第1話 大和田銀次郎と貧相な爺
※文字数制限等で微妙に違うところがありますが
この第1話はあらすじとほぼ同じ内容です。
傭兵組織・大和田組の若頭補佐である大和田銀次郎は今日も今日とて
反射材を胸にかけた状態で歩行者信号が青く点灯したのをきちんと確認し、
一度左右を確認した後右手を大きく掲げて横断歩道を渡っていた。
するとそこに突然信号無視のトラックが突っ込んできたのだ!
自分自身は強靭な肉体があるため大丈夫である。だがしかし今の状態では
一緒に並んで渡っている頭髪の寂しいおっさんの集団まで巻き込まれてしまう。
熱き男・銀次郎はおっさんの集団と暴走トラックのドライバーを守るために
自慢の肉体を駆使して瞬く間にトラックを粉砕し、ドライバーの救出にも成功。
その瞬間、まるで閃光弾のような眩い光が銀次郎の視界を奪った。
突如として謎の白い空間に放り出された銀次郎は貧相な爺にこう告げられる
「ほっほっほ!・・・ってなぜ生きてるのじゃ! せっかく転生トラックで事故を装ったのに!」
熱き男・銀次郎は瞬時に脳をCOOLに切り替えることによって真相を理解した。
どう見ても浮浪者にしか見えないこの貧相な爺は敵対組織が雇ったヒットマンで
事故を装って自分を殺害しようとしたのだと。
強靭な脚力でもって一陣の風のように爺の後ろを取った銀次郎は
まるで重機のように逞しい二の腕で素早く爺の首を締め上げる!
数多の戦場で300人以上を絞め殺したチョークスリーパーが爺に炸裂したのだ。
爺を完全にホールドした銀次郎は手馴れた様子で尋問する。
「おい爺テメェどこの組に雇われた 正直に答えなければこのまま 縊り殺す」
観念したのか爺が素直になったので、銀次郎は閉じられた二の腕を開放する。
爺いわく自分の管理する世界の魔王が調子に乗って侵略を繰り返している。
その対策として地球の人間を勇者として異世界転生させる計画だったらしい。
人生に疲れて異世界転生を望むおっさん達を事故を装ってスムーズに殺害し、
適当にチートを与えてやれば嬉々として転生してくれる予定だったのだが、
偶々熱き男・銀次郎が一緒にいたために誰も死なずに計画が頓挫したようだ。
銀次郎には何も落ち度はないがこの爺をこのままにしておくのは目覚めが悪いし、
何よりこの空間から脱出する方法が分からないのだ。
もしかすると爺を始末すれば戻れる可能性もあるが絶対ではない。
しばし思考を巡らせた銀次郎は仕方なく爺と交渉する事にした。
「条件次第では魔王とやらの討伐を手伝ってやっても良いぞ」
なんやかんやあって銀次郎に有利な条件で異世界に転移する事となったのだ。