α・第六版について。(設定ほか)
昭和57年のある日の日本。
ひとりの中学生のであった、よくわからない外人女性の正体は?
謎の美少女とは?
まだ五百円が硬貨になって間もないあの夏の日々。
突然に異界に変わってゆく日常。
2015/04/26 末尾に公園についての設定を追加。
2015/04/11 野沢誠一の項目を追加。
『本作の基本設定』
本作は私、hachikun(なろうでは『西風@狐坂』名を併記)が1982年に第一版を作成し、随時更新を繰り返している宇宙ものシリーズの根底にあたるものです。完全な個人作品であり、作者個人のホームページ以外のところに公開された事は2015年春の時点で過去、一度もありません。
この第六版は1999年に書かれた『α-1982』をベースに作っている改訂版であり、なろうサイトへの掲載を前提に書かれているものです。
以降、登場人物など。本文にあわせて随時更新ですが、先にすべて読むとネタバレを含む事があります。
・ソフィア・マドゥル・アルカイン・レスタ
本編『α』におけるキーパーソンである。名前の通り、マドゥル星系惑星アルカインの生まれであり、アルカイン王国国王レスタの娘。お姫様であり、本作時点では大学生である。古代遺失文明、すなわち星間文明が生まれる際に失われてしまったものの研究が専門であり、未開惑星を巡って観察などをする人である。地球には卒論書きのために来訪した。
金髪碧眼で、日本人目線だとアングロサクソン系の欧米人に見える。実際、主人公は彼女を当初、ガイジンさんだと思っていた。
婚約者あり。お相手はアンドロメダの皇帝陛下であるが王侯貴族にありがちな政略婚ではない。ふたりの結婚については、また別の逸話が存在する。
・野沢誠一
本編の主人公。昭和42年生まれの未年。高知県人。事件当時は中学生で、県立鴻ノ森中学校の二年生。
日本の少年であるが昭和生まれであり、今の青少年とは若干異なる価値観で動いているかもしれない。今で言うヲタに近い少年であるが、当時はネットもなく、それどころかヲタという言葉もなかった。彼はむしろ野に遊び、学者視点に近い目で物事を見て過ごしてきた。事件に巻き込まれる事がなかったら、どういう形に落ち着いたにせよ理系の職業についていただろう。
ただし人付き合いは全然ダメで、この点、今の引きこもりやヲタと全然変わらない。違いは単に、部屋に籠っていないというだけの事。
尊敬する人物は高知県出身の世界的植物学者、牧野富太郎。
・ソクラス号
ソフィア姫のツッコミ役であるが、その実は高速船舶である。
正式名称はマドゥル・アルカイン・ソクラス号。もともとアルカイン王宮の船であり、銀河連邦議長専用の高速船として作られた。銀河系内ならどこでも一銀河日で到達できるとすら言われる船で、さらにその性格上、航海士資格を持たないお嬢様たったひとりでも船の方で航海士などの仕事をサポート、安全に航海させる事が可能となっている。
建造当時は銀河最速と謳われ、今も船籍上では銀河系最速。事実、銀河系宇宙のマドゥル星系アルカインから、アンドロメダ宇宙のイーガ帝国皇帝の住む『ルシード・パレス』まで、連邦時間わずか十日で到達した記録が残されている。
武装は船首の重力破砕砲一門のみ。まるで大昔の移民船のような装備だが、最新型エンジンの大出力を直結するため威力は決して馬鹿にならない。もっともソクラスは武力で戦う船ではなく高速船であり、あくまでそれは障害物除去用のオマケ。最大の武器は運動性能と高速性能の方である。
ソクラス号のデザインは銀河系の船としては異端の魚型と呼ばれるものに属する。これは建造当時の船舶デザインをした者の趣味であるが、このカタチを面白がったアンドロメダの技術者によって、後にそっくりな姉妹船のアルゴノート(こちらはイーガ帝国船籍)が作られる事となる。
ソクラスとはアルカインの夕焼けの意味。花の名という説もあるがどちらが本当の由来かははっきりしない。
