三話 ~妹その2『桐ヶ谷 瞳』~
まず言っておきたいことがあります。
約三週間も更新遅れてマジですいませんでしたーッ!!(あれ?1ヶ月ぐらい?)
......本当にすいません。いや、理由だってあるんですよ?本当ですよ?ええ、分かってますよ。言い訳ってことぐらい分かってますよ。
でも言わないと気がすまないんです!だから後書きに書いときました!本当にすいません!
あと今回は色々ありすぎて、多分前以上の駄文です。
それでもいいというかたは、どうぞ♪
『もしもし。久し振りだね、ハル兄』
「ああ。久し振りだな、瞳」
―――『桐ヶ谷 瞳』
それが僕をハル兄と呼ぶ妹の名前。
三人の妹達の中で一番頭が良く、それでいて運動も出来る。いわゆる『文武両道』なハイスペックシスター。
性格は冷静沈着。あらゆる出来事の殆どを冷静に判断し、周りの事を考えて対処するクール系な妹。
頭が物凄く良いので、周りの空気を読んで会話も出来る。
そのお陰で男子や女子にも人気があり、先生にも受けが良く、人望がとても厚い。
周りの人気者でいて頭も良いし運動も出来るって......同じ血が流れている筈なのに、なんだろうねこの差......。
べ、別に羨ましい訳じゃないんだからね!勘違いしないでよね!!
......。
何言ってんだろう、僕って......。
これじゃまるで『三春』みたいじゃないか......。
自分の言葉で自暴自棄になりそうだよ......。
コ、コホン!ま、まあそれは置いといてだね。
瞳には聞きたい事もあるし、入学式の準備もあるだろうから、早く話を終わらせてあげないと......。
『ハル兄が今考えてる入学式の準備なら、もう終わらせてるからね?』
「人の心読むの止めようね!?」
ビックリして心臓に悪いから!現に今僕の心臓バックバクだよ!?
っていうか何で心読めるの!?
『それは私が妹だからだよ』
「それが本当なら全世界の妹達はテレパシーを使えるってことになるんだけどねぇ!?」
そんな能力持ってる妹はいやだ!プライバシーの侵害にも程があるよ!
そしてまたさりげなく心を読んだよね!?
......ちょっと待って、落ち着こう。冷静に考えるんだ僕!
そんな力が瞳にあるはずないじゃないか。普通に考えて分かることさ......。
試しになんか思ってみよう、え~と......。
『ハル兄、今『僕の秘蔵コレクションは何処に隠してるでしょう』って考えてるよね?』
「......」
一言一句間違えてないです......はい......。
マズイよ全世界の兄諸君、君達の妹は多分能力を持っている!
『ハル兄の秘蔵コレクションの隠し場所は、ベットの下の段ボール箱の中に入っている各教科の参考書のカバーの裏......』
「あぁぁあぁあぁぁぁッ!!」
瞳の声を遮るように叫ぶ僕。端から見れば今の僕は、気の狂った変人に見えるだろう。
だがそんなこと気にしていられない!どうして!?どうして千棘に続いてお前も僕の秘蔵コレクションの在りかを知ってる訳!?
『フフッ。どうして知ってるのかって思ってるね?』
「すんません瞳さん......。もう勘弁してください......」
もう精神的に限界です......。テレパシーはもう堪忍や......。
心の中で関西弁(?)を使う僕。あ、これもテレパシーで読まれてるのかな?......ハハ、もうどうでもいいや......。
抵抗するだけ無駄だと覚って鬱になる僕に、『種明かししてあげようか?』と言ってきた瞳。
それは是非ともお願いします!なんて大声で言ってしまった僕に満足したかのように瞳は笑い、言ってきた。
『それはね、ハル兄の思考パターンを予想してたんだよ。』
......え?思考パターンを予想?瞳の言ったことが理解出来ない......。
思考パターンを予想するだって?そんなのは出来るはずがない。そう瞳に告げようと、僕は口を開いた。
「瞳......そんなこと出来るわけ――――
いや、お前なら出来るな......」
さっきまで否定をしていたが、すぐに考えを改め直して思った。
え?何で否定しないのかって?んなの出来るわきゃねーだろ、だって?
ハッハッハッ!ところがどっこい。この妹、『桐ヶ谷 瞳』はそれを可能に出来る程頭が良いんだよ。
僕もやはり一年という月日で忘れていたようだ。千棘がヤンデレだったって忘れてたのと同じで、瞳が頭が良いってことを忘れてたんだ。
頭が良いって言っても、他の人より頭がずば抜けて良いとかそんなのじゃないんだ。
―――つまりは『天才』ってヤツさ。
コンピューターが出来なさそうな複雑な計算さえも、この妹はやってのける。
アメリカにある某大学さえも飛び級出来るぐらい。それぐらいこいつの頭は良いんだよ。
だからこそ僕は瞳に聞きたいんだ。
「......瞳」
『? 何?』
「どうして『霧ヶ丘』を選んだんだ?」
―――そう。この天才が何故霧ヶ丘に来るかだ......。
前にも言った通り、妹達三人は全員がブラコンだ。もちろん今電話越しで会話をしている瞳も例外ではない。
『千棘』と『三春』は僕が居るから霧ヶ丘に来たで間違いない。
―――なら瞳は?
