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異世界物語 僕と魔法幼女の大冒険  作者: 猿野リョウ
第3章【盗め戦え!盗賊との決戦!】
18/48

18話【盗賊を倒しに行こう】

今回は少し少ないです。ただ、次回は戦闘なので楽しみにしておいてくれると嬉しい限りです。

      ∮∮∮



「あ、ありがとうございます!」

「いや、別にいいのよ。それにしても嫌な大人達だったわね、君はあんな大人にならないようにね」


 なんてやりとりを繰り返すリリィと男の子。

 僕は一歩下がった位置でそれを見守っていた。


「残念でしたね」


 と、ひまわりが僕のヒップを撫でながら言った。

 これはセクハラではなく肩にポンポンとする慰めの所作の代わりなのだろう。

 確かに幼女の身長では、僕の肩を触ることは難しいので納得がいく。


「……確かにあの男の子、僕の存在を知らないみたいな感じで、リリィにしか礼を言ってないけれど、それくらいで残念とは思わないよ」

「いえいえ、そうではなくて、あの強面の盗賊の方々からお金を貰えなくて残念ということです」

「貰うって強奪のことだろ?」

「悪く言えばそうなりますかね?」

「…………」

「盗賊だってたまには盗るのではなく、盗られたいと思っているはずですよ」

「それはない。絶対にない」


 後、盗むのと、強奪というのは微妙に意味が違ってくると思う。これは、一個人の見解だけれど。


「て言うか、そろそろ僕のヒップを撫でつつ揉むのはやめてくれ、むずむずして気持ちが悪い」

「お兄さんは何故ヒップと言い方を変えるんですか? 普通にお尻とか言えばいいじゃないですか。カッコつけているようで……何だか……」

「いや、だって、お尻と言うとすごく下品な気がするんだ」

「──まあ、これも一個人の見解みたいなものですよね。人によって考え方は違いますから、これからは気にしませんよ」


 その言葉の終わりと同時に、リリィと男の子の話が終わったようで、彼女がこちらへと歩いてきた。


「終わったのか?」

「まあね。どうしてもお礼がしたいってことで、お家に呼ばれちゃった。運が良ければそこに泊めてもらえないかと思ってるわ、私達お金がないから。……マリーもまともな場所で睡眠を取っておきたいだろうし」

「もしかして僕もお呼ばれかかってた?」

「いえ、全く」

「ああ、そう」


 僕は、あの男の子に存在を知られていないのか?

 知っているけれど男なので断固拒否ってことなのか?


「それにしても、あんな崖から落っこちて良く生きてたわね?」

「ああ、それについてはこの子が助けくれたんだ」


 僕はひまわりのヒップ──ではなくて、頭をポンポンと撫でながら言った。

 ヒップではなく頭を撫でたのは身長のアドバンテージである。


「この子って──この小さな子が?」


 とてつもなく、半信半疑ですよと伝わる驚きかただった。

 確かに男子高校生が幼女に命を救われるというのは、カッコ悪いかもしれない。

 でも、彼女の驚きはそういう『年齢の差』のギャップに対してではなく、幼い女の子が高所から落下する人間を助けられるほどの力を持っていたということに対してだろう。


「小さいとは失礼ですね。体はミニマムでも、強さはマキシマムですよ。少なくともあなたの十倍は強いです、十倍も!」


 売り言葉に買い言葉。と言うよりはただの言葉に買い言葉である。

 小さいことをネタに喧嘩を売ったつもりなどリリィには毛頭ないだろうから。


「ふふ、そうねー、あなたの方が私より強いわー、よしよし」


 笑顔で。男を魅了するような笑顔を浮かべながら、ひまわりをあやすように撫でるリリィ。

 ひまわりの買い言葉を、子供のちょっとしたわがままのようなものにしか思ってないようだ。


「…………」


 それを瞬時に理解したのだろう。それからは、ひまわりは何を言っても無駄だという顔で黙っていた。

 ちなみに、リリィはひまわりが僕を助けたということを信じてなさそうだった。


「そうそう、マリーはあの男の子に家まで案内してもらうことになってて、今は居ないんだけど、夏木に会いたいって言ってた。だから、明日の昼頃からまたここに来れる?」

「うん、もちろん」

「それじゃあ、二人を追いかけなきゃいけないから! また、明日! 後その子に変なことしないようにねー!」


 そう言って、いそいそと走り去っていったリリィ。僕をロリコンだとでも思ってるのか?

 僕とひまわりは人混みに取り残された。


「……さて、どうしようか? お金の問題をどうにかしたいんだけれど」

「──いい案がありますよ」


 とにかくボロ宿でもいいので泊まれるお金が手に入れたい。ボロくてもいいからベッドで寝たいのだ。


「その案って?」

「──さっきの盗賊達を打ち倒し、正義の名の元に金品を奪うのです」

「奪っちゃったらただの悪者じゃないか……。まあ、やらないわけではないけれど」


 盗賊を倒すんだし、街の人々にとっては嬉しいことだろう。その働きに対しての謝礼金として、盗賊達の品々を頂く。悪くない。


「それでは行こうか」


 そうとすれば、善は急げ。

 盗賊の元へ行こう。


「なあ、ひまわり。盗賊はどこに居ると思う? 街の外でキャンプでもしてるのかな? 普通に街の宿にでも泊まってるのかな?」


 うーん、と唸りながらひまわりが首を傾げる。


「そうですねー、私の偏った見方から言わせてもらえば、貧民街(スラム)とかにアジトがあるんじゃないでしょうか? 貧民街ってよりはただ治安が悪い地域ですかね」

「否定はできないよね。僕もあるならそういう所に本拠地構えていると思っているし」

「それじゃあ、行ってみます?」

「……とりあえず街の人に色々聞いてからにしよう。正確な情報が欲しい、無駄足にはしたくないからさ」


 実は言うと、そろそろ休まないと倒れかねない気がしていた僕である。なので無駄に動いて体力を使いたくなかった。


「ですね。じゃあ、こうしましょう」


 ひまわりが指を立てて言った。


「一時間ほど各々情報を集めてくる。そしてこの場に戻ってきて、情報の開示、戦いに赴くんです」

「分かった。できるだけ早く戻るようにする」

「決まりです。では、また会いましょう」


 と言って、ひまわりは手を振りながら人混みの中に紛れていった。


「誘拐事件に巻き込まれるなよー!」


 と言ったことは彼女に聞こえたのかどうか、僕には分からない。


「さっと情報を集めて、すっと盗賊の物を頂いて帰ろう。できればそういうプランがいい」


 ──そうして一時間後、僕達は盗賊達とかくれんぼをするはめになるのであった。もちろん僕達が隠れる側。

 と言っても、このかくれんぼは非常に理不尽で……見つけられた場合、すぐに殺しにかかるのだが。

 知らず知らずに隠れている奴を見つけてしまったら逆に殺された。かくれんぼにおいて実に理不尽で滑稽な結末である。

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