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七話 ~『親友』と『悪友』~

なんか無理やり感がハンパないけど......そこはまぁ、気にしないでね!!


それでは、どうぞ♪





「おはよう、ハル。......む、どうしたのだ?そんなに疲れきった表情をして......」


「な、なんでもないよ冬美(ふゆみ)。アハ、アハハハ......」


妹達とのやり取りで疲弊(ひへい)しきっていた僕は、自分の新しいクラスである2ーBに着き、自分の机に座って項垂(うなだ)れていた。


そしてHR(ホームルーム)が終わり、今は授業が始まる前の十分休み。


HRが終わってからも項垂れていた僕に話しかけて来たのが、僕の唯一無二の『親友』である『(さくら) 冬美(ふゆみ)』。


スラリとした足腰に、並の女性並みに育っている二つの双丘。見事にバランスの取れている体型だ。

更には(りん)とした態度に、その(つや)やかに(なび)いている長い黒髪のポニーテールが印象的な、これまた沙奈や妹達にも負けず劣らずな美少女。

さらには武術まで(たしな)んでおり、何と言うかこう......大和撫子(やまとなでしこ)みたいな感じかな?


冬美と親友になったのは、半年ぐらい前の頃だ。まぁ、あの時は僕や冬美も色々あったからねぇ......それが終わって、僕達は互いを認め合うようになり、今の関係に至ると言う訳だ。


「ハッハッハ。お前って奴はホント不幸体質だよなぁ、春斗」

「だーまーれーバカ零次(れいじ)。お前のことだから、どうせ何があったのかも大体分かってるんだろ?」


そう言いながら僕と冬美に近づいてきたコイツは、僕と昔っからつるんでいる、いわば『悪友』と言う存在。名前は『神谷(かみや) 零次(れいじ)』。

顔は、まぁ......死ねやゴラって言いたくなるほどのイケメンフェイスだね。うん、()ぜろ。ついでに禿()げてろ。

何故人類は、皆生まれながらに平等じゃないのかな?不公平だよ、ちくせう。


「零次。貴様、さてはまたハルに何かしたのだな?だとしたら、私が黙ってはいないぞ?」


そんな思想(しそう)を抱いていると冬美が、まるで僕を(かば)うように零次の前に立ちふさがった。その目線は(するどく)く、高圧的だ。

そして美少女に守られている男子.......もとい僕。うん、情け無さすぎて泣きそうだよ......。

対する零次は、そんな高圧的な冬美には恐れてないと言った風に口を開いてきた。


「やだなぁ冬美ちゃん。俺が春斗に何かした時は、こいつはこんなもんじゃすまないぜ?」

「爆ぜろ!本気で爆ぜろ!!」


零次の衝撃的な言葉に、思わず大声を張り上げて自分の願いを叫ぶ。

だって零次が言ったことは、コイツが僕に何かすると僕がこれ以上疲れるってことなんだよ!?なんて宣言(せんげん)してくれてんのこいつ!!


そうやって殺気だっていると、こちらに近づいてくる人影が見えた。目線を向けると、そこには苦笑している沙奈が居た。その苦笑を見る辺り、何故僕が殺気だっているのかも理解しているのだろう。


「まあまあ、落ち着いてよハル君。零次君も、ハル君のことを心配してるんだよ」

「ねぇ沙奈。コイツが本当に僕の心配をすると思う?ねぇ思うの!?」

「............多分」


そこは言い切って欲しかったよ、沙奈......。

まぁ、そんなこんなで会話に沙奈も参加。僕を含めたこの四人がこうやって会話をするのも、もはや当たり前の光景(こうけい)だ。

僕、冬美、零次、沙奈。この四人が、去年からいつもつるむ、いわば『いつもの四人組』。

何を話し合うにしても、何をするにしても、大抵はこの四人組なのだ。


......だが、僕はこの『いつもの四人組』で、居心地(いごこち)が悪い思いをしている。

いや、別に三人が嫌いってワケじゃないよ?確かにこの三人は一緒に居て面白いし、楽しい。だから、嫌いになる(はず)など無いのだ。


―――しかし、考えても見て欲しい。


冬美や沙奈は、美少女だ。気に食わないが、零次はイケメン。そして僕はと言えば、平凡顔(へいぼんがお)


美少女、美少女、イケメン、平凡(僕)。


これ、完全に僕浮いてるよね?要らない子だよね?な、泣いてなんかないもんね!ちょっと目から汗が出てるだけさ!!......ちくせう。


と、そう思うことがあるのだ。だから、居心地が悪い。まあけど、今更この三人と関わらないとかは考えられないけどね。


「......なぁ春斗」

「ん、何?零次」


そんな事を思っていると、零次が僕に話し掛けてきた。

まぁ内容は大体分かってるんだけどね......。


「お前が朝疲れてたのは、やっぱり妹達か?」

「うん、そうだよ。朝から校門で待ち構えられてて、その対応で疲れてたのさ......」


そう言った瞬間、零次の顔が(ゆが)んだ。しかし、それも仕方がない。

実は零次、妹の一人である千棘に、結構酷いことをされているのだ。主に精神的に......。


本人曰く話の内容が。



『ねぇ零次さん、どうしてお兄ちゃんに近付くのかな?ねぇなんで?零次さんはホモとかじゃないでしょ?そうでしょ?なのになんであんなにお兄ちゃんも仲良さそうに話なんかしてるの?ねぇなんで!?そのせいでお兄ちゃんがホモとかになったらどうするの?私に興味なくなっちゃったらどうするの!?そんなに顔を青くしてないで、答えたらどうなの?ねぇどうなの!?そうやってお兄ちゃんに............』