この天才が、僕が居るからという理由だけで霧ヶ丘に?他に理由があるんじゃ......?
考え上げれば切りがない。妹を疑うってのは何か心もとないけど、確認しないとスッキリしない......。
僕が居るからっていのも大きな理由の1つだろう。だけどもっと他に大きな理由があるハズ......。
『ハル兄、私を疑ってるでしょ?ひどいなぁ』
「うぅ......。ご、ごめん」
い、いや。確かに妹を疑うのはひどいことだけど......。
僕も自分の安全の為というかなんというか......。
『私は頭がとても良いけど、一人の女の子なんだからね?なのにハル兄は......』
「え、ええと......その......」
何とか誤魔化そうと頭をフル回転させる僕。......が、次の瞳の言葉で考えるのを止めてしまった。
『ハル兄が居るからって以外に、理由が必要?』
「―――ッ!?」
妙に艶っぽい声音を出しながらそう言ってくる瞳。その声音でそのセリフを聞いた瞬間、僕は顔を朱に染めた。
な、何て恥ずかしいことを言うんだ、この妹は!?
くぅ。なんかストレートに告白された時のような恥ずかしさが......ッ!(そんな経験ないけどね☆)
か、顔が熱い。今自分の顔を鏡で見れば、恐らく耳まで真っ赤になっていただろう。
と、とりあえず落ち着こう......。
『フフ。照れてるね、ハル兄』
「くっ。やっぱしお前の思惑通りかよ......」
『でも事実だよ?』
だからそんなこと言わないでくれる!?恥ずかしいんだって!
お前のブラコンっぷりは十分に伝わってきたから!
『ああでも他に理由があるっていえば1つあるかな......』
「え?本当か?」
やっぱしあるじゃないか......。
瞳は次の言葉を言うため、一呼吸間を置いてから話した。
『だって一緒の学校の方が、ハル兄と甘い甘い青春を送れるでしょ?』
「―――ぐッ!」
ぬあぁあッ!!せっかく落ち着いてきたのに、何でそんなこと言うの!?分かっててやってるよなこいつ!
くっ......。とにかく落ち着け僕......。
くそぅ。これだからこの妹は困るんだ。
―――天才。
その脅威の頭脳で僕が恥ずかしがる事を的確についてくる。どのくらいの声音で言えば僕が意識して恥ずかしがるとか、どのくらいのセリフを言えば僕が恥ずかしがるとか。
千棘とはまた違った困らせ方をさせてくる。
千棘が性格で僕を困らせてくるなら、瞳は頭だ。
さて、どうしようか......。
このままいけば瞳のペースに持ち込まれてしまう。それだけは避けなければいけない。
―――あっ。逆に僕のペースに持ち込めばいいんじゃ?
思いだったが吉日。さっそくやってみるとしよう。
僕はそう決心し、電話の向こうで恐らくクールになっているだろう瞳に、千棘と同じことを告げようとした。
「僕はお前のことを『愛してるって言うんでしょ?』―――ちくしょう!」
筒抜けか!?この天才の妹の前じゃあ全てが筒抜けなのか!?
こいつ本当にテレパシー持ってんじゃないの!?
『フフ。甘いよハル兄』
携帯の電話越しに、瞳の勝ち誇ったような声が聞こえる。
―――じゃかぁしいッ!所詮凡人は天才には勝てねえんだよこんちくしょう!!
『大体私がどれだけハル兄を愛しているのか、ハル兄は分かっちゃいないんだよ。私はハル兄の全てが好きなんだよ?』
落ち着けぇぇぇ!!落ち着くんだ僕!
妹にドキドキしてどうするんだ!近親相姦なんて僕はまっぴらごめんだ!
ぐっ。何か、何か反撃をしないと!
『ハル兄の優しさが好き。ハル兄の自分よりも相手を優先する性格が好き。ハル兄の―――』
ぐっ。マズイぞ。早く突破口を見つけないと、瞳のペースに持ち込まれる!!(今でも十分持ち込まれてると思うけど)
瞳が僕の恥ずかしがる事を連発している中、僕は瞳の事を思いだし続けた。
一年間という月日だ、少しぐらい忘れることだってあるだろう。
(............―――あ)
―――思いだしたと同時に見つけた反撃の糸口。
それは......
(―――瞳はクーデレだったんだ......)
