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各自が守るもののためにするべきこと

意見や感想、疑問等がありましたら書いてくださると助かります

第5話 それぞれの台所事情


「魔族の人口過多で今回の魔王軍侵攻が起きたのか」

「そうよ。今では500万もの魔族が食糧不足で苦しんでいるの」

 俺達は先日、発生した魔王軍侵攻の理由をプロメとキロフから聞き出していた。

 彼女達の説明によると、魔族全体で600万もの数が前世のロシア連邦のあたりに住んでいるのだが食糧生産が間に合わず、毎年のように餓死者が数万人単位で発生しているとの事だった

 そのため、ある程度の口減らしのために勇者が召喚させるように人間界に圧力をかけていたが、今回の件で対象が人間界の俺達の国に変わるのは必然だという。

「で、変わった場合はどのぐらいの数の魔族が来るの?」

「そうね、最低でも100万人単位で来ると考えていいわ」

「100万・・・」

「先日の侵攻よりも倍の数という事ですか~」

「多すぎる・・・」

 完全に、魔族版の人海戦術だな。人は畑から取れると言ったのは誰だったか忘れたが、普通だったら完全に絶望ものじゃねーか。

 どんなに、勇者がハイスペックな能力を持っていても数で押し切られれば、いずれ体力切れで殺されるレベルの数だぞ。

「それと、いわゆる魔王と言われている奴は誰なんだ?」

「それはもちろん、ルシファー様よ」

 ルシファーというと、七大悪魔の奴か。

 となれば、他にもサタンとかベルゼブブなんかもいるんだろうなぁ。

「やれやれ、ついにこいつを出す時が来たか・・・」

「そんなことよりも逃げよう、ハデス!」

「はぁ?」

「バエルの言う通り、こんな大群相手に戦い必要はありませんよ~」

「じゃあ、荷物の整理をしてくるわ」

「わしも手伝おう」

「わたしも・・・」

「いやいやいや、待て待て待て!なんでそうなる!?」

 俺の判断を仰かずに、無理だと判断するバエル達を引き留める。

「なに勝手に物事を即決して行動しちゃってるのさ?」

「だってこの数相手に戦うなんて無理だよ!」

「ハデス!あなた死ぬ気!?」

「そうですよ~、いくらなんでも無茶すぎますよ~」

「だったら正面から戦わなきゃいいだろ!」

 彼女達があまりにも悲観しすぎるため、俺は元コマンド-の隊長みたいな口調でそう言ってしまった。

「・・・正面から、戦わない?」

「どういうことですか?」

「つまりだな・・・」

 俺が言いたいのは、今までに砲撃や近接航空支援のような一定の数の兵器を、予想した作戦範囲で活動させる部隊展開をしてきた。

 だが、それは数十万人の敵兵を倒すために立案したもので数百万人にも及ぶ敵兵をそれこそ、いっぺんになぎ倒すだけの火力を有していない。

 また、それだけの人数を倒すのには大量の火器や航空機が必要になるため、現在の財政では賄いきれないために彼女達が逃げ出そうとした要因にもなった。


 しかし、その問題を解決できる兵器が1つだけある。


 それは、核弾頭を搭載したミサイルだ。

 こいつだったらミサイルの1発でかなりの敵兵を倒すことができる上、かなり安く仕上がる。

 実際の威力を普通の爆弾と比較すると、核弾頭20キロトンで2万トンもの爆弾を一気に爆発させるのと同じぐらいの威力になる。

 これを、Aー10サンダーバルトⅡの爆弾搭載量に当てはめるなら3機分の爆弾の量になる。

 また、キロトンの上にはメガトンという単位があり、1トンの100万倍という規模になるため、20メガトンとなればおおよそ3000機ものサンダーボルトⅡが必要になる。

 さすがに、そこまでの数をそろえて維持するのは大変だから核弾頭の配備に踏み切ろうと思う。


 ただ、問題なのが1つだけある。


 それは、放射能汚染だ。

 広島や長崎に投下された核爆弾が爆発した後、白血病などで苦しんだ人が大勢いると聞いたし、チェルノブイリの原発事故で数十年が経っても帰宅できない地域になった。

 そのため、実戦配備する前に一工夫して魔核弾頭にした。

 これは放射能汚染が起きない核弾頭で、広範囲に発生した熱と爆風で大量の敵をなぎ倒せるものだ。

 ただし、威力自体は通常の核弾頭と同じにしてあるため、都市からかなりの距離を離して爆発させる必要がある。

 結果的に、魔王軍の本格的な侵攻に対しての有効な一手を打てるのは大きい。

 それでも、数の暴力による戦闘をなるべく避けるためにホムンクルス・ゴーレム・キングであるヴィクターに作戦計画を練るように伝えよう。

 彼女ならば一寸の狂いもなく、しっかりとした作戦を練れるだろうからな。


 それはともかく


「はぁ・・・」

「どうしました?ハデス」

 魔王軍に関しての指示を一通り、出した所で俺は深いため息を吐いた。

 そんな俺に気が付いたサガンが、優しく声を掛けてきた。

「いや、魔王軍の本格的な侵攻を考えると憂鬱にもなるぜ」

「あら珍しい。そういった表情になるという事は自信がない、という証拠ですわ」

「自信?・・・確かにないな」

 理由としては、プロメとキロフが率いていた魔王軍が魔族全体の強さで言うと中の上ぐらいで、ルシファーのレベルになると並の勇者でもあらゆるはったりと不意打ちを使わないと勝てないというレベルなのだ。