と、何時間にも続けて言われたらしい。これはもはやトラウマモノだ。

しかし、あえて僕は思った。イケメンざまぁっ、と。

それと千棘、安心していいよ。僕はホモになんざならないから。金輪際(こんりんざい)ならないから。むしろこんなヤツは、こちらから願い下げだ。


しかしここで、話に食い付いて来た人物が居た。

それは僕に妹が居ると知らなかった人物。沙奈と零次は妹達の存在を知っている。つまりこの四人組の中で知らない人と言えば、もはや一人しか居ない。


「ハルよ。妹達とは、一体どういうことだ......?」


当然、冬美である。

何故言わなかったのかと言うと......言う必要が無いと思ったからだ。僕としても昨日までは、妹達が霧ヶ丘に来るとは思っていなかったのだ。

まぁ、どの道今日言うつもだったから、手間が(はぶ)けて良かったかな。


「春斗の妹達ってのは、全員春斗の事が好きな、ブラコンなんだぜ?」

「な、なんだと!?沙奈よ、それは(まこと)か!?」

「うん、本当だよ。しかもその子達って、全員美少女だからね。あの子達には、昔私も手を焼かされてたからなぁ......」

「な、なんと......ここに来て、まさかの伏兵(ふくへい)......!敵は沙奈だけかと思ったのに......!」


そう言いながら、心底悔しそうに項垂れる冬美。と言うか、沙奈が敵って......。


(しばら)く項垂れていた冬美だったが、何かに気付いたかの様に顔をバッと上げたかと思うと、僕をジト目で(にら)んできた。


「まさかとは思うがハル。その妹達の手によって疲れていたのではないだろうな?」

「―――へ?いや、そうだけども......」


そう僕が答えた瞬間、冬美の目が憤怒(ふんぬ)に染まった。あぁ、これはあれだ。説教パターンだ......。

冬美は、何故か僕が軟弱者(なんじゃくもの)だと許せないらしい。理由を聞いたら、『私が認めた男が、そんな軟弱ではダメなのだ!』と言う如何(いか)にも男らしい理由だった。

その為、僕が弱音を吐いたりすると、冬美はよく説教をしてくる。


「ハルよ、その程度で疲れるなどと弱音を吐くな。そんなことだからお前は......」

「やめてよね冬美さん。ハル君には私がついているんだから、そんなこと言わなくていいんです」


しかしそんな冬美の説教が始まろうとした途端(とたん)に、沙奈が僕を庇ってきた。しかし僕は、安堵などしていない。むしろ逆だ。

この後の二人は、僕の予想では......。


「ふん。貴様がちゃんとハルのことを見てやらないから、私がこうして見ているのだろう」

「私はちゃんとハル君のことを見ているよ。学校でしかハル君と会えない冬美さんには分からないでしょうけど......」

「―――なんだと?沙奈、貴様ハルの幼なじみだからと言って、図に乗ってやしないか?」

「アナタこそなんなんですか?ハル君の親友だからって、深く立ち入ってこないでくださいよね」


「「あぁ?」」


あぁ、やっぱりまた始まっちゃったよ......僕の予想的中だ。


沙奈と冬美は、何故か時々仲が悪い。だからこそ、こんな口喧嘩(くちゲンカ)もしょっちゅうあるのだ。

けどその口喧嘩の内容の中に、何故かいつも僕の名前が上がっているんだけど......僕何かした?

沙奈に冬美の事を聞いても、『油断ならない敵だよ!ハル君の妹さん達よりも、ずっとね!』と言ってくるのだが......何故にあいつらと関係が?と言うか沙奈も、冬美みたいな事を言うんだね。


僕がそんな事を思っていると、隣りに居た零次が、(あわ)れむ様な目でこちらを見ている事に気付いた。


「......どしたの?」

「いや、お前はホント鈍感(どんかん)だなぁ......って思ってよ」

「む、失敬(しっけい)な。僕は鈍感なんかじゃないよ。ギャルゲーでも、好感度とかには人一倍敏感(びんかん)なんだよ!そんな僕が、鈍感だって?ハッハッハ!ないないない。―――な、何さその冷たい目線は?ねぇ零次、どうしてそんな目をするの!?―――って沙奈と冬美まで!?と言うかどうして口々に『不潔(ふけつ)だね、ハル君』とか『死ねばよい』なんて言ってるの!?やめてっ!これ以上僕のガラスのハートを傷付けないで!!」



「死ねアホ鈍感が」


「そうだよバカ鈍感」


「そうだな不潔鈍感」



「いやぁぁぁぁぁっ!!僕のガラスのハートが粉々にぃぃぃぃい!?」







新しいクラスに、僕の絶叫(ぜっきょう)(ひび)き渡る。


願わくば、この会話に更に妹達が混ざってしまい、カオスな事になりませんように......!


僕はただ、そう願うばかりであった。






―――しかし、この時の僕はまだ知らない。

その妹達が僕の家に一緒に住み、更にカオスな事になることを......。










ここでヒロインの一人、『親友』が登場。

さすが主人公。もう既にこの親友と半年ほど前にフラグを立てているとは......。

感想とかも募集してますから、気軽にしてくださいね!!


この調子で、次回も頑張るぜ!!(いや、無理やり感は頑張らないよ?むしろ治すよ?だから安心してね?)

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