『クーデレ』
クールとデレをかけた斬新な呼び方。
意味は......まあ実際に見てもらった方がいいかな。
『ハル兄、聞いてるの?私がどれだけハル兄を愛しているかを。私がどれだけハル兄を想っているのかを。私はハル兄が大好きだよ、もちろん異性としてね♪』
今でも僕が恥ずかしがる言葉を囁いてくる瞳。だけど、その声は微かに......本当に微かに震えていた。
その震えが意味するもの......それは!
「瞳。恥ずかしいんなら言わなければいいんじゃないの?」
『―――ふぇっ!?』
それはつまり、本当は瞳は恥ずがっている事だ!
瞳は昔っからそうだった。周りには何食わぬ顔しているが、本心はかなりの恥ずかしがり屋な性格。
さらにこの妹。頭が良いせいか、自分の予想してない事が起きると、思考力が著しく低下してしまうのだ。
―――つまり反撃するのは今!
「いやぁ、顔が赤くなっている瞳って可愛いよねぇ。見ているだけで癒されちゃうよ」
『うぇっ!?え、えと......あ、ありがとう......?』
ああヤバイ。なんか僕の中に眠っている加虐心が燻られる!
だっていつもクールになってるヤツがデレる時ってなんか来ない?こう......グッと来るものがさ。
「もう本当に可愛いなぁ瞳は。世界で一番可愛いよ?」
『うう......っ!!』
「そうやって呻いている瞳も可愛いなぁ」
『―――ッ!?』
ついには声にもならない悲鳴をあげる瞳。
いつもの瞳ならば、今さっき言った僕の言葉などいくらでも予想していただろう。
だが今の瞳は思考力が低下している為、そこらに居る普通の女の子と同等の頭になっているのだ。
そのため僕の言葉を鵜呑みにしてしまう、純真無垢な妹になっちゃうってわけだ。
「アッハッハ。冗談だよ瞳」
『うう......ハル兄のバカァ......』
「でも可愛いっていうのは事実だよ?」
『ま、またそんなこと言って!』
それから少しの時間が経過し、瞳も完全に落ち着きを取り戻したようだ。
改めて瞳に話し掛ける。
「瞳、そろそろいいか?どうせ三春も待ってるんだろ?」
『あ、うん。よく分かったねハル兄』
そりゃまあブラコンの妹達だからねぇ。入学式で会うのに我慢できず、電話をかけてくるだろうと思ってたからさ......。
『あ、そう言えばハル兄』
「ん?どうした?」
電話を切ろうと思っていたが、瞳が思い出したかの様に言ってきた為、電話を切るのをやめる。
『私がハル兄に電話する前に母さんの悲鳴が聞こえたんだけど、何かあったの?』
「......」
ああそうだった。千棘が今お怒り中でしたね。
般若のような形相を浮かべた千棘と、それに圧倒されながら『何で言ったのさ春斗ー!』と叫んでいる母さんを想像した......。
さらば母さん。どうか安らかに眠ってくれ......。
そしてさよなら、僕の仕送り......。
心の中で、散っていった我が母と仕送りに敬礼する。と言っても母さんは無事だろうね。
しかし千棘は母さんに一体どんな事を?すごく気になるんだけど......。
『私も気になって様子を見たんだけど、千棘が母さんの財布を持っていたんだよね』
「......それは悲鳴をあげてもいいレベルだな」
実の母から財布を掻っ払うって......我が妹ながら恐ろしいやつだ。
そしてあえてツッコまなかったけど、また僕の心を読んだ(予想した)よね?心臓に悪いからやめて。
『あと、なんかもう1つ手に持ってたよ?』
「どんなのだ?」
『あれは封筒だったね。そこに『春斗へ、母さんより』って書いてあったし』
「それ僕宛の仕送り金じゃないの!?」
十中八九そうに違いない!
あのヤンデレ妹、さては僕を餓死させる気だな!?
『ハル兄も大変だろうけど、頑張ってね。―――それじゃ』
「......」
瞳がそう言った瞬間、電話は強引に切られた。
僕はちょっと呆然とし、結論を出した。
―――バイト......しようかな?と。
はいでは言い訳タイムです。
一週間。親から携帯とパソコンを一週間没収。(理由はご想像にお任せします)
二週間。返ってきたパソコンで作品を作る......がまさかのフリーズ。結果最初っから。
三週間。内容を覚えてなく、とりあえずその場しのぎで作る。そしてそれを投稿ってわけです。
不幸とは重なるんですね......初めて知りました。
なので結構な駄文となってしまいました、まことにすいません!それでもポイントやお気に入り登録してくれたりすると、とても嬉しいです!
何事もなければ、次話は一・二週間程度で出来ます。
あ、感想も募集中ですから、直して欲しい点とかあったら書いてください。率先します。
それではまた。