第七話 ペンダント
それから四日後の土曜日の朝、スマホの着信音が鳴り響き、吉秋はそれを手に取ると、部下からの電話だと気づき、すぐに出た
吉秋「何やってんだよ? 今から向かう、対応できるところは任せるぞ」
吉秋はそう言い、電話を切った
吉秋「桜花、リリスちゃんと麗奈にこのお金を渡すのとごめんなさいって、伝えてもらえないか?」
吉秋は財布から取り出した、お金を桜花に預け、伝言を頼んだ
桜花「なにかあったんですか?〜」
吉秋「社運がかかってるプロジェクトで最後の所を誰かがやらかしたから、手伝ってくる」
桜花「休日なのに、皆さんは出社してるんですか~?」
吉秋「その、プロジェクトがもうすぐ、終わるからな、俺も行こうとしたけど」
吉秋「社長業務と並行して手伝ってたら、社員全員に「休んでください!」って言われて、俺だけ休みになったんだ」
吉秋「重要なプロジェクトだから、二人に伝言をお願いするよ、桜花」
桜花「わかりました、伝えときますね〜」
吉秋「ありがとう、いってきます」
桜花「いってらっしゃい〜」
吉秋は急いで会社に向かった
三十分後
麗奈「お母様、おはようございますわ」
麗奈は二階から降りてきた
桜花「麗奈、おはようね〜」
麗奈「お父様はどちらに?」
土曜なのにリビングに吉秋がいなかったため、麗奈は居場所を聞いた
桜花「急な仕事が入って、会社に向かったわよ~」
桜花「だから、リリスちゃんと一緒に行ってほしいのと約束を守れなくてごめんなさいって言ってたわよ~」
麗奈「わかりましたわ」
それから数分後にリリスが降りてきた
リリス「麗奈、桜花さん、おはよう」
麗奈「リリスさん、おはようございますわ」
桜花「リリスちゃん、おはよう、ゼン君はまだ起きてないの~?」
リリス「昨日、ゼンが私と麗奈の肩を借りながら、帰ってきていたじゃないですか」
桜花「そうね~」
リリス「実は昨日、こんなことが有ったんですよ...」
リリスは昨日の出来事を話し始めた
昨日
ゼン「やっと...学校が終わった」
龍「そうだな...それになんで今日、体育...男子だけ10km、走らないといけねんだよホントに、あのクソ教師がよ」
凛「女子は1km、だったからね」
唯「うん...格差がすごい」
リリス「ゼンは、最後に転んだって、聞いたけど、大丈夫なの?」
ゼン「うん...膝を擦りむいただけだし」
麗奈「私は本日、午後は保健室に居ましたが、消毒しに来てませんでしたね...ゼンさん」
ゼン「あっ...」
リリス「ゼン...ケガしたところ悪化するよ?」
五人が会話をしながら、校門に向かっていると
野球部員「そこの人たち、そこをどいてください!」」
ゼン「うわっ」
ゼンが声の方向を見たとき、目の前に野球ボールが来ていたが野球ボールは影の壁に直撃した
ゼン「え...」
ゼンは無意識に影の壁を作り上げた
ゼン「あれ、なんで能力が発動し...た」
ゼンは突如、めまいとだるさを感じ、地面に座り込んだ
龍「おーい、お前ら、あぶねえだろ、次から気を付けろ!」
野球部員「すみませんでしたー!」
麗奈「ゼンさん、急に座り込んで、大丈夫ですの?」
リリス「ゼン、立ち上がれる?」
リリスはゼンに手を差し出した
ゼン「大丈夫だと思う、急にめまいが来ただけだし」
ゼン「あれ...ちゃんと...歩けない」
ゼンはめまいにより、バランスを崩してまともに歩けなくなっていた
リリス「ゼン...私の肩を貸すから、肩に手を乗せて」
ゼン「ありがとう、リリス姉」」
麗奈「一人だと、大変だと思うので、私の肩を使ってください、ゼンさん」
ゼン「ありがとう、麗奈姉」
ゼンは二人の肩に手を乗せて歩き始めた
リリス「こんな事がありまして」
桜花「そうなのね~」
