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村歩き


 宿屋を出て、村を観光者よろしく覗いてまわる。村民の住居、宿屋、酒場、武器や防具等一まとめにした店、あとは路上販売で食品などちらほら。


 帝都程の品揃えはさすがに無いが、最低限必要なものはこの村でも調達できそうだ。



 カノンは宿屋を出てから村の中をあてもなく散歩しながら物見遊山していた。


さして広くはない村だが、旅人が途中で立ち寄りやすい地点なのか外からの者が多く感じる。


「お嬢ちゃん可愛いねー!おまけしとくよ~」なんて気軽に声かけられる位には私も余所者感があるのだろう。




 せっかく声をかけられたので路上販売を覗いてみることにした。売られているのは手作りのお菓子や野菜に果物、食品に混じって洋服など日用品もある。小さなスーパーみを感じるラインナップだ。




 気さくな店主の壮年のご夫婦が「お嬢ちゃんは旅の途中かい?」と聞いてくるのに「はい、ちょっとあそこに用がありまして」とそびえ立つ後ろの山を仰ぎ見る。



「最近は前にも増して物騒な状態だって話だよ。まさか1人で登るんじゃないよね」


「大丈夫です。連れも3人おりますので」



 ルーさんに案内を頼んでると言うと、「それなら大丈夫だ」と安心顔にお二人の人の良さが表れる。夫婦は顔も似てくるとは良く言ったもので、赤の他人のはずのご夫婦はどこか雰囲気からして似ていた。



「山に登るなら野宿だろ?軽い非常食なんかあると助かるはずだよ」



 日持ちがするとオススメされたのは乾燥した果物やナッツが包まれた袋で、所謂ドライフルーツだった。これを持っていると女子力高めガールに見えるはずだ。



「それじゃコレ5つ、いや6つ頂いていいですか」



「そんなにかい?じゃあこれオマケしとくよ!」



 うちのが丹精込めて作ったから味は保証するよ、なんて自分の奥さんを褒めつつテンポ良くオマケまでつけてくれる熟練した商売の腕に気持ちがいい。オマケは手作りのクッキーだし実に幸せな買い物をした。


 紙袋に入れられた糖分摂取セットを胸に抱えたまま、またぶらぶらと店を見て回る。






 遠目からでもわかる熱気漂う人集りが気になり近づくことにした。


 屈強な男達が賑やかに集う店といえば、そうだろう武器屋と防具屋だ。こんな片田舎の村の武器防具屋が人を集めるというのは、きっとナニか特別なモノがあるのではなかろうか?


 人垣をするりするりとかわし前の方へ体をすべらせる。



「たっけぇな~、流石に簡単に手は出せん。もぉちょい安くならんのか?」


「こちらは一点物でして、製作者の意向によりこの金額になっております」


「右に同じであります」



 客の値下げ希望に毅然として対応する店主達。この建物では武器屋と防具屋は本当にお隣さんで並んで商売しているようだ。仕切りもなにもないからむしろ共同店だな。


 見た感じ一般的武器防具が控えめに並んでおり、その渦中の品はカウンター後ろ中央に鎮座している。




「『紫氷の剣』、『紫水の鎧』…」



 品名表記からどちらも水属性のものだろう。もしかして所持済みかもと思い自分の持ち物をウィンドウを開きジーッと眺める。


 ん~~無い?持ってないなぁ。結構やり込んで一度クリアしてるっぽいけど、持ってないのもあるもんだね。レアものなのかな。


 値段を見ると、なるほど納得の高お値段でちょっとやそっとじゃ手を出せるものじゃないみたいだ。私は買えるけどね!


 なんちゃってブルジョア感に浸っていると、店主達の剣と鎧のプレゼンが始まっていた。



「この『紫氷の剣』はかの名工モグワード氏による手塩にかけられた逸品。水属性持ちなら是非とも手にとっていただきたい!しかし剣というだけでの括りでも素晴らしく、殺傷力はとんでもない名剣中の名剣だ!」


「そしてこの『紫水の鎧』。なんとあの!幻といわれる名工モグムード氏による今後100年とお目にかかれない逸品だ!!」



 おおーっっ!!


 大盛りあがりである。


 紫氷の剣はなんとドワーフのモグワードさん作らしい。


 皆が羨むほどの名工の試作剣を簡単に渡されるなんてあの教師何たる幸せ者か。


 そして紫水の鎧はモグムードさん?明らかにモグワードさんの血縁かなんかの名前じゃないか。しかし幻ってなんだろう。意味深な言葉は果たして誇張かそのままの意味か?あとでオルレア先生に聞いてみよう。


 結局はギャラリーの誰も手を出せず、見学だけならタダだからとその最高作品を目に焼き付けるだけとなった。


 剣はともかく鎧となると持ち主選ぶよね。私なんかガボガボでかえって防御力半減しそうだ。


 私も買う予定はないし、ここは御暇させていただこう。


 人垣を逆らうように体勢低くスルスルと出口へと向かう。


……ふぅ。


 とても密度の高い空間だった。普段は綺麗め石鹸の香りがしそうな男性陣に囲まれているからか、筋骨隆々メンズの集団に揉まれるのが新鮮だったな。ふふ、最強武器防具にテンションアゲアゲメンズの刺激を受けたのか、私の中の少年の心がふつふつと湧いてきたようだ。




「なんか人一人殺ってきたみたいな顔してるな」




 何やら失礼な事を言われたなと前を向くと、先生達と酒場にいるはずのルーさんが立っていた。



「二人ならまだ酒場でお楽しみだろうぜ。」



 ほほぉ。生徒を一人置き去りに教師二人酒場でお楽しみですか。いいですね!




「もう話は終わったのですか?」


「ああ。軽く経路と注意事項をな。明日は早いぞ、就寝は早めにな!」




 自然な仕草で別れ際に頭をポンポンとされてしまった。


 厳つい見た目と違い、なかなかスマートな仕草をこなすものだ。


 ルーさんは自宅に帰るのか、鼻歌交じりに歩いてゆく。私達が来る前からルーさんはアルコールを呑んでいたはずだから、お酒で程よく気分も良いのだろう。明日はお世話になります。


 見ていないだろうが一応頭を下げておく。


 

山登りは次の次かなぁ

(*´ω`*) マダマダダナァー




【追記】

新機能に順応できず

変な投稿しちゃいましたぁ(泣)

短っ!!とビックリされた方々申し訳ないです!

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