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起きたら名族[改訂版]  作者: Dearboy
爆誕!名族は男の子!
5/10

第4話 「御家騒動」

 はぁ、早いものでもう3歳になりました。

 走り回ることが出来るようになったので、体力増量と心肺機能の強化に精を出している。

 今日は母と八重さんと、張勲さんと遠出してます。 中央にいる、孫文台、孫堅さんのところだ。

孫堅さんと言えば、建業というイメージなんだけど、今は朱儁さんのとこで頑張ってるみたい。

とりあえず族狩りなんだろうけど。


 で、何故孫堅のところにいるかというと、ようは顔見せ。 孫堅との繋がり欲しさに母へせがんだのだ。

中央にいる勇猛な将、孫堅に会いたいと。 そして今母と孫堅がにこやかに話している最中だ。

その横でこちらをじっと見つめる少女達がその娘だろう。

聡明そうな子は同い年位。 年相応そうな活発な少女が年上。 そして眼鏡の子。

この子は恐らく、孫家の娘ではないだろう。 それにしても見事に女性ばかりだな。

孫堅の後ろで控える女性は恐らく黄蓋。 その横にいる眼鏡の美人は周異ってところか??

なら近くに孫静辺りがいる気がするが……今日はいないのかな??

本当は韓当や程普位は拝みたかったんだが、望み過ぎか。


 周囲の状況の把握に努めていたが、いつの間にか視線が集まっている。


「叶、こっちに来なさい」

「はい、周陽様」


 呼ばれたので早足で向かい、横に正座した。


「これが妾の自慢の息子の袁術、字が公路よ。ご挨拶なさい」


 母の手が頭を優しく撫でる。 すっっっごい気持ちいい。

あれだよ、きっとムツゴロ○さん的な才能を持ってるんだきっと。


「初めまして孫文台様。母から紹介がありましたように、袁術と申します、以後お見知り置き下さい」

「ほう、ウチの蓮華とあまり変わらなさそうなのに、しっかりと挨拶出来るのだな。

小僧、オレは孫堅。字が文台だ。知っておったようだがのう。おい琴音。 孺子(こぞう)をウチによこさないか? 俺が男を磨いてやる」


 その言葉を聞いた母は素敵な笑顔でこう返した。


「イ・ヤ ♪」

「オレも息子が欲しい。 少し手間がかかる位の息子が。 おい袁術、ウチに来ねぇか?」

「行きたいのは山々ですが、母が泣いてしまいます。 それに、文台様の息子は色々と大変そうです。」


 俺の言葉を聞いて、母は真っ赤に、孫堅は面白そうにほぉと目を細めた。


「時に八重よ。 お前の娘が、袁術に求愛していると聞いているが?」


 あ、これはいけない。 この目知ってる。 獲物を捉えた、猛禽の類の目だ。


「はい、誠に何を考えているのやら」

「して、孺子(こぞう)はのらりくらりと躱してるみてえだが」

「えぇ、大体は私と結婚すると言って躱しているみたいです」


 あ、母に目も猛禽の類の目に。


「叶、あのおばちゃんとは結婚できないのよ」

「お、おばっ!?」

「八重さんと結婚デキナイノカー、コマッタナー、あ、じゃぁ文台様と結婚する」


 そして時は止まった。 こう言っておけば、後で全てに対してフォローが効くからだ。


「はっはっはっは、孺子(こぞう)はオレと結婚したいか! いいぞ小僧。 早く大きくなるが良い!!」

「「認めませんっ!!」」

「認めぬも何も、孺子(こぞう)はオレと結婚すると言っているぞ。 孺子(こぞう)さえよければオレは構わねぇ。

そして孺子(こぞう)の血を入れれば、きっと孫家は安泰だしな!」

「「歳を考えなさい炎蓮!!」」


 あー、やり過ぎたみたいだ。 こうなると暫くはこのままだろうし、他の人のところに行こう。

ぱっと今暇そうにしてるのは黄蓋だけだな。 あれ?さっきまで周異もいたのに―――

あっ、いた。 止めるつもりが巻き込まれてる。 これぞ木乃伊取りの木乃伊だね。

しょうがない、黄蓋のところに行こう。 しかし何を話そうか。

話し掛け方はいいとして主題がなければなぁ。 まぁ、そのうち浮かぶだろう。


