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チーム分け



「ひとつよろしいでしょうか?」


「何かね?」



 第2試合の勝者が決まった所で、トーランが口を挟んできた。何事かと生徒達も視線を発言の主に向け出す。

 先程の試合に何か問題でもあったのだろうかとエルフェンとアクアリータが顔を見合せている。可笑しいところなんてないようだったが…。



「あちらの属性からは代表を出さないのですか?」



 至極不思議そうな顔して指を指した先は、そう、私のようだ。



「ああ、2種属性持ちのミューン・レーモンドは風と土だ。レベル的にはライサ・グラーリとローシュ・レミゾフが上だからな、今回は参加しない。」


「もう1人は?」


「…彼女は回復や防御中心であり、攻撃属性ではない。」



 攻撃属性ではないイコール、聖属性だと言ってるも同じである。教師陣は私の属性の事は承知の事だが、生徒達にとっては稀少な属性が同じ学年にいるという驚きが広がってしまった。目立ってしまってしょうがないんだがどうしてくれるトーラン・モンタールこのやろう、と視線を向けるもこちらには目もくれずさも良い案を思い付いたといった風に手を打った。



「それでしたらこういうのはどうでしょう。このまま勝者の皇子と私と残りのローシュ・レミゾフの3人で勝者を決めるのもいいですが、防御の彼女を交えて三対一の魔力勝負というのは。彼女が魔法を使えれば、の話ですけれど。」


「サークレットが結界を張っての魔力勝負か。いや、そうしたら先程の敗者も改めて参加してもらうか。…面白いかもな。」



 いやいやいやブルー先生何を面白がってんですか!わざわざ魔法の打ち合いに結界いらないでしょ!そのまま3人で勝者を決めればいいだけのことでしょう!



「え…、カノンが誰かに結界張るってこと?魔法攻撃1人足りませんよね?はい!立候補します!」



 コラコラそれでは四対三だからね!



「ろくに魔力練れないだろ!ミューンは危ないから出てくるな!」


「トーランうるさい!私もう魔法撃てるし!」



 なぜか結界張ってもらう気満々のミューンに私も引いたが、ありがたいことにノリア先生が意見をしてくれた。



「お待ちください!まだ彼女はディアラ先生に講義を受けたばかりです。聖属性の教師がここにいない以上、生徒同士の魔力勝負に参加させるのはどうかと思います。」



 自分の実力的には味方の生徒に傷をつける下手はしないと思うが、教師目線で立てば私もノリア先生と同意見である。



「ふむ。そう言われればそうなんだが、サークレットだしなぁ。ノリア先生も結界体験したのだろ?どうだった。」


「えっ!どっ、どーといわれましても…」



 意見を求められたノリア先生が挙動不審に言いにくそうなのはきっとセクハラ結界を思い出してのことだろう。「問題無いといえば無いんですけど、何といいますか、、、」「ならいいじゃないか。」圧されてますノリア先生!

 ノリア先生が言いよどんでいる間にブルー先生がサッサと考えをまとめてしまった。



「そうだな、魔力の計り合いをまとめてやるには丁度言いかもしれないな。では代表五人とミューン・レーモンドをとりあえず二組に分けるか。」



 やった!と喜ぶミューンに対して、計画と微妙に違う方向に進んでしまった事にショックを受けるトーラン。あわよくば私の結界をぶち抜いてやろうとの思いだったのだろうが、まさかの私側にミューン参戦で焦っているのが丸わかりである。この二人って見てて面白い。面白がってる場合ではなかった、魔力勝負に私も駆り出されることになってしまったではないか。ウキウキなミューンに引っ張られしぶしぶ前に足を踏みしめる。とてもいたたまれない、奇異の目で見られるのに内心滝汗である。

 ギャラリーもこの成り行きに困惑しているのか一様にヒソヒソと落ち着かない。



「よし、サークレット側にはミューン・レーモンド、アクアリータ・プラコット、ローシュ・レミゾフにしよう。」



 うわ!敵チームに皇子とトーランもってくる!?プライド激高男子を完膚なきまでに叩き折れってことですね!ブルー先生えげつない!

