二話 ~妹その1『桐ヶ谷 千棘』~
はい。ブラコン係の恋愛小説を書いているクロムです!
誠にすいませんが、今回で妹達を全て出すのは無理がありました。(マジですいません!)
なので、一話に一人ずつ出すということに......。まあつまり、この回で千棘。次回に残っている二人の妹の内どっちかを。
そしてその次に残った最後の一人を出すということです。
本当にごめんなさい!あと今回、乗りで書いてしまったので、結構駄文です。(そのくせ長い)
それでも構わないと言う方は、ぜひ見てください。
では、どうぞ♪(前書きから長文すいません!)
チャーチャーチャーチャッチャッチャーチャッチャッチャッー♪
携帯のディスプレイに表示されている『桐ヶ谷 千棘』という文字を見ながら、僕は暫し考える。
さて......どうする?
妹......千棘が電話を掛けてきた理由は、間違いなく僕と同じ高校に通う事についてだろう。
―――だが僕はその事をすでに知っている。
しかし妹達はその事を知らない。
要らぬ誤解の連鎖を生み出さないように、僕は千棘に話を合わせなければいけないのだ。
全く......よりにもよってこんな面倒な時に......。
もういっそこの携帯を燃えないゴミにでも出してやろうか?
一瞬そんなことを考えたが、燃えないゴミの収集日は残念ながら明日だし、僕としても大事な携帯を捨てたりなんかしたくない。
―――よってここは電話に出るという選択肢しかない。(ここまで考えるのにかけた時間約2秒。わあぉ、驚きだぁ☆)
緊張して指が震えているのが分かる。そりゃあ一年も妹達の声を聞いていないんだ、緊張だってするさ。
「......よし!」
意を決し、緊張して震えている指で通話ボタンを押す。
ピッ。
「も、もしもし?」
『もしもし?お兄ちゃん?』
聞こえてきたのは、透き通った感じの滑らかなハスキーボイス......その声は長年聞いてきた僕の妹達の一人、千棘の声に間違いなかった。
一年たっても変わらない妹の声は、不思議と僕に安心感を感じさせてくれた......。
「ど、どうしたんだ?」
『フッフッフッ。聞いて驚かないでね?お兄ちゃん♪』
いつまでも感傷に浸っているわけにもいかず、また、気づかれない為にもさりげなく用件を聞く。
......と言ってもまあ、用件は分かってるんだけどね。
次にこいつが言う言葉は、恐らく『私達、お兄ちゃんと同じ高校に通うんだ♪』的な事だろう。
僕はわざとらしく『ええッ!?』とでも言えば、千棘は信じて、要らぬ誤解の連鎖を生み出さずに済む。
ハッハッハッ!どうよこれ?
いつもは妹達の対応に困っていた僕だけど、予想さえしていればちゃんと対応出来るのさ!
さあ、かかってこい!僕の予想力と、渾身の演技(『ええッ!?』をわざとらしく言うこと)を見せてやる!
『実は、お兄ちゃん家の鍵をピッキング出来るようになったんだ♪』
「ええッ!?」
いやいやいや!!
予想外!さすがにそれは予想外すぎるよ!?
そんなの誰だって予想出来ないし驚くよッ!?
だって犯罪だもん!不法侵入だもん!!
こいつ分かってんの!?
......ちなみにさっきの『ええッ!?』もわざとではなく本心からである。
「ち、千棘?それは世間一般で言う犯罪になるんだけど......分かってる?」
『あはは。冗談だよお兄ちゃん。それぐらい分かってるって』
「え?あ、冗談だったのか......」
そう聞いてホッと安堵する。
よかったよかった。一瞬身内を警察に引き渡そうかと本気で考えたけど、冗談だったのか......。
安心したぁ。
『まあ、ピッキングしたいのは事実だけどね♪』
「全然安心できない!!」
前言撤回。全然安心できませんでした。
こいつやっぱり犯罪って分かってないんじゃないか?
千棘が行動を起こす前に玄関に細工でもした方が良いんじゃ......?
『クスクス。これも冗談だよ。お兄ちゃん』
「ほ、本当だろうな......?」
『うん!だってこれはお茶目なジョークなんだから』
「これがお茶目ってレベルなのか!?」
ありえない!!これがお茶目なら次のレベルは何なんだ!?