「お姉さん、お姉さん」


 くいくいと裾を引っ張る。 胸の下に腕を組んで、前を見据えていた黄蓋。

口元には笑みがなく、目もどちらかというと冷めていた。

口元の黒子は艶やかで、女性と意識させられる美しさ。

おまけにプロポーションも抜群。 性格もいいはずだ。 だって黄蓋ですし。


「儂に何かようですかな、袁術殿」

「お姉さんは、だあれ??」


 きょとんとした顔をした。してやったりと思った。

そしてフッと笑った顔はとても綺麗だった。


「儂か? 儂は黄蓋。 字を公覆という。 よろしく頼むぞ、袁術殿」

「うん、よろしくね黄蓋姉さん」


 俺に出来る最大限の笑顔を見せた。 警戒心を出させないためだ。

しかもこちらには子供というアドバンテージがある。

俺に出来ることは最大限、何でも使って見せる。

生き残る為なら親でも使う。 乱世で生き残るとはそう言うことだ。

そう言い聞かせた。


「お姉ちゃんはアレに混ざらないの??」


 アレとは目の前で繰り広げられているどんちゃん騒ぎである。

先程までの言い合いはもう終わり、今はただの宴会にかしている。

孫堅の娘達も巻き込まれてるがとても楽しそうだ。


「儂も混ざりたいところではあるが、文台様だけでなく袁逢様までおられる。儂には恐れ多い」


 そう言って苦笑い。 まぁ確かに、上司と他の会社の上司と飲むようなものだ。 恐縮して当然か。


「袁術殿は混ざらなくて良いのか? ウチの策殿や権殿もおるし行った方が良いと思うが」

「うーん。あの中に飛び込むのには勇気がいるなぁ。

もう完全に出来上がってるし。 お互いのお目付役も機能してないし」


 とつい溜息が出た。

するとカラッとした笑い声。 そして慈愛に満ちた瞳。 こぼれた笑顔。

あぁ、やっと笑ってくれた。 やはり美人の笑顔は素晴らしい。


「袁術殿は中々苦労人のようじゃのう」

「そういう公覆様はお気楽そうですね」

「これは一本取られましたな」


 こういうやり取りは久し振りだ。 何せ飲んでないからな。

すると袖を引っ張られる感覚。

振り向くとにかりと笑う少女と申し訳なさそうな少女がいた。

孫策と孫権だ。


「初めまして、袁術様っ!私は孫策。字を伯符っていうの、よろしくねっ!」

「ご丁寧にどうも。 知っての通り、袁術、字を公路といいます。 こちらこそよろしくね。

君もよろしく頼むよ、孫権……でいいのかな?」

「うん、私は孫権。 字が仲謀。 よろしくお願いします。」


 孫策よりも孫権の方が大人しいというか、大人びているというか……

そして強引に手を引かれる。


「ねぇ~、袁術も祭も向こうに行こうよ~」

「ね、姉さん。強引にはいけないよ。すみません、母が二人を連れてこいと言っているので、来てもらってもいいでしょうか」


 黄蓋と顔を見合わせる。


「文台様が?? それはまずいですよね?」

「そうじゃのう。よし、袁術殿参りましょうか」

「よ~しっ、行こう行こうっ♪」

「あぁ、これ引っ張るでない。策殿」


 グイグイと孫策に引っ張られる。その後ろで、恐縮してる孫権。

この子、小さいのにしっかりしてるな。


「孫権殿、そんなに畏まらないでいいですよ。年頃も近いですし」

「なら敬語をやめて、敬語で接せられたら私だって、貴方を敬うのは至極当然の事よ」


 知ってるかい、これで俺たち3歳なんだぜ。 どう考えても無理です。

本当にありがとうございます。

今だにグイグイと引っ張られながら、孫権に話しかける。

孫堅のところまで後少しってところだ。


「孫権。 君は凄く大人びているが、何か目標でもあるのか?」

「あるわ。 勿論母さんよ。貴方は??」

「勿論あるさ。 それをなす為の覚悟もある」


 孫権は神妙な顔でこっちを見た。 俺の覚悟を母さんと孫堅達の前で宣言する。


「来るべき乱世で生き残ることだ。 このままでは民草が決起するだろう。

早ければ10年位になるだろうけどね。時間の問題じゃないかな。

