ちっちゃくなっちゃった
「ディーヌ。大変。助けて」シーナ。声は聞こえるのだが何処だ?
「ディーヌスレイトッ ここっ ここだって! 」お前は何をしているのだ。
シーナは小さな姿になっていた。
……。
……。
「でぃーぬ。でぃーぬ」シーナの声が聞こえる。オスカーが腹を減らしていたぞ。
「シーナ。何処だ」「ここ……。ここだよ」私は今だ慣れぬ寝台から身を起こした。正直宿の寝台より木の上のほうが快適だ。シーナもカネカネと言うならば木の上に私が寝ることを許可してほしい。
自らの発言に違和感を感じた。場所は特定できるのに相手の位置が解らぬ。魔法で姿を消しているのとも違うのだ。
「シーナ。新しい術を身につけたのか」「ちがうよ……私が魔法苦手なの知ってるじゃないの……」まぁシーラや教授ほどではないな。それでも魔導士としての力を少々持っているのは事実だが。
「ここだって。ディーヌ。助けて」今度は耳元ではっきり聞こえた。
彼女が私の肩当てにつかまって可能な限り大きな声を放ったからだが。
私の瞳と彼女の小さな瞳が合う。
「なにをしているのだシーナ」「見ればわかるでしょ」
状況は理解したが行動と結びつかないぞ。シーナ。
「ちっちゃくなっちゃった」絹のハンカチで身体を覆った少女は現状を語った。
囁くような声は人間の耳には判別し難い。仲間たちは驚いていた。
「ふむ。あの怪しい像の魔力だったのですね」ファンが呆れている。
「だって、だって正体不明だけど魔力があるようだし、ちょっとでも高く売ってあげたいじゃないッ 」ザイセータントーならではの苦悩があるようだ。
「シーナたん可愛い」「そういうご趣味があったのですねラッキィ様。私も可愛らしいと思いますが」ラッキィ。シーラ。解決にならぬ発言をするな。
その人形の家はなんだ。仕舞え。
「カリンや『教授』のいない時に鑑定まがいのことをするからだ」金を払ってでも鑑定を頼むべきだったな。シーナよ。
「しかも一回きりの魔力で再利用できないみたい」つまり、不用意な行動で価値を落としたということか。お前らしからぬミスだな。
そう指摘すると小さな指先をつつき合わせて落ち込みだしたが、仲間たちにその様子が伝わらないと判断すると白く細く長い脚で円を描きだした。
人間の感情表現なる呪術は実に多彩だ。
「ラッキィ。解呪できるか」私はラッキィに解呪の儀式を依頼したが。
「大変です」「どうした」ファンの蒼い顔を下から見上げる。
「鳥に浚われてどこか行っちゃいました」「そうか。人間が空を飛ぶ。素晴らしい」「そういう問題ですかッ ディーヌスレイト様ッ 」
結果論として動物と話せるようになっていた彼女のお蔭でその時の依頼は解決したのだが当面の間酒場での話の『サカナ』になったらしい。
処で何故サカナなのだろう。シーナにはエラは無いのだが。