家が吹き飛ぶとか、人が死ぬとか、そういうレベルか!?
僕はそんなの認めないぞ!断じて認めん!!
そう決意し、僕は次の妹の攻撃をどうかわそうかと模索する。
『......』
「......ち、千棘?どうしたんだ?」
だが妹からの攻撃は来ず、千棘は急に黙ってしまった。
さっきまで普通に喋っていたのに、突然黙ってしまった千棘を不審に思って考える。
―――もしかしてどこか痛いのか!?
そんな嫌な予感が脳裏を走ってきた。
そうだとしたらすぐに母さんに診てもらわないと......ッ!!
千棘からの攻撃をどうかわすなど最早考えず、千棘を心配する僕......だが、妹はそんな僕を察したように、優しい声で言ってきた。
『お兄ちゃん、心配しないで。嬉しかっただけだから』
「嬉しい?」
どうやら、僕の予感は外れたらしい。
よかったぁ......でも、嬉しいってのは一体......?
『うん。だってお兄ちゃんとこんな話するのって......久しぶりだったから......嬉しくて嬉しくて......ありがとね?私の大好きなお兄ちゃん!』
「......千棘」
ハハッ。何だよこいつ、そんなに嬉しかったのか?
僕としてはその『大好き』には『異性』としてではなく『兄』としてしか答えられないから、ありがた迷惑なんだけど......。
それでもどこかで嬉しいって思っている自分だって居た。
......お前と一緒なのさ、千棘......。
やっぱり妹ってのは大事なんだ。
一緒に居て面倒とか何回だって思った事はあるけど、居なくなればいいと思った事は一度もない......。
むしろ一緒に居てくれて感謝している。
僕が落ち込んでいる時は励ましてくれて。
僕が悩んでいる時は相談に乗ってくれて。
僕が困っていた時は助けになってくれて。
だから僕は、妹達から『ありがとう、お兄ちゃん』なんて聞く度に心の中で思うんだ。
―――こっちこそありがとな、僕の妹達......と。
しかし千棘も、もう少し常識があれば完璧な妹だと思うんだが......。
『あいつ』とは大違いだな。
僕はここには居ない『幼なじみ』を思い出す。
容姿端麗で成績優秀。面倒見がよくて、優しい人畜無害な完璧幼なじみ。
千棘もあいつを見習ったら......そうだ!
「なあ千棘。お前も『あいつ』を少し見習ったらどうだ?」
そう提案した瞬間、携帯越しでもピクッという肩の震える音が聞こえた。
まるで上機嫌だったのが急に不機嫌になったような音が......。
......あれ?何か嫌な予感が......。
『あいつって......もしかして『沙奈』さんの事......?』
「え?あ、ああ。そうだけど......?」
『......』
「ち、千棘......さん......?」
額から汗が滲み出る。
さっきの無言とは違い、今回の無言は明らかに僕が思った嫌な予感を膨らませた。
―――次の瞬間、嫌な予感は見事に的中してしまった。
『ああ、またあいつなんだね?またあいつが私とお兄ちゃんの邪魔をするんだね?なんで?なんでなの!?お兄ちゃんは私だけの人なのにッ!またあいつが邪魔をする!!邪魔をする!邪魔をする!邪魔をする!!』
「お、おい!どうし......」
た。と言おうとした僕は、あることを思い出す。
ああ、どうして忘れていたのだろう......。
一年という月日が流れてしまったせいだろう、きっとそうに違いない......。
―――千棘の性格は妹達の中でも非常にヤバいんだった。
そう......さっきのいきなりの言葉で分かると思うが、千棘は......
『あの女が私とお兄ちゃんの中を引き裂いたんだそうなんだ!どうやってなぶってやろうかな?殺すだけじゃあ足りない足りない足りない!!生きてきた事を後悔させるぐらいじゃないと。指を一本ずつ切り落とそうかな、そうだよ!それがいいよ!アハ!アハハハッ!!』
―――千棘は『ヤンデレ』だったんだ......ッ!!
