みえの怒りは爆発した
「撃たないでくれえ!」
徳四郎は地面をゴロゴロしながら見苦しく命乞いをし始めた。
心の底から見下したようにニタニタとしながら滝斗やみえに話しかけているのとは全く別の姿だった。
その哀れな様子がみえの残虐性を引き出す。
虫をいたぶって殺すかのようにわざと手や足ばかりを狙って撃ち抜く。
「ぎええ!」
徳四郎は唐突に立ち上がり、フラフラとよろめきつつも逃げようとした。それをみえは思い切り蹴り飛ばした。
「アア」
徳四郎は腰を蹴られて四メートル程吹っ飛び、段ボール箱の山に激突した。中に詰められていた黒い部品が飛び散って、徳四郎の顔面に突き刺さっていく。
「ヒギャーッ!」
徳四郎の頭が針山と化した。
崩れた山の向こうには支給品のバタフライナイフを手にしたオトミが呆然とした顔で立っていた。
オトミは「マグナム銃には勝てない」と慌てて逃げ出したが、みえはそれを狙わなかった。そもそも視界にすら入っていなかったのだ。
「あー気分いいわー、ブランド品を万引きした時よりもずっとスッキリする!」
みえは徳四郎の顔にM19コンバットマグナムをポイントした。
次の瞬間、みえの頭がガクンと揺れた。崩れ落ちているみえ本人にも何が起こったのかわからなかった。