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起きたら名族[改訂版]  作者: Dearboy
爆誕!名族は男の子!
3/10

第3話 「結婚の話は早すぎる」

 やっ、俺の名前は袁術。 真名は叶って言うんだ。

あの後直ぐに真名を考えてくれた。

で、その場にいなかった張勲さんは床ドンしてた。


 2歳になったので本格的に勉強始めました。

生前、横○さんがCMで合格してたの見て、ユーキ○ンで資格を取りまくったのがこうを制し、ぶっちゃけ張勲さんより頭がいい。

 母さんが執金吾の時になるまでが勝負だ。歴史で没年不明だが、執金吾の時に亡くなっている。

それまでに俺に出来ることをするしかない。

 

 それと剣も覚えなきゃ。 剣道を習っていたから出来れば刀がいいな。

と言うよりも、それ以外扱える気がしない。

 あとは宦官を殺すタイミングが分かりづらいから、そこの見極め。 軍の掌握に務めないと。

 あとは他の諸侯との繋がり、特に孫家とは良好でいないと。

今のうちに貸しを作っとかなくちゃ。 やることいっぱいで大変だけれど、これみ生き残るためだ、頑張ろう。


「袁術様、袁術様!七乃がご本読んであげる♪」

「勲姉様、1000+50×2+(600-200)=?」

「え゛!?えーっと??」

「1500だよ。僕、早くお母様と一緒に働きたいから、お勉強します。 お勉強したらどうですか、張勲様も」


 俺の言葉に涙をためる張勲さん。 少し言い過ぎたかな??


「お勉強一緒にしてくれる??」

「うん」

「たまには一緒に過ごしてくれる??」

「うん」

「私と結婚してくれる??」

「八重さんと結婚する」

「うわーんっ!! お母さんの馬鹿!!」


 彼女は部屋を出て行った。やり過ぎた。後でフォローしておこう。


 竹簡を片っ端から読み続ける。 中には兵法から雑学まで色々書いてある。

今は孫子を読んでいるところだ。

まだまだ下半身が不安定なので、スクワットが出来ない代わりに竹簡を手に持って、その場でしゃがんでは立ってを繰り返している。

が正直なところそろそろキツイ。 まだ65回なのだが、プルプルしてる。

だが、限界の先に未来が待ってるんだ。

100回を越えるまで、僕は、立ち上がるのを辞めない。

あ、文字霞んで来た。



SIDE 八重



 娘が猛抗議して来た。 中々叶様が遊んでくれない。

そこはいいとして、大きくなったら結婚というお約束を聞いたらしいが、答えは否。

そこはおいおいどうにかするとして、どうも私と結婚すると言ってたみたいだ。

そこに腹を立てたらしい。


 幼い子供というのは、母親の事を愛するのが基本なのだから当然なのだけれど、いつの間にそんなに寵愛を受けるようになったのか、自分でも謎ね。

少し前までお乳は飲んでくれないし、琴音の後ろに隠れられるしで、それっぽい仕草はなかった。

それにいくら叶様大人びているといっても、まだ2歳。

結婚の内容を知っているのだろうか。 というか七乃気づきなさい。

2歳が竹簡を読みふけるという異常を。

でも華佗のお墨付きと言っていたのよねぇ。

とりあえず、叶様のところに行ってみる。

それが先決ね。




 部屋の前まで来て、幾度も声かけたのだけど、物音一つしない。

そろりそろりと扉を開けるが、目に付くのは竹簡と書簡ばかり。

中には兵法から雑学まで、孫子が特に多いようだ。

これを本当に叶様が読んでいる?? 字の読み書きは?それに他に地図。

拡大した周辺の地図とこの街を拡大した地図と駒。硯と筆。 これは……一体??


