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魔物学



 明日にはそれぞれの家に帰省ということもあり、更に生徒達がそわそわと浮き足立っている。

 



リーン ゴーン リーン ゴーン




 朝の授業の始まりの合図と共にノリア先生が教室に入ってきた。いつもチャイム前には教室に入る生真面目なノリア先生にしては、少々ゆっくりめな方だ。まさか先生も家に帰りたくて仕方ないのだろうか。



「授業に入る前に、明日からの休みについて注意事項があります。」



 この連休前に生徒への注意喚起、すごく懐かしい気持ちでにやけてしまう。おっといけないノリア先生と目があった。

 目があったと思った瞬間、目を反らされるのもいつものこと。ノリア先生は微妙に私から距離をとっているように感じている。それが教師歴の浅さから生徒への距離をはかり慣れないのか、はたまた別の理由からなのか気になるところではある。



「皆は初期魔法をあつかうことができるまで成長してるけど、まだ実践で魔物相手に魔法を使う授業をしていません。」



 言われてみれば、合同授業のおかげか皆の魔力が上がっていた。きちんとした師事を受ければ、短期間でも大なり小なり能力の変動があるようだ。



「もしも休みの間に魔物と遭遇した事態になってしまった、その時の対処法を話しておくわね。

 結論から言うと、倒そうと思わずにまず逃げること。」



 まぁ、そうでしょうね。



「確かに初期魔法で倒せる魔物もいますが、皆さんはまだ未熟な時期です。

 場合によりますが、魔物の気を反らす等の逃げるための魔法は、自分の命を守る為にはやるべきです。

 しかし、無闇に魔法を扱うことは危険を伴うので、この休みの期間はなるべく魔法を使うことをしないように。

 休み後も無事、皆さんの元気な姿を見せてください。」



 おりこうさんな生徒達が元気に「はい!」なんて返事している中、教師公認で危険区域に魔物を相手しにいく自分に、私ってなんてVIP待遇!と乾いた笑いがでる。

 エンジェルマウンテン登りましょうと私が言ったけど、教師として本当にそれでいいのかオルレア先生。いいんだろな。今は父親から贈られた自分の愛剣が一番大事だろうし。



「そして今日の授業は、遭遇しやすい身近な魔物を中心に『魔物学』を学ぶことにします。」



 魔物学。転生前世界線でいう生物学的なものだろうか。

 一人一人に配られた教書を捲ると、動物図鑑かな?と見ていて楽しい内容となっている。流石に写真は無いのか全て手描きの見応えある絵が並んでいる。

 たしか第五図書室でブルー先生に見せてもらった本もこんな感じだった。魔物学の本の一つだったのだろう。 

 パラパラと軽く先を捲ると見慣れたこの近辺の魔物が中心に描かれているようで、私がこの世界で初めて対峙した魔物のキングウルフを発見。説明書きには凶暴かつ無慈悲と散々な書かれようで、あの時のこは従順でそれ程凶暴さは感じなかったから性格も人間と同じでそれぞれなんだろう。

 思い出の1ページとして花丸をつけておこうか。



「今までに魔物に遭遇したことが無い人はいるかしら?」



 先生の問いにパラパラと生徒の手が挙がる。

 その辺を歩くと魔物に当たって倒す日常の私は例外中の例外として、平和に暮らす一般人は魔物に会わない確率も高い。

 レベル上げをしながら解ったことは、魔物も人間と同じで夜型もいれば朝型の個体もいる。面白かったのは、早朝寝起きの鳥型魔物と遭遇した時、「オヤスミナサーイオヤスミナサーイ」と人間の声真似しながらトポトポと歩くシュールな姿にしばらく笑いが止まらなかった。



「28ページをひらいてください。

魔物にもそれぞれ特徴があって、今の季節は特に毒性の昆虫型魔物の活動が活発になります。」

 


 春は虫が起き出す季節だからだろうか。

 本をひらいた箇所には、昆虫を基本としたような魔物達が紹介されていた。なるほど、毒性のものが多い。

 


「余程森などの魔物生息地にいかないかぎりは、遭遇することもないと思いますが。次30ページをひらいて。このような飛来してくるはぐれ魔物も特に注意が必要です。」



 描かれていたのは昆虫系魔物ヤドリガ。毒々しい赤紫の斑模様がいかにも危険な見た目。毒を持っているほど派手な見た目なのは、この世界も共通事項みたいだ。

 お茶屋さんのおばあさんが、クトリ村に行く途中遭遇したのがこれか。こんなんに急に襲われたら確かに恐怖体験極まりない。

 機嫌が良いと瘴気を撒き散らすと説明書きされている。普通逆じゃね?機嫌が悪いと撒き散らすもんじゃないの?迷惑な性格をしているなぁ。


 それぞれの魔物の特徴を学ぶのは、この世界で生活するにおいて必要不可欠だ。ちゃんと弱点も記載されていて実用的なこの本は、暇潰しの愛読書となるだろう。

 実際魔物に遭遇すると、しっかり情報ステータスが別ウィンドウで教えてくれるから戦闘には困らない。あと、まばらではあるが前データの引き継ぎとでもいうのか、どこにどんな魔物がいるとか、頭に記憶されている魔物もちらほらいる。まだ完全にゲームの引き継ぎ記憶があるわけでもないようだ。

 



「ノリア先生!最近魔物の活動が活発になっているというのは本当なんでしょうか?」



 おっと、これは鋭い質問。

 知的な印象の彼はハイラー君。確か伯爵…だったかなお家は。

 伯爵家ともなると世の情勢など簡単に耳に入るだろう。生徒の反応も様々で、頷いている情報通もいれば「え?なにそれ。」な知らない子もいる。

 単にゲームのバージョンアップだからだろうだなんて、流石にこの世界の人には説明がつかない。それに、私が考えている以上にもしかしたら他の理由があるのかもしれない。



「情報が早いわね。ハイラー君の言う通り、実は魔物の様子が以前と変わったと確認されています。」



 私がこの世界に来た位に魔物もパワーアップしたはずだから、そろそろ世間も認識してきて当然だ。

 


「まだハッキリした原因は判明していませんが、各地域の魔物達の強さが増していることは確かです。だからまずは自分の命を護ること。これを心がけてください。」



 命の危険が日常に追加されるのは迷惑な話だが、是非とも皆元気に休み明けを迎えようではないか!



かーなーり!

おひさしぶりです~っ!

(;・ω・)


本当に読んでくださるかたがいることに感謝です!



****************************

5/9追記


☆ 誤字職人様 ☆


いつもありがとうございます(^-^)

わぁ!投稿日に見ていただいて!感謝です!


一応私的に、この話の世界観的には

『教書』キョウショ

の方で考えてます。古い言い方の教科書といったかんじで。


でもなるほど教科書の方がわかりやすいか、というのも確かにですね。

主人公が現代人なので教科書と脳内変換していただいてもオッケーです!


誤字職人様に甘えてあまり見直さないようになっている今日この頃。

感謝感謝です。

(*´ω`)   



とり南緑

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