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異世界物語 僕と魔法幼女の大冒険  作者: 猿野リョウ
第4章【異世界に生きる天使達】
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36話【復讐の始まり】

 間もなくして少年は裏道から出て表を歩き始めた。

 いつも穏やかに見えるその顔は、今は見る影もなく狂気に満ちている。


「…………」


 その心に恨みの念を(はぐく)み、街中を闊歩(かっぽ)していた。

 少年は、自分とすれ違う全ての人間を見る。視線を感じた人々は、悪寒も感じて目を合わさぬように小走りになる。

 少年はひたすら探す。

 自分に唯一優しくしてくれた、彼女を殺した犯人を。

 ……植え付けられた偽物の記憶を頼りに。


 数分も経たなかった。

 少年をいじめていた憎き同級生と会うまでは。


 五人の集団はあれから近くの溜まり場に集まり、ほんの少しだけ雑談を交わした後に、少年と同じく表に出てきた。


 ……個人と集団が、早くも再会した。


「おい、お前。表に出てくんなって言っただろ!」


 集団の中でも一回り体の大きい、ガキ大将的存在の少年が言う。


「なんで出てきてんだよ! 俺達を舐めてんのかよ!」


 続けて、細身の少年が言う。


 一瞬。

 迷うことなく少年は。

 目の前の集団に殴りかかった。その拳を振りかぶった。


「うわ、なんだこいつ!」

「殴ってきたぞ!」

「やり返せやり返せ!」


 眼鏡の少年が叫んだ。


「お前達のせいだ!」


 日輪から受け取った記憶には、与えられた力の使い方も存在していた。与えた力は、至って単純な電撃魔法。

 この街がこの世界で唯一電気を使ったりしている。日輪が電撃の力を与えた理由はそれだけだが、理由のてきとうさに反比例して、その力は強力であった。


「うわあああああああああああああ」


 その拳をもろに食らったガキ大将。

 いや、眼鏡の少年の正拳突き程度なら痛くもなかっただろう。

 問題はその能力。

 ガキ大将の体に即死レベルの高圧電流が走った。


 煙をあげて、焦げ臭くなったガキ大将は倒れる。


「な、何をした」

「や、やべーよこいつ。に、逃げようぜ」


 残った四人は、目の前で焦げている仲間を見て、思考を働かせて、恐怖を感じる前に──


「死ね」


 ──電撃を食らい、死んだ。

 少年は、自分をいじめてきた奴等を殺したのだった。


「後……誰だ。誰を殺せば……」


 本来ならば少年が人を殺すことなどできはしないことだ。強くなっても、マリーの死を知っても、無理だっただろう。

 だが植え付けられたのものに、怒りと憎悪の感情があったため……少年は。

 人を殺せた。

 ためらいもなく。


 口喧嘩していて、カッとなってつい殴ってしまった。


 そんな風になったことのある人は居るだろう。

 つまり、少年は今、常時その状態と言ってもいい。



 辺りがざわつく。当然だろう。

 焦げ臭いと思って臭いのする方を向いたら子供が死んでいた。

 無関心で居る方がおかしい。



 少年は。

 笑った。





短くてすみません。

次回から主人公の視点に戻ります。

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