ナンパされた
「妖精の乙女よ。あなたは美しい」……よくわからないが仲間になってくれ。といわれた。
どうするとピーターに問うと、断れといわれた。断っても彼らはついてくる。困ったものだ。
……。
……。(「二行で済んじゃったじゃないか」By 作者)
人間達が『サカバ』と呼ぶ施設で一息をつく私たち。
私は木の上でピーターを抱きしめて寝たいのだが、ピーターが嫌がるのだ。
曰く、「街にいる間は家の屋根の下で過ごさなければならない」らしい。
「なんだ? あの大斧? 」「なんだ? あの変なエルフ? 」
「……目立つのはよくないって言わなかったか? 」「……諦める」
そういって蜂蜜酒を飲むピーター。「お姉ちゃんの所為で、4回も振られたんだけど」
よくわからないが、反省している。「うん。頼むからじゃましないでね」
どうすれば邪魔になるのか、時々わからないのが悩みだ。
遠巻きに見ている人間達の中から、一人の男が私に近づいてきた。
「美しい。君は美しい。俺の恋人になってくれ」彼はそういった。
「俺の名はルース。俺の嫁になってくれ。妖精の乙女」何故か手を伸ばしてくる。
「……握手しちゃダメ」
握手というのは、人間がよくする呪術らしい。しかし、私の関心は別のところにあった。
コイビト? とは。なんだろうか?
「……ピーター。コイ人というものはなんだ? フナに変形する獣人か? 」
「そんなの見たことないよ……」ピーターも時々「ため息」をする。
「常に共にあり、夜を共にするものだ」
ふむ。つまり仲間になれということか。しかし。
「夜なら、いつもピーターと一緒にいるぞ」「……」
「でーぬお姉ちゃん。ごかいを受ける表現は控えてください」「むぅ」
また叱られてしまった。
顔をさまざまな色にしたり、
顔の形を老木のようにぐにぐに変える男に辟易していると、
ピーターもまた半眼で私の顔を見ている。
「どうした? ピーター。目に埃が入ったか? 目が細いぞ」「あのねぇ」
ピーターは彼に「でぃーぬおねえちゃんは子供だから、そういうことはわからないよ」と告げ、
私の手を引っ張った。「いこ」……従うことにする。
「コイビトは仲間なのだな。私は学習したぞ」「違う」
「私はピーターのコイビトなのだな」「絶対違うからっ?! 人前で言わないでねっ?! 」
「……私たちは仲間ではないのか?! 」「でも恋人じゃないよ。お姉ちゃん。説明難しいけど」
むう。
「人前でなければよいのだな」
「……少なくとも、ぼくがグラスランナーの女の子と話しているときだけは辞めてね」
私はピーターの手を握り返し、歩を進めた。
後ろから、「ルース」と名乗った人間たちがおいかけてきたが、何の用か判らなかった。




