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星を追う者 ~話が長い。三行で~  作者: 鴉野 兄貴
ピーターに捨てられた
9/77

空を飛んだドワーフ

そのドワーフは空を飛びたいという。ドワーフに空を飛ぶ魔法は無理だ。

そう伝えると「ぐらいだー」なる動かぬ翼を持つ木の鳥と、『風の魔斧スカイアックス』なる斧を見せてきた。闘いの後、私は彼の身体を「ぐらいだー」に乗せて飛ばした。

……。

 ……。


 「『黒鉄鉱石』のおっちゃん、可哀相だったね」

ピーターが瞳から塩水を流している。『涙』という水だ。嘆きの精霊の祝福。

「……ああ」


 『岩の都』についた私たちは、『黒鉄鉱石』なるドワーフに出会った。

彼はドワーフの身で空を飛ぶ魔法を極めようとしているらしいのだが。

「空を飛ぶ魔法を習得したドワーフはいない」少なくとも、長老方も知らないはずだ。

「ぼくも、飛びたいなぁ」ピーターはそういって笑った。

だから、私たちは。彼を手伝った。そして……。


 ……ドワーフの青年、『黒鉄鉱石』の物言わぬ身体は「ぐらいだー」に括り付けられ、

風の精霊の加護を受けて天に昇っていく。

私たちは「ぐらいだー」の設計図を彼の遺言に従い、全て焼き払った。

私の身体は『兄弟の木』から生まれるが、この世界の母の胎から生まれた彼は如何にしてこの世界に戻るのだろうか。


 「飛んでるね。すごいね」「ドワーフのからくりは凄いな」

ピーターの呟きに私も驚いている。あの動かぬ翼を持つカタマリが飛ぶとは。


 「人間は、空を飛びたいという……叶わぬ希望すら争いの道具にするのか」

私の心を燃やすのは、怒りの精霊。図らずして少し人間の心が分かってしまった。


 「……ぜんぶが、ぜんぶ、そうじゃないよ。

人間だって空を飛びたいって思うし。……僕も飛びたかった」

ピーターは『黒鉄鉱石』の計らいで試作直後のグライダーに乗った。

自由に飛べるとは到底言いがたいものだった。一瞬だけ浮いて……落ちただけ。


 無事を祈って近づいた私たち二人の前で、彼は大笑いしていた。

「とんだっ! ぼくはとんだっ! 」と。

そう、彼は私と違い、「笑う」ことができる。同じエルフなのに。


 「アレが、ドワーフの体重を支えられる、完成品」

「そして、アレがこの世界、最後の。……ドワーフや魔力の加護なき人を乗せて飛べる翼だ」


 「いこう」

「どこへ? 」

「……アイツが落ちる姿、見たくはない」


 崖から飛び立ったドワーフの青年・『黒鉄鉱石』の身体は、

太陽に向かって高く、高く飛びたっていった。

習得アイテム。


スカイアックス

外見:全長135センチの巨大な青い斧。

刃の部分だけでディーヌの背中ほどある。


特徴:

その本体は全て「幻」であり、触れることは叶わない。

使用者が死ぬとき、任された者がその所有権を得る。

誰も任されなかった場合消滅する。

しかし、同じ幻や幽霊などの類には絶大な効果を期待できる。

また、任意の方向にある程度の強風を生み出し、風の精霊の加護を得ることができる。


この世界のドワーフの命名法則。

男性は「●●鉱」女性は「●●石」と鉱物や宝石の名前がつきます。本文では全て漢字表記です。


エルフの命名法則。

エルフは得意な属性に応じた『唄のタイトル』になります。

本文では『ひらがな』表記で統一します。

唄そのものが名前なのですが、長すぎるので『唄のタイトル』で統一しています。

彼らはディーヌのように呼び名にはまったく頓着していないので、人間の世界ではディーヌのように犬の名前や友人の名前、友人につけてもらった渾名を名乗るものもいます。

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