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起きたら名族[改訂版]  作者: Dearboy
爆誕!名族は男の子!
1/10

第1話 「起きたら名族になっていた」

 何かよく分からないけど、俺の名前は袁術。字は公路っていう。 起きたら赤ん坊の羞恥プレイを耐えて、死亡フラグを叩き折るのを目標にしてる。

いきなり2度目の生を受けたのだけれど、自我がはっきりしているし、袁逢が母親ってのにビビって思いっきり泣いたのは苦い思い出だ。

 父親の姿は無く、常に乳母と母、袁逢が面倒を見てくれた。

すぐに母様と呼べるように口を動かしていたが、うまく言えず、あぅあぅ言っていた。


 夜泣きもせず、あまりに手間をかけないため、いい子いい子と育てられた反面、医者にもよく見せられた。


「驚いた。これは凄いですぞ、袁逢様!この子はすでに自我が芽生えている。つまり、所謂物心がついたというわけですな。おめでとうございます、袁術様は正しく、正しく神童でございますぞ」


 ふと袁逢を見上げると恍惚とした表情で頬を手で覆っていた。 こちらの視線に気づいたのか、俺を目の前に抱き上げてニコリと微笑んだ。


「袁術。お前は頭がいいんだね。流石名族たる妾の息子よ。お前が生まれて来てくれて本当によかった」


 そうして俺の顎を肩に乗せて、せなかをトントンとあやすように優しく叩いた。 そして眠くなって来たので、目を閉じてお母様と呟いて意識を離した。




SIDE 袁逢




 妾の名前は袁逢。字を周陽という。ついに妾の子が生まれた。

1升6合(2560g)とやや痩せ気味だが、とても大きな産声を発したので安心した。


 夫は先に逝ってしまったが、この子をしっかりと遺してくれた。

夫には本当に申し訳がないと思っている。妾にはもう1人娘がおるのだが、その子は名族にはあり得ぬ下賤の血を取り入れてしまった。

恋という熱病に現を抜かした、愚かな妾を夫は許し、良い沿ってくれた。

あの者は出自が下賤な為、妾を手篭めにしたと即刻打ち首になってしまったが、それも妾が愚かだったためだ。


 我が子袁紹は字を本初とし、妹の袁隗に預け、育ててもらっている。

馬融の息子とまだまだ睦合いたいだろうに、他の子と共に育ててくれておる。本当に頭が上がらない出来た妹よ。


 そして目の前で穏やかに眠るのが夫の遺児袁術だ。 本初と違い、夜泣きもせず、騒ぎ立てることもない。

全くと言っていいほど手間を掛けない、あ、妾の乳を飲むのを一度だけ拒否したことがあったの。それ以外まるで問題のない自慢の息子である。

起きている時は常に何かを言いたそうにあぅあぅ言いておる。必ず妾が来てから、妾の顔を見て必ず言うのじゃ、それが可愛ゆうて可愛ゆうて、堪らんとギュッと抱きしめるのじゃ。


 手間のかかるといえば、袁術は這いつくばって必ず柱まで行って、柱に手を添えて何かしようとしてるのじゃが、まさか立とうとか思っておるまいな?

少しばかり心配である。

 しばらく経ってから袁隗に我が子袁術の様子をこれでもかと竹簡に書き留めてやった。あまりに書くことが多すぎて5個になったが、それでも足りぬほどだ。

例えば張熾が乳母をかってでてくれたのだが、張熾が言うには、妾以外の前では決して笑わない。

あとは張熾の娘の張勲が面倒を見てくれる時もあるのだが、失敗したりすると逆に泣いている張勲を必死にあぅあぅ言いながら、あやすかのように頭を撫でているのを目撃したとか。

そんな話を聞いて、鼻から愛情がたっぷりと出そうになったのを必死に我慢した。


 数日程経ってから、生真面目な袁隗から竹簡2個程の返事が届いた。

初めは姉さんも遂に親馬鹿になりましたねとか、私の子達も袁術のように手間のかからない子達ならよかったのになどと書いてあったが、2個目からは、字にもかなりの気合が入っておった。

何事かと思い、真剣に読み進めていく。

書の内容を要約すると、こう書いてあった。

なんでも、子育て。特に赤ん坊の時期はもっと苦労するものだと、一度医者を呼び、見せた方が良いのではと袁隗がいうので、不安になったので医者に見せた。


 そして――


「驚いた。これは凄いですぞ、袁逢様!この子はすでに自我が芽生えている。つまり、所謂物心がついたというわけですな。おめでとうございます、袁術様は正しく、正しく神童でございますぞ」