 そんな奴に、現代技術の粋を集めた核弾頭が役に立つのかが疑問だ。

 そもそも核弾頭に使われているものは、急速な核分裂によって膨大なエネルギーを発生させ、それが強力な光と熱、爆風になって周囲にダメージを与える。

 そのため、爆心地からかなり近ければ人間や木材でできた家屋などは蒸発するし、コンクリートの建物も倒壊するほどの強さだ。

 だが、それはあくまで熱と風による攻撃なので、それらに対しての耐性スキルがあればダメージ自体は防ぎきれるだろう。

 つまり、魔王レベルだったら核爆発すらも耐えきれるかもしれないのだ。

 そうなったらもはや、俺ですら敵わないだろう。

 そんな事をサガンに言うと、

「相変わらず、こういった所では弱いお方ですね」

「悪かったよ、弱くて」

 と、いたずらをした子供のように笑ったのでいじけてみる。

 すると、サガンは恭しく手を握ってこう言った。

「そんなあなただからこそ、私達や亜人達、そしてあなたを神とする宗徒達は皆、付いてくるのでしょう。だから今は肩の力を抜いてください。それがあなたの休息となるでしょう」

「そう・・・だな・・・。今日はゆっくりと寝るとするよ」

 俺はそう言って、サガンにキスをすると自室に戻っていった。


 ここ数日、長時間に及ぶ仕事漬けでかなりの疲労が溜まっていたのだ。そのため、今のうちに寝ておかないと今後の作業に悪影響が出る。

 そう判断して、今日は早めに寝るとする。


~~~~~~


 魔王城 王の間


「そう、プロメとキロフの軍が壊滅したのね」

 報告を受けた魔王は、壊滅して当然といった表情でそう言った。

 それも当然で人間界に侵攻させたのは全員、肉体的な加齢によって年寄りになり始めた魔族達だからです。

 魔族が年を取るのかというと、寿命の短い人間とは違って最低でも100年以上は生きる魔族は、人間にとっては年を取らない化け物だと見られています。

 魔族は滅多な事では死なないというのが人間の共通認識なのですが1つだけ、例外があるとすると寿命による衰弱死であります。

 しかし、実力主義を中心に置いてある魔族にとって年老いた魔族を野放しにする訳もなく、力なき魔族を見つけたらすぐに殺す事が日常茶飯事になっています。

 何でそんな事をするかというと、慢性的に食料が足りていないからです。

 魔族領は前の世界ていう所のロシアの地域であり、夏は暑くなるけど冬は極寒の大地になるため、それまでに魔族全員に賄えるだけの食糧を確保できないのが現実です。

 そのため、農地改革などの生産性向上を行ったり、7つの大罪のメンバー同士で発生していた派閥争いを終わらせて協力させたりしていますが、それでも限界はあります。

 その結果、プロメとキロフに人間界を攻撃させたのですがどうやら失敗に終わってしまったようです。

 そこで、私が食糧確保のための新たに計画を立て直していると、報告に上がってきた魔族が気になる情報を持ってきてくれた。

「え?たった数万の兵力で撃退したですって?」

「どうやら事実のようです、魔王様。その軍団は、我々の知覚できる範囲外からの攻撃や空飛ぶ鋼鉄の鳥、地を走る鋼鉄の象よって阻止したようです」

「知覚できる範囲外・・・」

 どういう事でしょう。人間達に、金属の塊を飛ばせるほどの技術があったとは思えません。

 あるとするならば、何者かが技術を公開したり、制作させたりしますがそう言った情報は掴めていません。ある一国を除いて。

 その一国とは、神聖ハデス教国。

 ()の国は、ほんの数年前にできたばかりの新興国で人間界では珍しく、積極的に亜人達を受け入れています。

 そのため、私も以前から少しばかり気になっていましたが、仕事に没頭する毎日でなかなか行けずにいました。

 決して精鋭とは言えないものの、数の力に任せれば敵うものなしの魔王軍を壊滅させたとすればその国しかいないです。

 そして、最も気になっていたのがその国に潜入した魔族が1人も帰ってこないのです。

 隠密専門の魔族ならば、人間の探知網に引っかかるはずもないのですがその国に入ると必ず、誰も帰ってこないのです。

 その結果、台所事情がよろしくない状況にあるため、私はある計画を報告に上がった魔族に伝えて7つの大罪のメンバーを招集します。


 私達の悲願を、遂行させるために。