それだけ今の宦官や十常侍は腐っている。

僕は霊帝の崩御と共に漢王朝が終わると思っている。

それは宦官や十常侍達が崩御と同時に権力争いをするのが目に見えてるからだ。」

孺子(こぞう)、そこまでにしておけ。 オレや琴音は漢王朝に仕える身だ。

これ以上言うのならオレ等はお前を斬らざるえない」


 孫堅の目が事実であることを語っていた。

だが、ここではいそうですかと引くわけにもいかない。


「言ったはずです。 覚悟があると。 宣言しておきます。 間違いなく群雄割拠の世になると」

孺子(こぞう)っ!!」


 頭を軽く殴られる。 痛いが怪我は無い程度。


「叶、言動を慎みなさい」


 ここまで、母は止めに入らない。 不敬だから? 違う。 ここで動けば毒も動く。

これは、今俺に出来る十常侍への忠告だ。 その意思を汲んでくれている。


「僕は事実を言ったまでです。 宦官は何をしてるんです。十常侍は助けてくれましたか??

彼らは税と権力を貪るだけ。民が苦しみ、賊へなっても気にしない。

ただ命じて斬らせるだけで、根本的な回復など勤めもしない。

袖の下に賄賂を詰めるだけ詰めて、助けての声に耳を傾けない。

帝の食事に毒を入れ、幼き皇子達を自分の傀儡にしたてあげようとするだけ。

それも知らないでよく帝に忠誠を誓うだなんて言えますね!」


 孫堅は勢い良く振り上げた拳をおさめた。 瞳は今だに怒っている。まぁふりだと思うが。


孺子(こぞう)、今何って言った。」

「帝の食事には気づかない程度の毒が入れられています。

あまりに少量なので気づくことはないでしょう。

それから薬湯も、気分が良くなる程度しか効果がない」


 胸ぐらを掴まれ、持ち上げられる。 かなり苦しい。

孫堅の目の前まで持ち上げられる。


「その言葉、本当か? 嘘ならどうする」


 胸ぐらにさらに力がかかる。


「首を刎ねるがいい。予言通りになった時に後悔するだろうけどね」

「男に二言はねえな?」

「ない。 言ったはずだ、覚悟があると」


 その言葉を聞いてパット手を離される。 こちらを見下ろし、にっと笑う。

やはり、ここにいる(スパイ)がいる手前故の行動か。


「周異、すぐに調べろ」

「はっ」

「黄蓋、おなえは華佗を連れて参れ」

「それでしたら私も行きましょう。七乃ついて来なさい」


 それぞれが俺の言葉を事実かどうか、確認する為に動き出す。

ふと目線を孫堅に向けるとまたにかりと笑った。


孺子(こぞう)、これから一月以上は建業のオレの家に来てもらうことになる。 意味はわかるな」

「結果が分かるまで拘束。 母が変なことをしないように人質ということですね」


 それと感ずいたガキを殺されないように疎開、ってとこか。


「そうだ。良いな琴音」

「良いも悪いも、こうなってしまったら仕方がないわよ。

ただ、それまでに息子に手を出したらただじゃおかないわ」


 こうして孫家と袁家の御家騒動は幕を上げた。

その横で怯える孫権の頭を撫で、大丈夫だとあやす。

それと、何が気に入らないのか分からないが、孫策よ足踏んでお尻を抓るな。痛いだろうが。


 娘達の反応を見て、何がおかしいのか分からないが、大声で笑う孫堅と母袁逢。

それにつられて笑う3人の子供たち。

さっきまで半べそかいていたのが嘘みたいに、花が咲いたようないい笑顔だった。

この場にある沢山の笑顔を守りたい。

そう思えたのは、この時代に来て初めてのことだった。




 でも俺は今回顔見せと繋がりを得る為に来たのに、なんでこんな事になったんだ??




改訂前、孫堅の一人称は儂、俺、私だったのですが、真・恋姫†夢想-革命- 孫呉の血脈で俺だったので、オレ固定になります。


あと、改訂前中々不評でしたが、これならOKだと思います。

頑張りますので、何かあったら気兼ねなく感想までお願いします。


それでは皆さんまた来世。

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