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第七話:応援

「なんか飽きてきたな」


ファストラスに滞在して五日、初日と野宿を加味すれば七日は森の中でホーンラビットと戦っている。いや同士討ちなんだけどね。それを誘導しているんだけどね。


最近は思考加速にも慣れてきてホーンラビット五体くらいなら念動力を使いながら同士討ちを誘導することもできている。


いまだに死亡がないのはいいけど進展のなさに飽きが来ていた。念動力もいまだにLV1で小枝しか持ち上げられないし。


「一か月でLV3だからな。苦行だと分かっていたとは言え、な」


同士討ちに漏れた一匹を短剣でチクチク刺す。ドロップアイテムの落ちもよくない。LUKの値が低いからかもしれない。でもDEX極振りと決めているからいまさら変えるのも違う気がする。初志貫徹。


頭の上のHPバーが0になったホーンラビットが緩やかに四散するのを確認して短剣を鞘に戻す行動に入る。自分の行動もスローモーションだから微妙にイライラする。うーん、ストレスフル。


「イラついておるようじゃの?」


「うおっ?」


誰かいるとは思わなかったので後ろからかかる声に驚き飛び上がった。右手を短剣に置き、いつでも抜けるように準備し振り返ると目の前には副委員長よりちっちゃい女の子がいた。


この7日間、出会ったのは最初のチュートリアルNPCだけだ。プレイヤーとは森の中では会っていない。そこらへんは被らないように調整されているんだろう。女の子の頭の上に名前もHPバーもないところを見るとプレイヤーでもなく魔物でもない。NPCか?いやNPCだとしても頭の上に表示されるはずだぞ?


そんなことを臨戦態勢を取りながら考える俺に女の子が笑みを浮かべる。


「なにも取って食おうとは思っておらんよ。ぬしは長いこと森におるので迷ったかと思うてな」


攻撃してくる意思はないらしい。短剣から手を放して女の子を観察する。


金色の長い髪に赤い目、チュートリアルNPCとは異なる西欧風の丈の長い服を着て若干地面から浮いている。


浮いてる?


浮いてるよ。なんだこいつ?魔物か?HPバーがないってことは倒せないストーリー上の敵か?そもそもTWOになんらかのストーリーがあるのは聞いたことないぞ?


そんなことを考えている俺にふよふよと浮きながら女の子が近づいてきて手招きする。有無を言わせないような圧を感じて顔を近づけると頭を叩かれた。


結構痛い。視界が滲んできて両手で叩かれた頭を押さえる。


「わざわざ儂が出てきて導いてやろうというに、言うに事欠いて魔物呼ばわりは不遜じゃぞ?」


若干滲んでいる視界に口角を上げて優しく笑う女の子のアップが映る。近っ!


「儂はフォルトゥーナという。この世界に生まれし者どもの前に顕現するのは初めてじゃ。よろしゅうのう」


「よろしくお願いしもうす?」


フォルトゥーナって名前か?どっかで聞いた気もするけど。


「さて、話を戻すがどうした?なぜ街を進まん?なぜこの森におる?」


「あー。ステ、能力が低くて進めないんだよ。ギフトスキルも念動力っていうやつで小枝しか動かせないしな」


なぜか感覚的に目の前の女の子を信じてもいい気がして隠すことなく現状を話す。ゲームの中で自分のステータスを明かすなんて自殺行為もいいところだが気にしなかった。


「なるほどのう。儂と出会うたのもなにかの縁じゃ。少々手伝ってやろうかの」


え?やっぱりチュートリアルNPCなの?運営からのお助けキャラ第二弾なのか?


フォルトゥーナが微笑みながら手招きする。逆らえずに顔を近づけるとまた叩かれた。なんだよっ?


「助けはするが誰に請われたわけではないぞ。儂の気分次第じゃ、馬鹿にするでないわ」


発生するかしないか分からない偶発的なイベントっていうことか?もしかして特殊な(ユニーク)道筋(シナリオ)なのか?もしかして引いちゃったのか?


