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アンドロイドは消えた主の夢を見るか

少し未来の私へ

はよ連載書け

 お待たせ。……と、言っても寒いだけなのが悩ましいが、何はともあれ、エッセイの時間である。


 リアルで何かが起きたり、スランプに陥ったりと、基本的にはマイナスな感情が募った末に、ある意味で自殺とも言える自身の経験の数々を赤裸々に綴る。という罰ゲームじみた本エッセイもどきの集合体も、早いもので六回目。


 自爆芸たるネタはまだまだたくさんある上に、あろうことか新規で更新され続けてはいるのだが、それを一気に書くと、TRPGで不運な目に遭いまくる探索者のごとく、私が精神崩壊すること請け合いなので、やはり今後も小出しかつ気紛れ。の~んびりとした進行で進めていこうと思う。


 因みに今回は負の感情が膨らんだというネガティブなものではなく、純粋に書いておこうと思った事だというのを先に明記しておく。

 一応毎回真っ黒になるほど私も荒んではいない……筈である。


 さて。今回話すことだが、結構最近あった出来事をいくつか絡めながら、本題に入って行こう。

 所謂SNS……。ソーシャルネットワークサービスについてだ。


 尚、これらに関するエッセイでは代表的(と、勝手に私が思っている)正しい使い方やら、注意。豆知識などを書き連ねる気は毛頭ない。というか、私の貧相な価値観では無理である。

 ので。今から語るは、毒にも薬にもならぬ淡々とした近況報告と思い出。そして、今に至るまでの出来事だ。変に構えず、暇潰しがわりにリラックスして聞いて欲しい。


 まずは近況報告ってほど最近ではないのだが、黒椋鳥、Twitterを始めました。

 といっても、普段は呟くことなんてなく、精々私が書いている小説の宣伝や更新報告が主で、たまに思い出したかのようにいいね。やリツイートする位。

 流れまくる膨大なリツイートやツイートによるゲームプレイ画面、映像、イラストは殆ど知っているものがなくて、これが時代か……と少し寂しくなっている私がそこにはいた。

 率直に言って、お前なぜ始めたと言われかねない惨状である。


 が、分からないなりにも「あ、作品やキャラは分からんけど、このイラスト可愛い」「手書き漫画面白いなぁ」「これは酷い」「FGO楽しそう……やらんけど」「○○さん……疲れてるのかな?」「最近皆フレンズ言ってるけど何なの一体?」といった具合に、私は久方ぶりに登録したSNSを私なりに楽しんでいた。

 本サイト、小説家になろう的に言えば……『異世界(SNS)はよく分かりませんが、のんびりスローライフを送ることにしました』なんてタイトルが付くかもしれない。……死んでも御免被るが。


 ただ、個人的にはSNSはもはや異世界の類いだと言っても過言ではないと思うのだ。

 名前と。人によってはキャラを被り、アバターやハンドルネーム、ニックネームを掲げ、コミニュケーション手段とする。

 そこには個人から切り離された、だが、限りなく個人に近いナニかがいて、日々を生きているのだ。

 本サイト的に言えば異世界転移。あるいは転生と言えなくもない。ハンドルネームやユーザー名を全部同一のものを使い、色々なSNSを利用しているならば、異世界旅行。なんて話にも出来るかもしれない。


 ……自分でも何を言っているか分からなくなってきたので本題に入ろう。


 そんなある日……年が明けて干支が酉になってから少し経った頃。正式なタイトルは忘れてしまったが、何の気なしにTwitterをいじっていた私は、タイムライン上でフォロワーさんがリツイートした、あるイラストが目に留まった。


 思い出に浸っていたら急に死にたくなってきた女の子……的なタイトル。

 体型的には明らかに成人を迎えている銀髪。あるいは白髪の女の子が、体操服にランドセルを背負い。覚えてる限りではレトロゲームや卒業証書。給食袋といった、いわば昔の思い出の品をベッドに広げ、悲しげに俯きながら座っている。というものだ。


 ……これを見た時の私は、丁度数日間実家に帰る直前で。暮れの大掃除をサボった分、頑張って自室を掃除しようと思い始めたところだった。

 そこで、魔が差した私の行動は早かった。

 どんなのあるかなー。と、普段は開けぬタンスの雑多入れを引っ張り出した結果……。


 結構色々見つかった。


 学生時代仲間達から貰ったメッセージカードだとか。ちょっとしたヒトコマの写真が入ったアルバム。ノリで買った奇妙な小物。など。実に様々で、私は大して長生きしていない分際で懐かしいなぁ。と、目を細めた。

