第2話
難民村は、それはひどい有様でね。
みんな粥をもらうと、感謝の言葉をいうのが精一杯だった。
とはいえ、みんな着の身着のままで自国から逃げてきたのだから、何も持っていない。
そんなところだから、トラブルが毎日起こった。
ある日のことだった。
難民の女性が、ボクらの待機所に駆け込んできた。
少女が強姦されている、っていうんだ。
ボクらは女性の後を追った。
現場に着くと、少女はすでに逃げていなかった。
バツが悪そうにしている強姦未遂の男たちを見ていると、ボクの心に怒りの心が沸き上がってきた。
「なにやってるんだ! 自国民だぞ! ひどいと思わないのか!」
彼らにそういうと、彼らは押し黙ってボクを見た。
何だろうな…あの目…
生気のない目でボクを見るんだ。
その目はボクにいうんだよ。
「学生のボンボンに何がわかる。オレたちの絶望がわかるかよ」
ってね。
少女は村のどこを探してもいなかった。
難民村から逃げてしまったんだ。
その少女はボクも見たことがあった。
キレイな子でね。
難民村の待機所に帰っても、ボクはこのことが頭から離れなかった。
ベッドに入っても、ずっと色々な思いが浮かんだ。
翌日の朝、ボクは仲間たちに、アルトワ国の義勇軍に入ろうと思っている、と告げたんだ。