『ヤンデレ』......意味としては、病んでいるとも言う。
愛情がとても重く、自分の好きな人が他の人と仲良くしていたら、そいつらを痛め付けたり(ひどい時は殺傷沙汰になる)仲良くしていた本人さえも傷付けるという怖い性格だ。
―――まさに千棘がそれなんだよね......。
嫉妬に狂ってると言ってもいいぐらいだ。
一度千棘がこうなると、ある言葉を言わない限り止まらないんだよなぁ......。
恥ずかしいけど迷ってる暇はない。妹を犯罪者にしない為にも、言わないと......。
『やっぱりあの女は邪魔なんだよ!私とお兄ちゃんの幸せを邪魔するいけないやつなんだよ。そういうやつは早めに排除しないと......お兄ちゃん、ちょっと用事が出来たから行ってくる。
多分入学式には間に合わないと思うけど、心配しないでね♪』
「ま、待て!千棘!」
『......何?』
電話を切ろうとする千棘を、慌てて止める。
幸い千棘も話を聞いてくれるみたいだし......。
本当に恥ずかしいけど言うしかない......ッ!
「あ、愛しているぜ。千棘!」
『ふゃ!?ど、どうして急に!?え、あ、でも。わ、私も......お兄ちゃんのこと』
「兄としてな!」
『あ!ひ、ひどい!乙女の純情を踏みにじったんね!』
「ハハッ。まあまあ」
こう言っておけば千棘は照れて、ヤンデレモードは止まる。
ふぅ。と安堵する僕......怖かったぁ。
その時、ふと思った事が......。
そういえばこいつ、何の用で電話を......ああ、僕と一緒の学校に通うことだった。
こいつ用を忘れてるんじゃ......?
「なあ千棘。お前の用って僕と同じ学校に通うことじゃなかったのか?」
『え?そうだけど......何でお兄ちゃんがその事を......?』
「......あ」
あ、ああぁぁぁッ!!?なんてこった!!
そうだよ。あいつらは僕がその事を知らないって思ってるんだった!
ぐ......ッ!どうする!?
どうすれば......ッ!?
『ねえお兄ちゃん......』
「は、はい!?」
『誰がお兄ちゃんに教えたの?』
「ひ、ひぃッ!?」
千棘の低い声に奇妙な悲鳴をあげてしまう。
だって怖いんだもん!ものすごく怖い!!
さっきの千棘のセリフを僕的に訳すとこうなる。
『教えてお兄ちゃん。そいつを痛い目に会わせるから』......と
......。
言えない。母さんが言ったとはとても言えない。
そう言ったら千棘は間違いなく母さんに向かって行くだろう。
―――だがそうなれば僕の仕送りはどうなる?
母さんは『何で言ったの?』と僕を怒り、仕送りをしなくなる可能性だって高い。
そうしたら僕の死活問題に関わる。ここは黙り作戦を使わせてもらうぜ!
千棘には悪いが、僕はまだ死にたくない!!
『教えてくれないの?』
「......」
『お兄ちゃん......』
「......」
『分かったよ。ならこっちにも考えがあるからね』
「......」
考え?フッ。そんなの今の僕には通用しない!
今の僕はテコが来ても黙ってるさ!!
アッハッハッ!
『お兄ちゃんのベッドの下にある秘蔵コレクションを学校中にばらまくからね♪』
「母さんです!!母さんが教えてくれました!!すんません許して下さい!!」
どうして!?何でこいつが僕の秘蔵コレクションを知ってるの!?
ある意味ではテコより危ないんだけど!?
『そう......母さんが......それじゃあね、お兄ちゃん♪』
「え?あ、ちょッ!?」
ブツッ......。
無慈悲な音と共に、携帯での会話は強制的に終わってしまった......。
何故僕の秘蔵コレクションを知っていたのか結局聞けず、妹、『桐ヶ谷 千棘』との一年ぶりの会話は無事......とはいかないが、とりあえず終わった。
ふぅ......と一息ついていた僕だったが、次の瞬間......。
チャーチャーチャーチャッ(以下省略)
とまたもやダース◯ベイダーの着信音が鳴り響く。
またか!?またなのか!?
うんざりしながら携帯に表示されている文字を見る。
そこに表示されている文字は『桐ヶ谷 瞳』だった。
一難去ってまた一難か。
僕はそう思い、電話の通話ボタンを押した。
どうでしたか?千棘はヤンデレって設定なんですけど......。
や、やっぱり駄文だと面白くないですよね?
すいません!つ、次の妹編ではちゃんと直します。
な、なので。次も見てもらえると嬉しいです。
余談ですが、お気に入りとかしてくれたら作者はかなり喜びます!
では、また次回で会いましょう。