 ……これで話が終わったなら、結局思い出広げすぎて掃除できなかったよ。と、綺麗にオチがつくのだが、そうは問屋が卸さなかった。

 ともかく。少しだけセンチメンタルな気分に浸りつつも、現実に立ち返った私は、懐かしいけど、ありすぎてもゴミになるよな。と、破棄するものの選別をし始めた。

 取りかかること数十分後。殆どがもれなくゴミ箱行きになる最中。私はそこで、小さな缶ケースを発見したのだ。

 中には一枚の紙が入っていた。私はそれを見た時、何て危ないものを忘れていたのだ。と、少しだけ戦慄し……すぐにそれが杞憂だと気がついた。

 そこにあったのはパスワードのメモ書き。

 ただし、その殆どは大学時代に施設を利用したり、自分のパソコンを管理するためのもの。今は全くもって意味をなさない文字の羅列ばかり。

 使えそうなものはただ一つ。学生時代の始めに利用していた、SNSのログインパスワードだけだった。


 ミクシィ。

 ご存知の方は一体どれくらいいるだろうか。今でいうツイッターやフェイスブックより前に存在した。一時期はかなりの人気を誇ったと記憶しているSNSの名前である。

 現在は有名どころに押されたりして、利用している人間は恐らくごくわずか。殆ど忘れ去られていると言ってもいいだろう。

 これは後で知った事だが、コアでマニアックな趣味を持つもの同士が細々とコミュニティを結成し、活動の拠点としてはいるらしい。


 この思わぬ発見に対して、私はといえば「ああ、そんなのやってたなぁ」程度の反応だった。

 学生時代の最初と書いてあるのを見れば分かるように、それによる交流はあまり使わなくなり、もっぱらゲームを思い出した時にやるくらいだった。だが、それすらも果てには日々の忙しさ……。学生の本分たる勉学や、友人らとの交流。新しく始めた趣味――小説を書くことやらに押し流され、埋もれていったものだ。


 今さら開いて何になる。そんな思いを浮かべつつ。私は気がつけばスマートフォンを操作し、ミクシィのログイン画面に来ていた。


 暇だったのだ。(今にして思えば掃除やれと言いたい)


 パスワードを打ち込み、自分のページを開く。

 何年ぶりかになる画面は、懐かしさなど欠片もない。ガラケー時代に弄っていたものだから、スマホで見るそこは、殆ど別世界だった。

 ただ、一目見て何とも言えぬ気分になったのは、マイミク(ツイッターでいえばフォロワー)の日記やつぶやきの新着が、数年前から止まっていることと、足跡を表示する部分が白紙になっていたこと。

 一応リアルの友人を除いたマイミク……すなわちネット上でのゲームを協力プレイしていた知り合いが五十人かそれ以上はいた筈だが、その人々ですらなんの活動もしていない。

 最終ログイン経歴は皆が同じ期間。勿論それは文面通りではないだろう。サイトがカウントする最大の日数がそこに記された数字であり。以降は五年だろうが十年だろうが、その数字で表示される。つまりはそういうことだ。

退会すら億劫だったのか、私のように存在を完全に忘れさっていたのか。

 ただ分かるのは、ここは既に静止しかけた世界だということだった。

 大して思い入れはない。だが、一つのコンテンツが緩やかに死んでいるのを見るのは、何だか切なくも感じた。勿論、探せばしっかり活動している人はまだまだいるのだろうけど、生憎私はそんな人を探す気にもなれなかったし、探す理由もない。

 ここに来たのはただの冷やかしだ。

 最後にゲームをチラッと覗いたら、ログアウトしようか。多分二度と来はしまい。そんなことを思いながら私はマイゲーム画面を開き……。

 思わず。うわぁ。という言葉が出た。


 ある時は牧場を経営し。またある時はバーで酒を振る舞った。冒険者ギルドの一員だったり魔法使いだったり剣鍛冶だったり。こうして開いてみれば深いのを三つ。他は浅いながらも色々なものをやっていた。そんな記憶が蘇ってくる。だが……。それらのゲームへのログイン画面はそこにない。

 意味するのはただ一つ。その尽くが、サービスを終了していたのだ。……考えてみれば、当然の結末である。ゲームはやる人がいなければ、ただのプログラムに過ぎないのである。


