爵家の長男。聖ホーリュウ学園の3年生。魔法属性は水魔法を得意とするが性格はどちらかと言うと熱血漢の熱い男。


ラムーシュにもれなくついてくる悪役令嬢の名前はエレア・シルバット。シルバット子爵家の一人娘。ラムーシュとは幼なじみの間柄である。髪の毛先がくるーんと特徴的な垂れ目の可愛いお嬢様だった。

そう、可愛かった。アクアリータとはまた違って先輩なのに可愛い系の少女だった。しかも直接不可抗力とはいえ抱きしめたのが悪かったのだ。

カノンくんが反応するのは仕方のないことなのだ。カノンくんは獣さんだから仕方がないのだ…。




 いやいや諦めちゃだめだろ自分!こんなに節操無しに反応するカノンくんをそのまま放置していてはだめだろ!なんてったってこれは私の体!私自身なんだ。鍛えるんだ!ちょっとやそこらで起き上がらない強靭な精神をカノンくんに習得させるのだ!!



 といった経緯で時間を見つけては自分を鍛える訓練に勤しんでいるわけである。ただいまこん棒を一心不乱に打ち込みをしている所だ。

 ゲームシステムのアイテムボックスが普通に使えるのがありがたすぎる。1度クリアしてると思われるので物凄い量のアイテムが選びたい放題なのだ。

 こん棒くらいなら学園で振り回してても、拾った物でしてと最悪言い逃れできるだろうとのチョイスで選んだが、間違っているだろうか?女子生徒がひっそり学園でこん棒を振るシュールさにふと我に返ってしまった。




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