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デスゲーム開始宣言

六人はどこかの事務所に倒れていた。

バスごとまとめて飛ばされたはずなのにどういうわけか運転手やカメラマンの姿はない。居るのはうどん旅団メンバー六人だけだ。

滝斗は窓の外を見た。

中東のような雰囲気があった。パネルやレンズのようなものが並ぶ光景は明らかに日本ではない。

各部にある出入り口らしきゲートには巨大な看板が立てられていた。それに書いてあるのがモティール社のロゴだったので、滝斗はここがパラフ国の研究開発地区なのだと気づいた。

日本からずいぶん離れている。転送魔方陣で一瞬で移動できるとはいえ、こんな所に連れてくる理由がわからなかった。

事務所の扉が静かに開いた。リレリウム民衆統轄局所属の兵士が流れ込んできた。

その兵士の奥から現れたのは、竹屋公二だった。 どういうわけか青いラメの付いた派手なスーツにどでかい蝶ネクタイ。地味な雰囲気の兵士の軍服とは真逆のデザインだ。

公二は主に番組司会をやることが多い大物芸人だ。飽きられたのか仕事をセーブしているのかはわからないが、ここ最近たまにしか見かけなくなった。

そんな彼がどうしてパラフ国に居るのか、滝斗は頭が混乱してきていた。

ドッキリにしては意味がわからないことが多すぎるし、グルメツアーのサプライズゲストにも思えない。こんな登場の仕方をするわけがない。

オトミが問いかける。

「これドッキリ?ツアーは嘘かよぉー」

それにみえが続く。

「私もグルメ番組だと聞いたんだけど・・・」

滝斗達はカメラを意識して、次々とオーバーなリアクションをとった。

「ドッキリと言えばそうかもしれません。でも、 これから説明する事は嘘じゃないですよ」

よくわからない言い回しだった。どこかおかしい。滝斗は次に出る言葉が予想できた。

「うどん旅団は今から殺し合ってもらいまーす」

「またまたあ、私らが選ばれるわけないじゃん。設定に無理ありすぎるよ」

「ひでえ設定!」

オトミ達がまたしてもオーバーリアクションで騒ぎ立てる。徳四郎がささやいた。

「シッとりあえず、ここはデスゲームが行われてると信じ始めた芝居をした方が良さそうだ。カメラがこっちを写してる」

確かに後ろには三脚に乗せられたカメラがある。その左右にはスピーカーとマイク。

その言葉にメンバー達はそれぞれ恐怖におびえているような演技を始めた。ただ、滝斗だけは竹屋の言う事が本当だと理解していた。

リレリウムのデスゲームをドッキリに使おうものならリレリウム人の怒りを買い、どうなるかわかったものじゃない。

いくら低俗なバラエティーでもこんな大それた悪ふざけがあるわけないのだ。

それなのにドッキリにはめられたノリでキャイキャイ騒いでいるメンバーにカチンときた。

こいつらいくつだよ、こんな事をすれば番組関係者の処刑すらありうる大問題になるというのがわからんのか・・・。

イラァーッ!ムカァーッ!

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