リリス「吉秋さんは?」
桜花は麗奈に説明したことを、リリスにも言った
リリス「そうなんですね」
桜花「後、吉秋さんから二十万を渡されたからこれで買ってきてね~」
麗奈「ペンダントってそんなにするんですの?」
桜花「麗奈は買ったことがなかったわね~」
桜花「何かを付与できるペンダントは普通のより高くなるのよ~」
麗奈「そうなんですのね」
麗奈「リリスさん、朝食を食べましたら、ペンダントを買いに行きませんか?」
リリス「私も食べた後、すぐ行きたかったし、いいよ」
桜花「なら、三人で先に朝食を食べましょうか~♪」
一時間後
麗奈「お母様、いってきますわ」
リリス「桜花さん、いってきます」
桜花「二人とも、気を付けていってらっしゃい~」
麗奈とリリスはデパートに向かった
十分後
ゼン「桜花さん、おはよう~ございます」
桜花「ゼン君おはよう、朝食を温めるわね~」
ゼン「ありがとうございます」
ゼン「麗奈姉にリリス姉と吉秋さんどこに行ったんですか?」
桜花「吉秋さんは急な仕事が入って、麗奈とリリスちゃんは買い物に出かけたわよ~」
ゼン「そうなんだ」
桜花「ゼン君、朝食が温まったから、取りに来てね~」
ゼン「は~い」
ゼンは朝食を取り、席に着き、食べ始め、それから一時間後
ゼン「龍の所に行ってきます」
桜花「気を付けて、いってらっしゃい」
朝食を食べ終え、数十分経った後、ゼンは龍の家に向かった
桜花「一人になったわね、寂しいし吉秋さんのお弁当を作って、届けてきましょう~」
その頃龍の家に着いたゼンは
ゼン「龍、能力の扱う訓練を手伝ってくれない」
チャイムを鳴らして出てきた龍に向かってゼンは言った
龍「いいぜ、暇だったし」
龍「ちょっと、待ってくれ」
と言い龍は何かを取ってきた
龍「じゃあ、庭に行こうぜ」
龍は小さい箱と木剣を持ってきた
ゼン「龍の家、庭があったんだ」
龍「麗奈の家のよりは小さいけどな」
龍「じゃあ、使うぞ、魔導具・訓練所」
龍がそう唱えると四角い小さい箱は光を放ち、龍とゼンは箱と同時に消えた
ゼン「何ここ?」
龍「魔導具で造られた空間」
ゼン「何で、ここで?」
龍「俺、炎と雷を操る能力を使うだろ」
ゼン「そうだね」
龍「周辺に被害を出さように訓練ができる、魔導具を父さんが買ってくれたんだ」
龍「後、ここではあらゆる攻撃で傷は一切つかない、痛いけどな、だから手加減すんなよ」
ゼン「了解」
龍「そういえば、お前魔力浸透率0でどうやって能力の訓練するんだ?」
ゼン「それはこうするんだよ」
ゼンは自身の歯で手の皮膚を切り、出血させた
ゼン「影操作【影剣】」
ゼンは影を生み出し、手のひらに凝縮させ、片手剣を作り出した
ゼン「やっぱり、予想通りだった」
龍「皮膚を通らないなら、切って通り道を作るって、エグ」
龍「麗奈達に怒られるぞ、ゼン」
ゼン「バレなければ大丈夫でしょ」
龍「そうかい、火炎操作【炎剣】」
龍は木剣を鞘から抜き、鞘を投げ捨て、炎を生み出し、木剣に纏わせた
龍「いくぞ、ゼン!」
ゼン「うん、龍!」
ゼンと龍は模擬戦を始めた
その頃、麗奈とリリスはデパートに着きペンダントを見ていた
リリス「麗奈、ゼンにこれが似合うと思う?」
麗奈「良い思いますわ、でも違うのも見てみませんか?」
リリス「そうね」
麗奈とリリスはまた探し始めた
それから三時間後
ゼン「なんで、三時間戦っても決着がつかないの..ハァ...ハァ...ハァ...」
龍「その能力、使うの二度目なのに...ハァ...ハァ...ハァ...何でそんなに使いこなせるんだよ?」
龍は息を整えながら、言った
ゼン「何でかは、わからないけど、使い方がわかる」
龍「マジか」
ゼン「疲れたから、そろそろ帰るよ、僕」
