1-1
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
初めての方は初めまして。
高井高雄です。
亡国のレギオンとは違う話に挑戦します。
亡国のレギオンとは異なり、ゆっくり書いていきますから、ご了承ください。
「う・・・あぁぁ」
呻きながら伊高信也は目をゆっくりと開けた。
「あ」
目を開くと、そこには薄い褐色の肌に青い瞳、長い金髪を後ろに束ねた15歳くらいの美少女がこちらを見て、驚いた。
「お、お姉ちゃん。彼が目を覚ましました」
少女が後ろに振り向き、誰かを呼んだ。
「っ!」
信也は起き上がろうとしたが、痛みで顔をしかめる。
「あ、まだ、動いてはダメです」
少女が声をかける。
「リズク。彼が目覚めった、て、本当なの?」
リズクと呼ばれた少女の隣に、彼女と同じ肌、同じ目、そして長い綺麗な金髪の18歳から20歳未満の女性が顔を覗かせた。
「言葉、わかりますか?」
「ああ」
女性の言葉に信也はうなずく。
「もう、大丈夫ですよ。峠をこしたそうですから」
女性は嬉しそうに言った。
「ここは?」
「ここは、カリュー村です。そして、この家は私たちの家です」
信也の問いに少女が答える。
「カリュ―村?」
「貴方は川岸で発見されたんです。見つかった時はひどい怪我でした」
女性が信也の手を優しく握りながら、説明する。
「君たちが俺を助けってくれたのか?」
信也の問いに2人の美女と少女は首を振った。
「私たちは看病しただけです」
答えたのは女性だった。
「では、話はここまでで。もう少しお休みください」
女性はそう言うと、布団を掛けなおしてくれた。
信也は何も言わず、再び目を閉じ、深い睡眠を入った。
小鳥の鳴き声が聞こえる。
信也は目を覚ますと、眩しい朝の陽ざしが目に入る。
身体を起こそうとしたが、やはり、痛み出す。
「くそ」
信也は小さくつぶやく。
「あら、お目覚め?」
昨晩の2人とは違う女性の声がした。
信也は頭を動かし、声のした方に向ける。
そこには、お盆を持った金髪の白人女性が立っていた。
「君は?」
「私はマリア。マリア・アルバーク。貴方は?」
「伊高信也。伊高が性で信也が名前だ」
信也が自己紹介すると、20歳ぐらいのマリアはにっこりした。
「シンヤさん。お食事を持って来たんだけど、食べる?」
「あ、ああ」
マリアはお盆を机の上に置き、シンヤが起きるのを手助けする。
痛みに耐えながら信也は上半身を起こした。
「昨日、俺を看病してくれた女性2人は?」
「リズワーンとリズクね。あの2人は、今は休んでいるわ。冷めないうちに食べて、まだ病み上がりだから、スープの具は小さくしたから」
マリアは木の椀を持ち、中のスープをスプーンですくい、信也の口に持ってきた。
「はい。あ~ん」
「ちょっと待て、自分で食べる」
「ダメダメ、まだ病み上がりなんだから」
マリアはそう言って、信也に食べさせた。
信也としては、とても勘弁してほしい事であった。
あれから数日が経ち、信也は動けるようになるまで回復した。
マリア、リズワーン、リズクとも、仲良くなり、信也が動けるようにリハビリまで手伝ってくれた。
「すごいですね。シンヤさん、もう歩けるように回復しましたね」
リズクが我がことのように喜んだ。
「あんなにひどい怪我でしたのに、驚きです」
リズワーンが言う。
「貴方がたの看病のおかげだ」
信也は彼女たちに振り向き、言った。
「いえいえ。それも、治りたい、意志が強いからよ」
少し心配そうな口調でマリアが言った。
相変わらず、彼女はリハビリ中ずっと心配していた。
「さあ、そろそろお部屋に戻ってください。いくら動けるようになっても、無理をしたら逆効果よ」
「・・・・・・」
マリアの言葉に信也は苦笑しながら従った。
部屋に戻り、ベッドに座る事を確認すると、3人は部屋を出ていった。
いくら看病でもずっと見られているのは、たまらない。
信也は、頭の中で、アイテム画面、と念じると目の前にアイテム画面が開いた。
アイテム画面には、アイテム欄、所持金、アイテム購入欄、しかない。
信也は、この世界・・・異世界に来る前の事を思い出していた。いつものように外でぶらぶらしていたら、突然眩しい光が発生し、それに吸い込まれた。その後、真っ暗な空間に浮いていた。
その空間で、頭の中で直接誰かが話しかけた。
「貴方は選ばれました。これから異世界に行ってもらいます。もう2度と元の世界には帰れません。だから、いろいろとサービスをしてあげます」
と、言われて、頭の中にまるで叩き込まれるように色んな情報が入ってきた。メニュー画面、言語、読み書き等々だ。
そして目覚めると、リズワーンとリズクが目の前にいて、看病されていて、今にいたる。
(まったく、きちんと説明しろよな。どこの神さんか知らんが、俺をこんな目にあわせやがって!)
信也は心の中で叫んだ。
アイテム欄から、初期装備のM1911A2を取り出した。
弾倉を装填し、スライドを引く。
「まさか、試作品の拳銃が最初の装備品とはな」
信也はまんざらでもない様子に、気付く。
M1911A2(コルト・ソーコム・プロト)はアメリカ特殊作戦軍の依頼を受けて作られた試作銃。だが、結局採用されなかった。しかし、信也はM1911シリーズは嫌いではない。
信也はM1911A2を構えて、狙いを定めて引き金を絞る。
カチッ、という音が部屋中に響いた。
装填した弾倉には弾を入れてない。
「うん。いい音だ」
信也は満足した表情でうなずいた。
1-1をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
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