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ダンジョンの古株

俺  「今回は少し短いですが、これで勘弁してください。お願いします!なんでも(ry」

バエル「ん?今、なんでもするって言ったよね?」

俺  「いや、言葉の綾だからやめてほちい」

バエル「だが、断る」

(ビームが出る音)

俺  「ひでぶっ!!」


デデデ、デストローイ


ウィネ「作者が死んだ!」

サガン「このひとでなし!」

間章 バエル達の思い


「彼、寝ちゃいましたか~?」

「爆睡状態ね。あれじゃあ、朝まで起きないわ」

パイモンに聞かれたバエルは、彼女達のマスターであるバエルが眠ったことを伝えた。

「それは安心じゃのぅ」

「彼、意外と勘が鋭いからね」

「ちゃんと私の分まで残ってればいいのよ」

「アスモダイちゃんは相変わらずツンツンね~」

 いつものメンバーが集まるそこは、バエル達が集まる談話室。

 ハデスが彼女達のために作った憩いの場として機能していて、彼女達はそこにいながら実家ぐらしを堪能しているかのような気分にさせる。

 寧ろ、実家をそのまま持ってきたようなもので彼の魔力値の高さを示しているかのようである。

「彼に召喚されてから半年以上が経ったのか~」

「そうですね~。あっという間でした」

「なんだかんだ言ってやることが極端なのよね。彼って」

「だが、そこにあるのは合理性と自国の防衛のためだけにある。平凡な割には一生懸命な男よのぅ」

「そこがまた、可愛げがあって良いんじゃないですか」

 平凡ではあるが、一生懸命に自分の使命を全うする男、というのが彼女達の評価である。それは皮肉ではなく、彼女達なりの正当な評価であり、そして好意の表れでもある。

 彼女達にとって、好感度が上がるというのはその素質や能力ではなく、自分に与えられた使命や能力をフルに使って自分のできる範囲で全力で行動する、というものである。

 そのため、この地を占領しようとして聖光教団に加担していた勇者達を彼女達はこう評価した。

 最初に出会った時は、唯単純に世界の流れに流されていただけであったが、ハデスと出会ってからはちゃんと自分の考えで行動するようになった。

 あのまま、流されっぱなしだったら自分達が彼の代わりに殺していたかもしれないと思うほどの変わりっぷりである。

 そういった意味で、彼との出会いから今までの出来事が彼女達にとっては驚きつつもこの人なら気を許してもいいかも、と思わせる要因になったかもしれない。

 そして何よりも、思い出すのは彼と出会った時のことだった。


~~~~~~


「貴方がダンジョンマスターね」

「そうだ。と言っても、今は何もないダンジョンだがね」

 そう言われて(バエル)は、気配察知でダンジョン構造を把握すると確かに何もないダンジョンだった。

「できたてホヤホヤのダンジョンなのに、どうして貴方が・・・!?」

 私を召喚できるの?と聞こうとして彼の能力を見た瞬間、私の背筋が凍りついた。

 それは、彼の能力が桁違いに強かったのと同時に、彼の精神は彼以外の精神が混じっていたからだ。別に多重人格や彼の肉親とかではなく、完全に別の物が混じっていたのだ。

 しかし、それに関して彼は拒絶反応などを起こしている訳でもなく、平然としている。そのため、私は彼に興味が湧いた。

 彼がどういう人間で、私が信頼できるで人間かどうかを確かめたかったのだ。


 そしてそれは、驚きの連続だった。


 まず、ダンジョンを強化するのと同時に私が管理する範囲も与えてくれた。

 次に、私の同僚であるパイモン達を召喚して彼女達にもそれを与えてくれた。

 更に、ダンジョンが深すぎるとして分散型ダンジョンにして、私を含めた王の爵位を持つメンバーをリーダーにしてくれた。

 あまりに巨大化したダンジョンを感じ取った彼は、森があった場所を開拓しきって城壁を築き、人の出入りがしやすいように城門を作って人を呼び込んだ。

 結果は上々で、今ではかなりの人数の冒険者がダンジョンに潜ってお宝となる物を探している。

 彼を信仰している宗教団体が来た時には、のんびりとした彼でも頭を悩ませる事案だったのか、物凄い困った表情で対応していた。

 あの時はまだ、3重の壁の一番外側の居住区にしか人がいなかったため、彼の計画を崩されてしまったのだろうとみんなで推測したものだ。

 そして、その時に助けたドラゴンが2頭。ズライグとグイペルが仲間に加わった。

 始めのうちは、人間に裏切られたことによる人間不信で私達とはあまり話さず、彼とよく話していた。理由としては彼もまた、ドラゴンとして生きているからだろう。

 そして何よりも、彼の優しさに触れて気が緩んだのだろう。彼女達は、涙を流した次の日には本来の優しさを取り戻して笑顔になっていたのである。

 そして、聖光教団と名乗る敵勢勢力である宗教団体が来た時には圧倒的な火力で、叩きのめして占領するために来た30万の兵力の内、その殆どを戦死させたのだった。

 そんな圧倒的に不利な状況でも、果敢に突っ込んできて城門を突き破って来た勇者たちには敬意の気持ちが湧き出たものだ。だが、それまでだった。

 彼らは、彼らなりの理由があってここまで来たんだろうがそれはあくまで、他者からの懇願だったり、その場しのぎの判断であることが明白だった。

 ハデスのようにどんな状況になっても目的がぶれないような人物ではなかった。

 だから彼らは、今では人が変わったように働いている。いや、あれが本来の彼らなのだとわかったのは彼らがここに住み着いてから数週間が経過してからだった。


 それでも私達が気を許すのは、ハデスのような真っ直ぐに自分の目的のために手段を選ばない姿であり、戸惑いつつも行動する勇者達はまだ、私達の射程圏外である。

 だから、私達は彼と夜の営みを大々的にやって楽しんだのだ。


~~~~~~


「バエルちゃん、何を考えているんですか~?」

「ん?」

 私が今までのことを振り返っていると、パイモンが不思議そうな顔で聞いてきた。

「バエルが考え事とは珍しいのぅ」

「本当ね。悩み事でもあるの?バエルちゃん」

「あぁ、いや。ただ単純に今までのことを振り返ってたのよ」

「あ~、なる」

 私がそう言うと、みんなが納得した顔で頷いた。

「確かに、この1年はあっという間だったのぅ」

「ふふっ、彼と出会ってからもう1年ぐらい経ちましたね」

「あんなにねっとりとやるのは初めてだったわ」

「随分と短く感じましたね~」

 どうやら、私だけの感覚ではなかったようだ。そんなことを思いつつ、とある疑問をぶつけてみた。

「みんなはさ、これからもハデスに付いていくつもり?私はそのつもりなんだけど」

 するとみんなは、

「今更何を聞くのかと思えばそれでしたか~。当然でしょう?」

「当然ね。現段階では、彼以上の人物なんていないし」

「当然じゃのぅ。暫くは楽しめそうじゃからの」

「私達が彼から離れると森で聞いていたのなら心外ですわ」

 と、けせらせらと笑い飛ばした。

 どうやら、暫くはこのダンジョンで暮らすつもりらしい。と言っても、人間からすれば長い時間な訳で、最低でも数十年、長ければ数百年も一緒にいる可能性がある。


 となれば彼は幸せ者だな。


 なんせ、気の知れた相手と長い時間を過ごすんだからな。

 そう思いつつ、私もその幸せを噛み締めている1人でもある訳で、少なくともここにいるメンバーはその幸せを知っているのである。

 私は今、幸せです。

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