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勇者センター試験

作者: 華タクロー
掲載日:2026/06/07

「炎の勇者になりたいんです。」


俺は予備校の先生にそう宣言した。

先生は無表情で、俺のスコアシートを眺めている。


「……先生?」


「君ね、この学力では、炎の勇者どころか、泥の勇者でも難しいよ。」


俺は絶句した。

泥でも難しい……


「君ね、悪いことは言わないから、せめて戦士センター試験に切り替えなさい。もしくは、村人センター試験もいいと思うよ。君なら、確実に村人Aになれる。」


「村人なら、AでもBでもCでも変わりません。」


「君、失礼なことを言ってはいけないよ。村人に入学し、村人を卒業して立派にやってる人もたくさんいるんだ。博士号をとって、村の長老になった人だっているんだからね。」


「とにかく、俺は炎の勇者になりたいんだ。」


「君ね、炎の勇者の倍率知ってるのかい?」


「え、今年はいくつくらい……」


「3.07倍だよ。」


「それならなんとか……」


「君ね、炎の勇者の去年の足切りは761点だよ。」


「761点!?また、上がってません?」


「人気だからね。泥の勇者でも703点なんだ。」


「703点……」


「君、654点でしょ?無理だよ。」


「でも、夢なんで頑張ります。」


「まあ、良いんだけどね。君、三浪目でしょ?大丈夫なの?」


「親が、応援してくれていますので。」


「そっか、まあ頑張れ。あと、来年から、勇者センター試験と魔王センター試験が統一されるから、倍率上がるんで、今年でダメだと厳しいからな。」


「え、そうなんですか。」


「その関係で、村人センター試験にも、優秀な人材が流れ込むだろうから、切り替えるなら今年だからな。」


先生は去っていく。


「村人にもなれなくなるのか……」


夢のない世の中になったものだ。


自販機で缶コーヒーを買って飲む。


窓の外に、魔王城が見えていた。

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