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九話 ~目覚めるとそこには~

この数週間、壊れたパソコンが直るのをひたすら待っていた(´;ω;`)ブワッ!......え? それじゃ更新が遅れた理由にならない?......ちくせう。


お、遅くなってしまいましたが、最新話です。それでは、どうぞ♪



「......」


目が覚めると、何故かリビングのソファーの上で寝ていた。

ううむ、いつの間に寝ていたのだろうか? それにしては、寝る前までの記憶が無い......はて?

何かこう、とんでもないものを見たような......あと、顔面(がんめん)が痛い。何故に?


「......起きるか」


思い出そうとしても思い出せず、何故か顔面も痛いため、救急箱(きゅうきゅうばこ)でも取ろうかと思いとりあえず起き上がる。

そして、不意(ふい)に隣を見ると......。


「あっ。目が覚めたんだね、お兄ちゃん!」

「......」


―――これまた何故か、千棘が居た。


......まあ待て。とりあえず落ち着くんだ僕。クールダウンだクールダウン。まず、ここは僕の家だ。そこは、まず間違いない。何度も見てきたリビングだし、このソファーだって、零次から貰った物だ。

つまりは、ここ......と言うか僕の家に、妹の一人である千棘が居るのはおかしい。


むぅ、と(しばら)(うな)った後、僕はある一つの結論を出した。


ここは、僕の家。

妹が居るのは、おかしい。

つまりは......。


「......夢か」


そう呟いて、再びソファーに寝転がり目を閉じる。


―――そう、夢だ。


うん、そうだ。きっとこれは夢に違いない。

流石は夢の世界。ありもしないはずの事が、こんなにリアルに再現されてるなんてね。

危うく騙される所だったよ、ハッハッハッ。

うんうん。きっと今日は疲れてるんだ。再び目が覚めれば、いつもの妹達が居ない平穏で気ままな一人生活が―――『あれ? ねえ千棘。ハル兄、起きたの?』『ふん。ほっとけばいいよ、そんな変態......』―――一人、生活が......。


「因みにハル兄。今起きてることは、全部現実だからね。現実逃避しないで」

「ナ、ナニイッテルンダヒトミー......」


ああ、もう今ので確信しちゃったよ。これは夢じゃないって。

現実ですかそうですか。認めてしまえば、驚くほどクールダウンしますね。というかもう、ヤケになる感じに近い。


うんうん。いやぁ、妹達は僕の家に居るのかぁ、そうかぁ......。


......ってちょっと待って。

妹達が僕の家に居るのは、認めたからまあいい。だがしかし、それとはまた別の問題が。

僕は確かに、家を出た時は鍵を掛けておいたハズだ。家に入る時も、鍵を開けて入った記憶がちゃんとある。

じゃあ、コイツらはどうやって家に上がったんだ......?


「な、なぁお前ら。一応聞くけども、一体どうやって家に入ったんだ......?」


僕は、恐る恐る聞いてみる事にした。

そんな僕の疑問に先に反応したのが、千棘だった。

千棘は、よくぞ聞いてくれました! と言わんばかりに爛々(らんらん)とした目で、言葉を発した。


「私がピッキングしたんだよ、お兄ちゃん!! どう? 凄いでしょ!!」

「胸を張って自慢するような事じゃないからね!? 犯罪だよ? 分かってる!?」


冗談って......!

電話で話してた時は、冗談って言ってたのに......!!


ぐっ。ま、まぁ、ピッキングの件はとりあえず置いておこう(本当は置いておけないが......)。今は、どうして妹達が僕の家に居るのか、という事の方が重要だからね。

今だに胸を張りながらフンス、と息巻(いきま)いている千棘を睨み、この中で唯一まともに話が出来る瞳に聞く。


「それで瞳。どうしてお前達が僕の家に居るんだ? 母さんの家は、僕の家とは反対方向のハズだろ?」

「あぁ、その事なんだけどねハル兄」


そう言いながら瞳は、自分のバッグの中を漁り出した。

それから数秒後。瞳はバッグから一通(いっつう)の手紙らしき物を取り出し、僕にそれを突き出してきた。


「......これ、何?」

「母さんからの手紙だよ。この手紙の内容を見れば、ハル兄も私達がここに居る事を理解するから」


母さんからの? あの、楽しければ平気で人を売るような人からの手紙?