ここ十年ばかりソフィア姫の御座船化していたが、彼女の結婚後は元の議長船に戻ることが決定している。
・アンドロイド・タイプα
連邦の人型アンドロイドはαシリーズと呼称されている。この『α』には便宜上ギリシャ文字のαをあてているが、読みから選ばれた当て字であり、もちろん本来は銀河連邦のオリジナル文字である。オリジナルの字のカタチはむしろΩに近い。
なお、タイプにより7つに分かれる。
タイプ1:家政婦ロボなどがこれに含まれる。最も基本的ではあるが、語学力や料理技能などは大変なもの。中間層以上の家庭には必ずといっていいほど居る。
タイプ2:兵士や艦船の乗組員など、時に危険を伴う作業専任タイプ。彼らは「人間用の設備」を兼用できるようヒトガタをとっている。
タイプ3:いわゆるセクサロイド。アンドロイドらしい外観もこのタイプからになる。
タイプ4:ロボットの位置づけであるが、全身サイボーグの『人間』がここに位置する。歴史的事情によるいわば欠番カテゴリ。
タイプ5:主に医師型。ただし元々は汎用機体であり、その中でも前線で医療システムの代わりに医療行為をする者が多数生き残り、次第に医療特化となっていった歴史的経緯がある。このため色々なバリエーションがある。たとえば『鉄拳ラビ』のベルナ・ベルロイ級はこのタイプ5のカテゴリに属するが、格闘メインで医療特化の能力は持っていない。
タイプ6:1から5までの総合タイプ。高価であるが有能なため、指揮官などの役職につく事が多い。移動力を高めるために重力制御および慣性制御能力を付加されており、翼なく空を飛び回る事もできる。
タイプ7:一般にはほとんど知られていないタイプ6の特別型。すべてが6型を大きく上回っており、戦艦なみの戦闘力と家政婦以上の家事能力、そしてセクサロイドとしての機能も備えた、VIP警護用に作られた特殊クラスである。ただし、あまりにも矛盾した要素を求められる仕様なので一般には冗談のように思われている機体クラスである。このため、銀河広しといえど、現在までに7型と認定された機体はわずか六体にすぎない。
・イーガ帝国と銀河連邦
本編ではあまり説明しないので少しだけ。
イーガ帝国とは大アンドロメダの大部分を占める巨大な帝国である。名前の通り、連邦制でなく単一国家。形態はアメリカ合衆国に近いが、皇帝家が定められていて選挙等は行われない。億単位の国家群でいちいち選挙なぞやっていたら戦乱の火種になるだけでいい事なぞ何もないし、得られる権力だってたかが知れている。何億という星間国家ひとつひとつの内情に皇帝が関るなんてばかげた事はありえないし、できない。皇帝職なんて言葉もあるくらいで、いわば「銀河を束ねるための象徴」にすぎないのである。
帝国と連邦は先日、あわや全面戦争というところまでいった。それを食い止めたのが『ソクラスのソフィア』こと本編のソフィア嬢である。開戦前夜のソフィアとイーガ皇帝ルシードの出会いが帝国を動かし、ふたりの婚約がそれにとどめをさすカタチになって、ふたつの銀河をまたがる未曽有の巨大戦争はものの見事に止まってしまったのであった。
この事件についてもリメイクの予定がある。いずれ書きたい。
・公園設定の変化について。
『城西公園』→『筆山公園』の件について。
公園の描写は第二版からだが、本来は南はりまや町近く、唐人町の九反田公園だった。しかし地元民以外は誰も知らないのではとの判断から、個人Web掲載の第五版では、あえて1982年当時は未開園だった城西公園に変更した。しかし、やはり当時実在しないものはよくないと思い直した事、あとは降下船の降りた場所の想定を鴻ノ森付近から筆山方面に変更したので、今回の版から筆山公園とした。
ちなみに旧版では、ソフィアが誠一に声をかけたのは、帯屋町商店街アーケードの西端付近である。今は、いわゆる『ひろめ市場』の真ん前になってしまっているが、昔は閑静な場所であった。