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みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
信也はマリア、リズワーン、リズク、その他の村人たちと馬車に乗ってカリュ―村を離れていた。
信也の服装は黒色の戦闘服に黒色のヘルメットを被り、防弾チョッキ、タクティカルベストを身につけていた。
64式7.62ミリ小銃とM1911A2を装備している。
完全武装である。
村人たちも自警団の主力武器である護身用の剣や槍、弓を装備している。
信也たちは南の村に向かっている。
なぜかと言うと、最近南の村で盗賊が出没するようになった。
盗賊の被害は甚大で、小規模な村が2つ全滅してしまった程だ。
南の集落群は各地方の都市国家、村に討伐を依頼した。カリュ―村も例外ではなく、この討伐を引き受けた。
と言うのも、カリュ―村の現村長の娘が南の村にいるからだ。誰が見ても明らかのように断る理由もない。
「シンヤ君、マリアちゃん、リズワーンちゃん、リズクちゃん。災難だったな。せっかくの楽しいひとときがこんな形でお預けになって」
カリュ―村の自警団の1人が言った。
「そんな事はないわ。シンヤさんは村の自警団で、私たちは村の医術師なんだから、怪我人が出ればどこであろうと、行くまでよ」
マリアが代表して言った。
「それに、時間ならまだまだある。ゆっくりしていても大丈夫だ」
信也の言葉に自警団の男は笑った。
「これはこれはご馳走さんだ。はははは」
信也たちを乗せた馬車が整備された道を進んで行くと、遠くから1人の若い男が血相を変えて、こちらに駆け出しているのが見えた。
「ん?」
御者が手綱を操作し、馬のスピードを上げた。
若い男の手前で御者が馬を止めると、尋ねた。
「どうした?」
「助けてください。この先で盗賊に襲われているんです!」
若い男は息切れしながら、御者にすがりついた。
「どうしました?」
信也が顔を出した。
若い男は信也の顔を見ると、御者に言った事をそのまま説明した。
「今、騎士様たちが戦っていますが、数が多すぎて、とても太刀打ちできないんです。お願いします」
「わかった。そこへ、案内しろ」
信也は64式7.62ミリ小銃を持って、引き受けた。
「貴方がたは後から来てください。自分が馬で先に行ってます」
「わかった。気を付けろよ」
自警団の1人が言う。
「ああ。マリアたちを頼む」
そう言って、信也は馬車に繋がれている馬を1頭借り、若い男を乗せて、馬を走らせた。
「で、どこだ?」
「この先をまっすぐです」
若い男が指差す方に馬を走らせた。
「盗賊の数は?」
「20人ぐらいでした。護衛騎士様の4倍です」
それを聞いて信也は少し安心した。20人以上であれば、いくら銃があっても、厳しいが、20人ぐらいならなんとかなる数だ。
盗賊に襲われている商隊はさほど離れていない距離にいた。
「あそこです!」
若い男が叫んだ。
「わかった」
信也は馬から降りると64式7.62ミリ小銃のア(安全装置)を解除し、レ(連発射撃)に切り替えた。
コッキングレバーを引き、初弾を薬室に送り込む。
信也はまず、レッグホルスターからM1911A2を抜き、空に向けて2発発砲する。
銃声が響き、盗賊、騎士たちが驚き、動きを止める。
「一度だけ警告する!武器を捨てて投降しろ!」
信也が盗賊たちに警告する。
「なんだあいつは?」
「いいからやっちまえ!」
落ち着きを取り戻した盗賊たちはそれぞれの得物を持って信也に襲い掛かった。
「まったく、警告はしたぞ」
信也は心中でぼやきながら、64式7.62ミリ小銃のフロントサイトを覗き、盗賊たちに照準を合わせる。
「恨むなよ。こんなところで俺に会ったお前たちに運がないんだ」
そう言いながら、64式7.62ミリ小銃の引き金を引く。
連発音と共に7.62ミリ弾が盗賊たちに襲う。
「ぐわぁ!」
「がはぁ!」
盗賊たちは断末魔の叫び声を上げながら、絶命していく。
襲い掛かった盗賊たちを血祭りに上げた後、信也は別の盗賊に照準を合わせて、撃ち続ける。
20人いた盗賊はあっという間に10人未満になった。
「もう1度言う。これ以上の戦いは無益な死を招く。即刻立ち去れ!命まではとらん!」
信也の警告に、盗賊たちは顔を見合わせた。
「俺たちを逃がしてくれるのか?」
頭らしき男が問う。
「ああ。俺の気が変わらないうちにさっさと去れ!」
信也がそう怒鳴ると盗賊たちは我先に逃げ出した。
信也は64式7.62ミリ小銃の弾倉を交換し、銃口を下ろした。
「無事ですか?」
信也は騎士たちのもとへ、向かうと尋ねた。
「「「・・・・・・」」」
騎士たちは何も答えない。
信也の姿を見て、まるで信じられない物を見たという感じで、驚愕しているようだ。
(なんだ?なんだ??)
信也が騎士たちの顔を見回しながら、心中でつぶやいた。
「お、王子?」
14、5歳の黒髪の少女が驚いた表情でつぶやいた。
「いや、違う。確かに似ているが、アムルタートではない」
20代後半の騎士が、信也を観察しながら、言った。
「それはそうなんですけど。髪と目の色以外は、王子とほとんど同じなんです」
「確かにな」
騎士たちが勝手に納得しているのを信也は呆然と眺めた。
「え?僕?」
馬車の中から、1人の少年が出てきた。
「!」
少年の顔を見て、騎士たちが何を思ったのか理解した。
少年も信也を見るやいなや、驚いたが、すぐに冷静になり、名乗った。
「僕はパルメニア女王国王子アムルタート・ラサ・パルメニア」
「伊高信也です」
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