訝しみながらも僕は、手紙を見なければ話は進まないと思い、渋々(しぶしぶ)と母さんからの手紙を受け取ることにした。

手紙を包んでいる封筒(ふうとう)の封を開け、丁寧(ていねい)に折りたたまれた紙を開いていく。


ふむ、どれどれ......。


『ごめんね春斗。ちょっち諸事情(しょじじょう)があって、あの子達お前に預けるわ☆ その分生活費も増やして送っとくから、安心しな! ワッハッハッ!! そんじゃ、後はよろしく頼んだ☆


PS・妹達に、手を出すんじゃないよ?(ニヤニヤ)』



ビリッ! (僕が手紙を破く音)

ダッ! (僕が自分の部屋に行く音)

ガッ! (僕が零次から貰った木刀を掴む音)

ガシッ! (僕が瞳に抑えられる音)



「ちょ、ちょっとハル兄!? 木刀なんか持って、一体どうするつもりなのかなぁ!?」

「離して瞳!! 僕にはあの愚母を今すぐに殴り殺すという大事な使命があるんだ!!」

「それは使命じゃなくて犯罪っていうんだよ!?」

「何それ食えるのオイシイノ!?」

「千棘にピッキングの話を聞いた時ハル兄って『犯罪だよ? 分かってる!?』って言ってたよね!?」

「そんな言葉言った事も聞いた事もない!!」

「どれだけ都合のいい頭をしてるのかなぁ!? ちょ、ちょっと千棘! 三春! 手伝ってよ!!」


ちくしょうあの愚母! 息子になんてもん押し付けやがる!!

大体なんだよ☆マークって! そんな歳じゃねぇだろアンタは!!



僕と瞳との苦闘は、千棘と三春が駆け付けてくるまで続いたのであった。









●○●○●○●○●○











「......落ち着いた?」

「はい......すいませんでした」


所変わって再びリビング。


あの後、瞳の呼びかけによって僕の部屋へと来た二人によって、僕は完全に取り抑えられた。

瞳に抑えられている僕に、千棘が重い愛の言葉を囁き、恥ずかしさで固まった所で、三春が手刀を打ち込む。三つ子ならではの、完璧な作戦だ。


―――え? 手刀で人を失神させるなんて、マンガとかだけだろ、だって? そこを力技で何とかするのが、三春クオリティさ。気にしたら負けだよ。


今このリビングに居るのは、僕と瞳だけ。


あとの妹二人は、瞳に聞いたところ、僕の部屋に留まっているらしい。まあ、大体の目的は分かっている。

多方、僕の秘蔵コレクションでも探しているのだろう。


ふっ、甘いな。朝の沙奈とのやり取りで分かるかもしれないが、もう僕の部屋にコレクションは無いのだよ。

最早そこに無い物を必死に探しているなど、哀れ哀れ! ハッハッハ「―――ところでハル兄」―――ん?


「これ、なぁに?」

「oh......」


今の僕の英語の発音は、多分外国人顔負けのものだと思うね。いっそのこと、英会話教室でも開こうかな? きっといっぱいの人達が訪れるだろうなぁ。あっはっは......はっ......うん、現実逃避はやめよう。


瞳が今持っている本は、間違いなく僕のコレクションの一つだ。


......まぁ、そうですよね。

千棘や三春ならともかく、瞳さんには流石に隠しとおせませんよね〜。ええ、分かってましたよ? 分かってましたとも。......神は死んだんだ。


「フフ。分かってるのハル兄? これからは私達もここに住むんだから、こういう本があってはいけないの」

「で、ですが瞳さんや。僕にはそれがないと、日々の楽しみが......」


女性の前で言う発言じゃないと、言った後で後悔しました。

瞳は、『そうねぇ......』と目を閉じて呟き、何かを考え始める。

そして待つこと数秒。瞳は目を開けると、僕に指をさしてこう言ってきた。


「じゃあハル兄。そういう本を持ってもいいけど、買うなら今度から『妹物』にしてね」

「三春と同じこと言いやがる......!!」


そんな僕の発言に瞳は、『文句がある?』などと笑顔(目は笑っていない)で言ってきたため、渋々承諾。

その言葉に満足したのか、瞳は僕の部屋に行くと言い残して行ってしまった......。

妹達に部屋を物色される兄って、一体......。




そんなこんなで、後は何事もなく妹達との同居生活が終了。

まあ、最後に妹達が一緒に寝ようなんて言って来たが、なんとかご退出願いました。


こんなのでこれからの学校生活、本当に大丈夫なのだろうか?


不安ばかりが、僕の心に残るであった......。








はい、ここにて春斗達の母親の面影が登場ですね。手紙の通り、身勝手でお気楽な人です。☆マークとかがよく似合う、軽いノリの人です。

春斗は歳を考えろと言っていますが、実際はめっちゃ美人。



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