 


「やったわカノン!頑張ろうね!」



 ヤル気満々のミューンにもう笑うしかない状況である。



「へぇ、キミ聖属性なんだ。珍しいね。俺はローシュ・レミゾフだよ。よろしく。」



 声をかけてきたのは側に寄ってきた土の属性のローシュ・レミゾフだった。アクアリータも続いて側に寄ってきた。



「カノン・サークレットです。すみません、レミゾフさんの順番になる前にこういうことになって。」


「あはは、あのままあの二人のどちらかとあたっても俺は負けてただろうからね。ってどっちにしろ今からあたるかな。」

 


 だから気にしてないよと明るく話すローシュは、あまり高圧さもない、むしろ気安さがある人柄だった。

 アクアリータにいたっては前の授業とさっきと魔法を何回か撃ったことだろう。それだけ体力にも影響あると思うが、「まだ全く問題ないわ。」と言ってくれた。



「ふふっ!私達4人同じチームね!きっと勝てるわ!」



 ね~!と可愛らしい笑顔で私の腕に抱きついてミューンが早くも勝利宣言した。「早速だけど対戦相手の話をしましょう。」そうだ、一応私が結界はるとしても三人は向こうの三人と魔力合戦をしなければならない。アクアリータの適切な進行でサクサクと話が進行しそうだ。





「どうしましょうか皇子?対戦したい相手とかいますか?」


「いや、私は誰相手でもかまわないよ。」


「ライサ嬢は?」

 

「私も同じです。」

 

「じゃあ、対戦相手はあちらに決めてもらうということで…」

 


 

 私達が話し合いをしている間にあっちのチームはさっさと位置についていた。「お、こっちで決めてくれってことか。」察しの良いローシュがならば遠慮なく、と話しだした。



「皇子と一度対戦したプラコット公爵令嬢は違う相手として、レーモンド伯爵令嬢はあちらの三番目に能力ある相手となると、」



 ローシュの考えで言うと、アクアリータはトーラン、ミューンはライサ、ローシュはエルフェンということになる。まぁ妥当っちゃ妥当だ。じゃあライサが風だからミューンはあのぽこぽこ土魔法で相手か~。…あ、もしかして。



「すみません、ミューンの相手はトーラン・モンタールがいいかも。」



 いい作戦思いついた、と小声で三人に提案する。「あ~、成る程。…うまくいくかな。」「少々、ずるい気も…」「うん!頑張ってみる!」最終的に私の結界で防げばこちらの勝利みたいだけど、一応勝負は最善を尽くさなければならない。

 



 こちらもそれぞれの相手の対位置につくと、トーランが「へぇ、どんな作戦かと思ったら」とニヤニヤした。

 私達はエルフェンにローシュ、トーランにミューン、ライサにアクアリータを配置した。



「トーラン~!私少し時間かかるから合わせてね~っ。」


「ああ、もちろんだよ。キミが魔法撃ってから僕は撃つとするよ。」

 


 ミューンに良い所を見せるチャンスとでも思っているのかとてもいい笑顔のトーランである。

 



「よし、いいぞサークレット。」


「はい。」



 オロオロと表情を変えているノリア先生を無視したブルー先生の指示に従い、三人に結界を張る。魔法ウィンドウを開きまして、あったこれこれ、いや、先に詠唱だ詠唱。



「聖なる寵愛を受けし力にて、慈愛をその身に感じ守りの檻を与える。【ガーディウォールド】」



 さて、セクハラ結界を味わうがいいと開き直り三人に結界を施した。ミューンは相変わらずニコニコしている所を見るとやはりセクハラ結界発動のようだ。でもアクアリータの様子は変わりないようにみえる、ローシュも特段変わりはない。ん?じゃあミューンとノリア先生だけが特殊感覚なのだろうか?とノリア先生に目で訴えてみるがなんだか驚いた風な様子なのでやっぱり二人限定なんだなと結論づけた。



「三人同時に結界張れるのか…」



 ふぅ、とため息混じりにブルー先生が呟くのを聞いて、あ、やらかしたと遅ばせながら気がついた。ノリア先生の驚きの表情もそっちだったようだ。ここはせめて1人ずつ順番にかけていくべきだった。カノンの能力が高いせいで三人まとめて結界を張ったもんだから教師陣が度肝を抜いている。更に教師陣の狼狽えを察知した生徒達もざわつき始めてしまった。しかたがない、必殺!我関せず!





「皇子、これは全力であの結界を破らなければなりませんね。」


「無論だ。」




 意外にエルフェン皇子も負けず嫌いな所があるんだな、と思いながらも自分とて同じだと笑いがでたトーラン。

(だが三人同時に結界を張ることができる魔力、侮れないなあの平民の女。)

 笑いを引っ込め真面目に魔力を練るのに集中しようかなと正面を向く。そして対面の可愛い幼馴染みが真剣な顔をして魔力集中に励む姿ににやけてしまった。

 


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