フォルトゥーナが俺から目を放して背中を向ける。彼女が両手を上げると目の前の地面が隆起し始めた。俺の背丈より高い土の山、その壁面が穿たれて入口のように開いていく。見ると下に続く階段らしきものがあった。


「ほれ、行くぞ。念動力は継続しておくがいい。あと、これを着けておけ」


俺の脇で浮かんでいる小枝を見ながらフォルトゥーナが言い、丸いものを俺に向かって放ってきた。腕輪かな?


「収納の腕輪じゃ。どんなものでもいくらでも入るでな。この中で拾ったものを入れておけ」


腕輪を左手に装着するとアクセサリー:収納の腕輪と表示されてアクセサリー:なしが下に追加された。腕輪の説明文が入る。


アクセサリー:収納の腕輪(女神の加護を受けた腕輪。無尽蔵に物が入る収納器であり収納物は時間が固定されるため劣化することはない。また女神の寵愛を受ける者のみが装着できるため他者に譲渡することは不可能)


・・・・・いきなり定番のぶっ壊れアイテム突っ込んできた。女神の加護?寵愛?フォルトゥーナって女神ないしは近しい者なの?


いろいろ疑問を浮かべながらもフォルトゥーナの傍に行き地下に続く階段を見る。うん、たぶん迷宮(ダンジョン)だよね。大丈夫か?ホーンラビットしか倒したことないんだけどな。


「どうした?このダンジョンならば、ぬしの望むものがいくつか手に入るぞ?」


その言葉は女神の寵愛か悪魔の誘いか。だがユニークシナリオであるなら乗らないのは馬鹿だろう。


俺が足を一歩ダンジョンに向けて出すとフォルトゥーナの笑みが深くなり前に進む。一緒にダンジョンに入ってくれるようだ。


「一緒には行くが儂はぬしの親でもない。ダンジョンを進むのはぬしなのだと肝に銘じておけ」


「うす」


フォルトゥーナに返事をすると目の前にステータスボードが開いた。フォルトゥーナがパーティーに加入した旨が示されてステータスが表示される。


名前:フォルトゥーナ

種族:神族

職業:なし

職業(副):なし

LV:unknown【経験値/】

ステータスポイント:0


HP(体力)unknown

MP(魔力)unknown

STR(攻撃力)unknown

DEF(防御力)unknown

INT(知能)unknown

DEX(器用さ)unknown

AGI(素早さ)unknown

LUK(運)unknown


右手:なし

左手:なし

頭:なし

身体:神衣

足:神衣

靴:神靴

アクセサリー:なし


やっぱり女神らしい。LVもステータスもunknownってなんだ?


「儂は神ゆえな。人間の枠で測れるものではなかろう?」


そうなんですね。はい。疑問に思っても解決することはないだろうから考えないようにしよう。


凄いらしい女神様をパーティーに加えた俺はダンジョンに向けて進んでいく。


壁が仄かに光り照らす階段を降りていくと平らな地面が見えた。細い道のようなものが続いている。地下一階に着いたようだ。地下一階も階段と同じように仄かに壁が光っているので視界に問題はない。


「キュイッ」


鳴き声に体が反応する。聞きなれた鳴き声はホーンラビットのものと思われるが目の前に出てきた地上の数倍は大きい身体に目が点になる。


「えーと?」


「儂の作ったダンジョンじゃ。よもや地上と同じとは考えておらんじゃろな?」


地上のホーンラビットでもHP削るの大変だったのにこいつは何回攻撃すれば倒せるんだ?


「ほれ、早くせんと仲間を呼ぶぞ?」


そこは地上に準拠してるんかいっ!


俺は短剣に手を当てながら大きなホーンラビットに向けて走り出す。もしかしてフォルトゥーナってスパルタ女神なのか?

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