表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
抵抗軍リーダーの物語  作者: 高井高雄
3/8

1-3

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 町までの街道はよく整備され、商人の馬車等とよくすれ違う。

「この辺りには、魔物や盗賊はいないから、結構安全なの」

 マリアはまるでピクニックに来たような表情でつぶやく。

 確かにすれ違う馬車には護衛の姿は見えない。

 彼女の言う通りこの辺りは比較的安全なのであろう。



 1時間ほど歩いたぐらいで、城塞が見えてきた。

「あれが目的地か?」

 信也が尋ねると、マリアはうなずいた。

「ええ。あそこが城塞都市ミニアル。独立交易都市よ」

 マリアが簡単に説明する。

 この辺りの国家はすべて都市国家であり、王国等の国は少し離れたところにある。

 戦時の際にはこの都市国家すべてが1つになり、同盟軍を結成し自衛戦争を行う。

 信也も村にいた間に、村長等からある程度聞いていた。

 ミニアルの正門に近づくと衛兵が数人立っていた。

「どこの村のものだ?」

 衛兵の1人が穏やかな口調で信也とマリアに尋ねた。

「カリュ―村から参りました」

 マリアが言った。

 彼女は村長からもらった通行書を衛兵に渡した。

 衛兵は通行書を受け取り、確認した。

「入っていいぞ」

 衛兵は通行書を返し、道をあけた。

 信也とマリアは正門をくぐり、町に入った。

「ずいぶんと簡単な対応だったな」

 信也は正門に振り返り、つぶやく。

「それは、ここが交易の町だからよ」

 マリアが答える。

「衛兵が、厳しい対応になるのは戦争時くらいね、普段は通行証さえもっていれば大丈夫、だって商人が来なければ困るでしょ」

「そういう事か」



 信也はマリアの後を追う形で、薬草売りの店に向かった。

 薬草売りの店は町のちょうど真ん中ぐらいにあった。市場や屋台が立ち並ぶ区からそんなに離れていないところだ。

「へい、いらっしゃい」

 中年の男が笑みを浮かべて、言った。

「お、マリアちゃん。いつもすまんな」

 中年の男はマリアの姿を見ると、頭をさげた。

「はい。村長からの薬草です」

 マリアはカバンから薬草を取り出し、男に渡した。

「へい、確かに。これは報酬だ」

 男は銀貨数枚を手渡した。

「はい。確かに」

 マリアは銀貨数枚をカバンの中に入れた。

「そこの若い兄さん」

「?」

 男は信也に声をかけた。

「しっかり、マリアちゃんを守るんだぞ」

 男は何かを期待したようにニヤニヤしていた。

 信也は少し苦笑した。

 マリアはどういう事かわからず、首を傾げていた。



 用事をすませた信也とマリアは店を出た。

「シンヤさん。まだまだ時間があるから、しばらく町の中を歩かない」

 マリアはそう言って、信也の手を握り、引っ張る。

「え、え?」

 信也は戸惑った。

 これはつまり、世に言う、デート、というものか。

 マリアに連れら、信也は町の中を歩き回った。

 屋台で簡単な食事をしたり、服屋を覗いたり等。

「待ちな」

 そんな時、信也たちに声をかけるごろつきらしき男が声をかける。

 信也たちが足を止めると、3人のごろつきが2人を包囲する。

「嬢ちゃん。そんな男より、俺たちと遊ばねーか」

 3人のリーダーらしき男が笑みを浮かべながら言う。

 信也はマリアを後ろにかくまいながら、冷たく言った。

「あいにくだが、彼女には先客がいる。諦めてくれるかな」

 信也の言葉にリーダーらしき男が声を上げる。

「お前の意見なんか聞いてねーよ」

「兄貴。こいつ、俺たちをなめてますぜぇー」

「身体にわからしてやる」

 1人のごろつきが信也に殴りかかった。

「!」

 マリアが悲鳴を上げようとしたが・・・

 信也は慣れた手つきで、ごろつきの拳を受け止めると、そのまま引っ張り、ごろつきを一本背負いのように投げ飛ばした。

 かかわりを持ちたくない周りの群衆はその光景を呆然と見ていた。

「なっ!?」

「て、てめぇ!!」

 驚くリーダーとは別に手下のもう1人が、信也に迫る。

 だが、信也は素早い動きで、もう1人のごろつきの真横にかけより、手首をつかみ取り、そのまま地面に叩きつける。

「あ、あ」

 リーダーらしき男は、手下の2人が地面に転がっているのが、信じられないという様子で呆然とした。

「まだ、やる気か?」

 信也は無表情で、リーダーらしき男に問いかける。

「待てよ。俺には、まだ切り札があるんだぜ!」

 と、リーダーらしき男は短剣を見せつけた。

 バン!

 しかし、1発の銃声と共に短剣が弾き飛ばされた。

「ぎゃあああああ!腕が、腕があああ!」

 リーダーらしき男は悲鳴をあげた。

 信也は素早くM1911A2をホルスターから抜き、短剣を撃った。

「次からは相手をよく選ぶんだな」

 信也は冷たく言うと、アイテム画面を開き、所持金を選択し、銀貨1枚を取り出した。

「おい、これで手下どもを手当てするんだな」

 と、言いながら信也は銀貨を1枚リーダーらしき男に投げる。

「行こう」

 信也はマリアの手を握り、その場を離れた。

「おっと、次は命がないと思え」

 2、3歩進んだ後、信也はごろつきに振り返り、吐き捨てた。



「シンヤさん」

「ん?」

「そろそろ休まない?」

 しばらく進んでから、マリアが声をかけた。

「そうだな」

 信也はそう言って、近くのベンチに腰掛けた。

「さっきは、ありがとう。守ってくれて」

「気にするな。当然の事をしただけだ」

 信也は照れたように顔を少し反対に向け、言った。

 マリアはその光景をクスクスと笑った。


 1-3をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