 辺りを見回すと叶様が竹簡を片手に寝ておられた。

こう言うところは子供なのだとホッとする。

だが何故、机もないところにうつ伏せで寝てるのだろうか。

寝苦しいだろうと思い、叶様を抱き上げて、寝台へと運ぶ。

やれやれ、仕方ないので出直しますか。

そして私は部屋を出た。




SIDE OUT



 目が覚めた。 時刻は分からないが、日が傾いている。

スクワットもどきは96回しかしてなかったので更に14回しておく。


 さて昼寝もしたから頭はスッキリだ。 見取図を片手に防衛を考えてみる。

正史では袁術は荊州を任される。一番美味しいのは「南陽郡」。

人口が240万人。この時代は人数がいればいる程国力が増すので、かなり魅力的だ。


 2つ目の旨味は「襄陽城」と「樊城」。 いわゆる「襄樊」だ。

この2城は南郡の北端を流れる「漢水」を挟んで建っている。

ここは中国のド真ん中に位置しているから、最大の重要拠点となる。

これは「三国時代」もだが、それ以降、中国が「北」と「南」に分裂した場合、襄樊を「南」が有しているときは、両国のバランスは保たれている。

が、「北」が襄樊を陥落させると、「南」の滅亡は時間の問題となる。 という歴史が繰り返される。

全国統一を志すならば、「襄樊」は必ず手に入れなくてはならない要衝なのだ。

まぁ天下統一は考えてないけどね。


 そして3つ目は「江陵」。 江陵は南郡の南端、長江に接するところにある都市。

ここは荊州の北部と南部を結ぶ要衝であると同時に、荊州各地の物資が集積する重要拠点。

詰まる所、ここを抑えれば関税だろうがかけれるということ。


 そして4つ目。 「江夏郡」。 ここは中国最大の銅鉱山がある。

ここで採掘、加工して売ればかなりの儲けが見込める。


 そして最後に南方4群は未開発エリアで、膨大な土地があり、人口の増加率もかなりのもの。

税収もかなりあったので、袁術は金には困らないというのも頷ける。


 さて現在の「南陽郡」は、荊州刺史の王叡と南陽郡太守の張咨が支配している。

どちらも孫堅の天誅により死亡する。 あ、一人は目の前で自殺だっけ??

まぁいい、そこは俺が動かずともいいし、孫堅が成り上がるために必要なことだから、手を出さない。


 よって荊州を得た以降のことを考えよう。

とにもかにも内政だな。 まずは税金だな。 四公六民。 これは間違いない。

 次は道路の整備に、水路の整備。 これは急務だな。

 あと町の警備もまだまだ甘い。 警邏が主な警備にあたるが、穴が多いうえに、無駄が多い。

駐在場を設置するのが一番いいな。 5人一組を3チームにしておくのが一番いいな。

 

 あとは保存食としてネズミを捕まえて煮沸する。

骨や皮、内臓をとり、干し肉にする。

延々と繰り返せばかなりの量になるし、疫病対策にもなる。

そして農業の知識を広めないと。

国で林業も推し進めていかないといけないし、問題は―――


「儒教か」

「儒教に何か問題が?」

「儒教では死体を燃やす行為は禁止。

でも死体は燃やさないと土は腐敗するし、疫病の原因に繋がる。 だけど今の時代は儒教が主流……ん??」


 振り向くとそこには八重さんがいた。 それはもう満面の笑みで。


「叶様、そのようなことを一体何処で習ったのですか??」


 あれ?青筋立ってますよ? もしかしてピンチですか?


「そこの書籍に載ってました!」

「では文字は何処で習ったのですか??」

「母様と勲姉に習いました!!」


 嘘は言ってない。 ほんの少し誤魔化してるだけで。 が更に目が細くなった。


「この書簡や竹簡はどうやって手に入れたのですか??」

「母様と勲姉から頂いたり借りたりしました!!」


 すると八重さんの目尻にジワリと涙が滲む。


「私はお役に立ちませんか??」


 その一言は全てが込められていた気がした。


「八重さんがいないと嫌です。」

「本当ですか??」

「はいっ!」


 良かったとポツリと出た言葉に俺はホッとした。

危機は脱した。俺まじでホッとした。


「ご飯できましたので、参りましょう叶様」

「はいっ」


 部屋を出て、愛おしそうに抱きかかえられた。 悪い気がしない。

美人だし、気だてがいいし、家族想いだし。

あったかくて優しくて、俺もつい抱き返してしまった。

彼女はもっと笑顔になったので、俺も嬉しくなった。

食堂までに道のりは会話がないが、いいひと時だったと思う。

あと食堂に入ると、こっちを見た張勲さんが、壁ドン(物理)をしていた。


 食事中に八重さんが「叶様、私と結婚したいって本当ですか?」と爆弾を投じたので、


「そうですね、八重さんと結婚出来る方は幸せでしょうね。ただ僕とは少し年の差があるのでそう言う対象には難しいでしょうが」


と釘を刺しておいた。


「じゃぁ私は!?」と身を乗り出してくる張勲に対しては


「将来振り回されそうで、ごめんなさい。ちょっと想像出来ません」


と言っておいた。

これが2歳児に振る内容かよって思った。


 その場は特に何もなかったものの、僕の湯浴みに乱入したり、朝起きたら隣で寝てたりしてギョッとした。

そう言うところが無理なんですよと言ってあげたい。

まぁ幸せそうな寝顔なので良しとしますか。




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