帽子探し
「うぎゃあああ!」
徳四郎の左腕に穴が開いた。
徳四郎がみえに撃たれたのと同時刻、滝斗は落ち着かない様子で探索をしていた。
滝斗はうどん旅団では「常に何らかの帽子を被っている」という個性をつけている。シルクハットだったりベレー帽だったりと種類は様々。
出来る限り似たデザインの帽子が連続しないように工夫している。流石にテレビカメラが無い時は被らないが…。
ロケバスで拉致されてからそのままゲームに移行したので今はなんの帽子も被っていない。滝斗はなぜか妙にその事が不安になってきていた。
空中を飛び回っている観戦用の球体カメラを意識したからか、うどん旅団での普段の格好をしていれば殺し合いを忘れてくれるかもしれないと思ったからかは本人にもわからない。
とにかく滝斗は帽子を被ることでこんな状況でもうどん旅団メンバーで居続けようとした。
「帽子…帽子…帽死…!」
駐車場に停まっていた青い軽トラックの荷台に、茶色のアルペンハットが引っ掛かっていた。なんとなく周囲に溶け込んでいないそれは、施設職員の物ではないように思えた。
たまたま荷台に引っ掛かった物がこの施設まで運ばれたのだろうか?
上手い具合に帽子が見つかったので滝斗は早速それを被ってみる。サイズはぴったりだった。