~~~~~~


 神聖ハデス教国 ダンジョン本部の地上3階 教皇の部屋


「ふむ、予算的に魔王軍と戦う事は可能なんだな?」

「はい。だいたい、100人単位で雇う事ができて、最大で2000人程までが軍隊として組み込めます」

 俺とクロムが話し合っていたのは、国としての正規軍の設立についてだ。

 これまでの戦闘は、俺がダンジョンとして独自に持っていた戦闘集団で、民兵や私設兵の類いによる戦闘がメインだった。

 しかし、クロム達の教団からこのまま、俺達に任せっきりなのはダメだろうという気運が高まり、教皇であるクロムが掛け合ってきたのだ。

 俺としては、この考えに賛成だ。

 今までは、陣地防衛戦や他国の侵攻に援助する形で戦闘に参加する形できたが、魔王軍に目をつけられた可能性が高い以上、俺達の軍のほとんどを出払う場合も考えられる。

 その場合、勝つ事は無理だとしても国として自衛できる程度の兵力はほしい。

「わかった、正規軍の設立を許可する。必要なものがあったらこっちで用意するし、訓練等は現役を引退した傭兵や冒険者から教えてもらうと良い」

「ありがとうございます、ハデス様」

 俺はそう言って、教皇の部屋から出た。

 俺が転生してきてから2年半で、ダンジョンから国になって正規軍の設立に立ち会えるとは思わなかった。

 一からダンジョンを構築し、人を呼んで発展させ、亜人達の難民や宗教団体の受け入れによって私設兵を構築して防衛に当たった。

 そしてついには、国としての正規軍を持つ所まで来た。

 ここまで来るのにいろいろとあったが順調というか、順調すぎるために俺の力ではとても対応できなかっただろう。本当に、良い人材に恵まれた。

 だからこそ、この国を守って行くために行動していこうと思う。

 俺はそう思い、ステータス画面を開いた。


『種族:冥皇竜(めいおうりゅう)』『名前:ハデス』

『状態:正常』 レベル:999/999(MAX)

HP :99,999,999(MAX) MP :99,999,999(MAX)

攻撃力:99,999,999(MAX) 防御力:99,999,999(MAX)

魔法力:99,999,999(MAX) 素早さ:99,999,999(MAX)


固有スキル

『竜の鱗:Lv--』『竜の爪:Lv--』『竜の羽:Lv:--』

『言語理解:Lv--』『多言語念話:Lv--』『飛行:Lv--』

『闇属性魔法:Lv--』『炎属性魔法:Lv--』『水属性魔法:Lv--』

『木属性魔法:Lv--』『風属性魔法:Lv--』『空間魔法:Lv--』(New!)

『召喚魔法:Lv--』(New!)『HP自動回復:Lv--』『MP自動回復:Lv--』

『気配察知:Lv--』『魔力察知:Lv--』(New!)『気配遮断:Lv--』(New!)

『魔力遮断:Lv--』(New!)『ダンジョンクリエイト:Lv--』

『人心掌握:Lv--』(New!)


耐性スキル

『物理耐性:Lv--』『魔法耐性:Lv--』『状態異常耐性:Lv--』

『属性魔法耐性:Lv--』『落下耐性:Lv--』『恐怖耐性:Lv--』

『孤独耐性:Lv--』『(ねや)耐性:Lv--』(New!)『斬撃(ざんげき)耐性:Lv--』(New!)

刺突(しとつ)耐性:Lv--』(New!)『アルコール耐性:Lv--』(New!)


通常スキル

『ドラゴンブレス:Lv--』『ステータス閲覧:Lv--』『ドラゴンパンチ:Lv--』

『ドラゴンテイル:Lv--』『冥王の爪:Lv--』『冥王の息:Lv--』

『咆哮:Lv--』『変身術:Lv--』『錬成術:Lv--』(New!)

『料理:Lv--』(New!)『菜園:Lv--』(New!)『意思疎通:Lv--』(New!)

『剣術:Lv--』(New!)『槍術:Lv--』(New!)『総合体術:Lv--』(New!)

『弓術:Lv--』(New!)『銃器術:Lv--』(New!)


称号

『最終進化者:Lv--』『冥王の竜:Lv--』『悪の道:Lv--』

『災害:Lv--』『救護精神:Lv--』『勇者:Lv--』

『破道の王:Lv--』『ど根性:Lv--』『死者の王:Lv--』

『魔族の王:Lv--』『亜人族の王:Lv--』(New!)

『神に成り上がるもの:Lv--』(New!)


 この2年半の間で、20個ほどのスキルをカンストした状態で習得した。

 1年で、8個前後のスキルをカンストさせた事になるがかなりのハイペースで覚えていると思う。

 それにしても気になったのは、(ねや)耐性のスキルがカンストしている事だ。

 どうしてこれを習得しているんだ、と疑問に思ったが1年半ぐらい前に、バエル達に初めて逆レイプされた事を思い出した。

「あれか、あれが原因なのか?」

 あれは本当につらかったのか、いつの間にかスキルを習得していたようだ。

 これで俺個人もまた、魔王との戦いに備えているのだろう。

 そう思いつつ、俺は街に向かって歩いていった。

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