第2話 事前交渉は入念に
まだ異世界にはいきません
交渉の中で今回の落とし前として銀次郎ががもぎとった条件がある。
○条件1:行動の自由
銀次郎は冒険者ギルドに登録し依頼を実行できる状態にする。
銀次郎が爺から受諾する仕事はあくまで人間側のサポートであり、
それ以外の行動は自由とする。
銀次郎の立場は爺と対等として扱うため国主よりも上位とする。
○条件2:爺と会話をする権利
普段爺は勇者や神の使途と呼ばれる者に神託という形で
一方的にメッセージを送るだけであるが、
銀次郎は神像の前で爺を呼び出し直接会話することができる。
○条件3:報酬
依頼が解決された際に爺は最大限の報酬を支払う。
爺が直接依頼する場合、冒険者ギルドに指名依頼を出す。
○条件4:特殊能力の追加枠
通常転生者や転移者にはA枠とB枠の計2枠分の
特殊能力を与えることになっているらしい。
A枠は言語理解という生活に必要な能力で、
B枠は本人が自由に選択できる能力だ。
爺と筋肉で交渉した結果、B枠同様のC枠を追加で獲得した。
このような条件設定で銀次郎は仕事を請け負っわけだが、
何も今すぐ異世界に赴くというわけではない。
必要物資の調達やどんな能力を得るのか考える必要があるのだ。
白い部屋から開放された銀次郎は信頼できる人間に相談する事にした。
いくら銀次郎が強靭な肉体とCOOLな頭脳を併せ持つ超人とは言え、
こういう非常識な事への知識は持ち合わせていないからだ。
連絡を取ったのはこういうサブカルチャー的なものに詳しく
銀次郎をアニキと呼ぶ舎弟の一人、小杉秀夫だ。