 名医者、華佗が言うのだから間違いない。 我が子袁術は神の子であった。 間違いだらけ起こした妾にもたらされた奇跡。 神に……夫に感謝しておる。

この喜びをどう表現したら良いか分からなくなった妾は両手で頬を覆った。顔が熱いのが分かったからだ。


 この奇跡、決して手放さんと我が子を眼前へと抱き上げ、喜びを息子へと語り、今まで我慢したであろう、息子がお眠の時間なので、眠るように良々とあやしていたのだが、眠る直前に信じられない言葉を発したのじゃ。

まだ生まれて半年も経っていない我が子の口からはっきりと。


『母様』と。


 妾は耳元で起きた奇跡にギョッとした。

もう一度聞きたいが、もう完全に寝入っている袁術を起こすのは気が引ける。必死に、必死に我慢したのだが、鼻から愛情が零れ落ちた。


 目の前で華佗がギョッとしているのでついでに聞いてみたが、0歳児が喋るのは稀であり、3ヶ月でさ行を話すとなると、神童以上に化生であるかと疑う。

それ程の存在であるらしい。


 あまりに妾が引かないので、どれどれと袁術の口の中を覗き込む華佗。

深く窪んだ、細い目をこれでもかと見開いて指差して驚愕している。


「こいつはたまげましたな。もううっすらと歯が生えて来ている。成る程、先ほどの話は嘘ではないかもしれませんな」


 此奴は……先程からそう申しておろうに。


「じゃから言ったであろう。嘘ではないと」

「いやいや参りました。医者としては、自分で見ないからには納得出来ない質でしてな、今は信じておりますぞ」


 人の子を化物呼ばわりしおったからに。


「して、結論を申せ」

「はい。順調に育っており、成長の速度は著しいです。それよりも―――」

「む、なんじゃ」


 言うのを躊躇い、一度目を伏せたがこちらに向き直った。


「周陽様!」

「ひゃいっ!」


 いつに無く真剣な顔。 そしてゆっくりと顔を近づけてくる。 だ、だめじゃ。妾には夫をもう裏切るつもりは―――


「鼻血、止まりませぬか?」

「ん―――ん??」


は な ぢ じゃと??


「何を焦っておられるのです。地が出ておりますぞ。先程から滴っております鼻血のことでございます。真剣に我が子を案じておりましたので、置いておきましたが……そろそろ量的にまずいので聞いてみたのですが―――止まりますかな??」


 なんじゃ、鼻から零れ落ちる愛情のことか。 言われてふと下を見ると、見事な血溜まりがあった。 これは兵達が流したらまずい量じゃないか!


「妾は自体は問題はない。じゃが―――」

「暫く下を向いて柱に寄りかかって安静して下さい。今詰め物を用意しましょう。それとも周陽様が嫌がるあれをしましょうかな?」


あれ。アレか―――


アレとは患部に針をさし、よく分からん呪文を唱えると病気が治ると言うもので、爺が病魔退散とか格好つけているのが余りにも見苦しいので、妾の前では普通の医療行為以外禁止にしてるのじゃ。


「大人しくしておる。誰かあるっ!誰か張熾を呼んで来おれ」


数分も立たぬうちに張熾―――張子鳳がやって来おった。


「袁逢様お呼びで―――袁逢様!そのお姿は!?」


 ものすごく狼狽してる子鳳が愛らしいが、それどころではない。


「袁術を頼む。妾は少しばかり休むのでな」

「それは勿論ですが、お召し物はどうなさいますか?ご用意致しましょうか」


 む、確かに服が大分血濡れておるな。しょうがない、着替えるとするか。


「頼むぞ」


 こうしてのちに語られる、袁家の襲撃されてないのに瀕死事件は幕を閉じた。

そんなものは語り継がんでいいっ!!



お久し振りの方はお久し振り!

初めての方は初めまして!


ようやく真・恋姫†夢想-革命- 孫呉の血脈を二周クリアしました。

なので、改訂しながら復旧させていきます。

待った甲斐あって、書き直さないといけない所が多数あります。

まぁ、ある程度書き直すのみで、大筋は帰る予定はありませんが。


大幅に変えるのは黄祖です。

真・恋姫†夢想-革命- 孫呉の血脈の黄祖はかなりキャラ立ちしてたので、ウチのザコ黄祖ではまずいと思いまして成るべく寄せていくつもりです。


またゆっくり更新していきますので、よろしくお願いします。

それでは皆さんまた来世。

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