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第3話
アルトワの難民たちは、祖国奪還のために義勇軍を募っていたんだ。
アルトワの人間はもちろん、他国人も参加できた。
しかし仲間たちからは、正気か?、といわれたよ。
考え直せと。
義勇軍への参加も難民村の手伝いの延長だと思っていたボクは、仲間の何人かも一緒に参加すると思っていたので、ショックだった。
「親の許可は取ったのか?」とか、難民村でも死ぬことがないとはいえないが、義勇軍では死ぬ確率の方が高い、といわれた。
それでも、ボクは参加を決めた。
今ならバカだったと思う。
生きて帰れたから良かったようなものの、もし死んでいたらと思うとゾッとするよ。
自分の正義感に酔っていたんだ。
仲間が止めるのも聞かず、ボクは荷物をまとめると、輸送物資の馬車に同乗して難民村を出た。
あのときは戦争を何かの競技のように考えてたんだ。
それに国の代表として参加する気持ちだった。
実際の戦争は、大人数でやる犯罪のようなものだったんだけどね。
ボクは英雄になれる、と思っていた。