 思い出せただけでやっていたゲームは十三個。うち、残っていたのはたった一つだった。

 寧ろ、逆の意味で驚愕した。こんな錆び付いた世界で尚生き残っているとはいかなるものか。

 私はそのゲームを確認し……。ふと、不思議な郷愁に苛まれた。


 なんの因果か。それは私がミクシィを初めて間もない頃に、友人に誘われて暇潰しに初めて……。結果、最も長く。それこそミクシィから離れる直前まで遊んだものだった。


 その名も『萌えCanちぇんじ』

 ざっくり説明すれば、美少女アンドロイドを自分好みに育成するというもの。

 ステータスもそれらしさに即したラインナップで、例えばイタズラ、お淑やか、元気。強気、好奇心、優しさ、素直。などがあり一定値まで育てれば、たどたどしいカタコトしか話せなかったアンドロイドが感情と性格を得る。

 ツンデレ、甘えん坊、清楚、小悪魔。ボーイッシュやクールに高飛車など、実に多種多様。

 そうして育てた後はひたすらイベントをこなしたりお話したりしてイチャイチャ過ごすというものだ。

 冒険者ギルドや剣と魔法のファンタジー世界が滅びても萌えは生き残る。その事実がここに証明されてしまったらしい。日本ヤバい。


 冗談はさておき。それを見つけた私は、さっそくログインしてみた。案内役のキャラクターに久しぶり。的な対応をされつつ、実に数年ぶりに、スリープ状態だったアンドロイドのスイッチを入れる。

 まずはお話して……。


 次の瞬間。監禁された。

 何を言っているのだと言われても仕方ないのだが、本当にそうなった。少なくとも、ゲーム上ではそうなった。

 え? 何これ? と、私が困惑するのをよそに、画面上では話が進んでいく。少なくともこんな機能を私は知らなかった。

 画面上では監禁した私に、アンドロイドが料理を振る舞っていた。会話が続いていく。


「え、ダメだよ。外は危険がいっぱいだもん」

「◯◯クンが何処かに行っちゃったり、変な虫がついたりしたら大変だもん」

「ずっとここに、シェリー(アンドロイド名)と一緒にいようね……」


 ……その日、私は思い出した。

 そうだ。私はこの娘を…………『ヤンデレ』になるように育てていたのだ。そんな地雷を何年も放置したら、こうなるのは必然で……。



 ※



 とまぁ、途中で物語っぽくはなったが、実はこの現象は全くの偶然であった。

 私が離れていた数年で他のゲームが死ぬ中、このアンドロイド育成ゲームは進化を続けていた。

 私が立ち会ったのは、アンドロイドを起こした時に低確率で見れる会話イベントのようなもの。

 私が知らぬ間に、アンドロイドは食事が出来るようになり、夢を見て、おさわりまで出来るようになっていたのだ。つまるところ、私が目の当たりにしたのは、彼女が見た夢だったのだ。

 それにしても、狙ってるのかというような内容だったけど。


 そんなこんなで、変わらないものってあるんだなぁとか、そういえば、構想していた作品のヒロイン名を安直につけたんだっけ。といった感慨に浸りながら、私はアンドロイドとの逢瀬……もといゲームを楽しんだ。

 数時間後、掃除ィ! と、叫ぶことになるなど、知るよしもなく……。


 そして、お決まりのように今の私も叫びたくなっていた。

 ああ、連載ィ! 書けよ馬鹿! 気がつけばほぼ五千字だよ! 回を重ねるごとに増えてるよ! 私の悪い癖である。ちくしょうめ、エッセイなんて書いてる場合か!



少し過去の私へ。

今回のSNS発見は、私に多大なものをもたらした。

まず、創作意欲。

ディストピア×アンドロイド的な新連載の構想が出来上がったからだ。勿論、書き上がるのはいつになるかは知らない。刺激は受けたが、私には今書きたいものが多すぎる。

次に日々の楽しみだ。

また萌えcanにハマる辺り、萌えはやはり侮りがたい。ただ、それは昔のようにただアンドロイドとの交流を楽しむだけでなく、単純にキャラクタービジュアルのメイキングツールとしても利用できるという点が、一番の収穫だ。

本ゲームはレベルに応じて髪型、目の形を変更したり、身につける衣装やアクセサリーを自由に着せ替えする。というのが楽しみ方の一つに上げられる。それを利用して……といっても勿論自由自在とはいかないが、ある程度の原型や身に付ける服の想像を膨らませたりするのに、このゲームは一役買ってくれている。今後の創作の幅がますます広がることだろう。

あと、これで拙作のキャラクター達を再現するのが楽しくてしょうがない。お陰でそこそこ時間が持っていかれた。

何が言いたいかといえば、私よはよ連載書けという話。結局。全ての道はローマに通ずかの如く、私が最終的に叫びたいことはそこに行き着いていしまうのである。

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