龍「じゃあ、解除するぜ、魔導具解除 【訓練所】 」
ゼン「じゃあ、また明日、龍」
龍「じゃあな、ゼン」
ゼンは家に向かった
数分後
ゼン「ただいま」
麗奈「ゼンさん、おかえりなさいですわ」
ゼン「ただいま、麗奈姉」
ゼン「麗奈姉、帰って来てたんだ」
リリス「あっゼン、おかえり」
ゼン「ただいまリリス姉」
麗奈「ゼンさん、実はリリスさんと私から渡したい物がありますの」
ゼン「渡した物?」
麗奈「これですわ」
麗奈はペンダントが入った箱をゼンに渡した
ゼン「これってペンダント?」
リリス「ただのペンダントじゃないわよ」
リリス「魔力の出力を十分の一まで下げる呪いを私が付けてるから」
リリス「これで、魔導具の問題は解決ね」
ゼン「麗奈姉、リリス姉、あり......がとう」
ゼンは涙を流しながら言った
麗奈「ゼンさん...何で泣いてるんですの?」
リリス「どうしたの?」
ゼン「わかんない...急に涙が」
麗奈は持っていた、ハンカチでゼンの涙を拭いた
ゼン「麗奈姉、ありがとう」
麗奈「感謝されるほどのことはしてませんわ」
それから、数週間後の某所
秘書官「総理、都内から原因不明の疾患、報告が一週間で百人以上の報告が上がっています」
秘書官が慌てて、報告しに来た
総理「なんだと!」
総理「症状はどのようものだ」
秘書官「はい、魔力量が急激に増加していき、魔力量に体が耐えられず、燃えて死ぬというものです」
総理「これは、日本全域に緊急事態宣言を今すぐに発令しろ!」
総理「外出が必要な場合は、魔力で体を守る事を絶対とし、補助魔導具を各市町村に設置しろ!」
秘書官「はっはい、今すぐに」
秘書官は走り去っていた
総理「すぐに、終息してくれると、ありがたいが、どうなるか」
それからすぐさまに緊急事態宣言が発令され、各市町には迅速に補助魔導が設置された
緊急事態宣言は三年間も続き、ゼンたちの受験は三年延期された
それから三年後の受験当日
ゼン「やっと、入試ができる」
麗奈「そうですわね」
リリス「そうね」
三人で歩いていると他の三人がやってきた
龍「三人とも、おはよう」
ゼン「おはよう、龍」
麗奈「龍さん、おはようございますわ」
リリス「おはよう」
凛「三人とも、おはよう」
ゼン「おはよう、凛姉」
リリス「おはよう」
龍「あっ、凛おはよう」
凛「おはよう// 」
凛は少し恥ずかしいそうに挨拶をした
龍「何で下向いてんだ?」
凛「なんでもないわよ、バカ龍!」
龍「なんでぇ!」
凛「(また龍に恥ずかしくてツンツンしちゃった...)」
凛は内心で落ち込んでいた
唯「皆......おはよう」
ゼン「おはよう、唯姉」
麗奈「おはようございますわ」
三人「おはよう」
麗奈「皆さん、そろいましたし本日の試験、絶対に合格しましょ!」
ゼン「うん」
龍「おう」
二人「そうね」
唯「...うん」
六人は受験する、学校に向かっていった
一時間後
ゼン「ここが足立学園都市、どこから入るんだろう?」
麗奈「そうですわね」
リリス「そうね」
龍「そうだな」
凛「そうね」
唯「...うん」
麗奈「あそこの、守衛さんに渡せば、いいのでは?」
麗奈が指をさしていた、守衛に五人は近づいた
守衛「どういうご用で学園都市に来訪されましたか?」
六人「受験です」
守衛「確認のため、受験票を見せていただけますか?」
六人は受験票を出して守衛に渡した
守衛「名簿にありますね」
守衛がそう言いながら、背後の壁にある、パネルに触れると
目の前の学園都市の全域を覆う、結界に穴ができた
守衛「どうぞ、お入りください」
守衛がそう言うと、六人は結界内に入ると、結界は再び閉じられた
六人は受験会場に向かった
ゼン「ここが、会場」
龍「広すぎ...だろ」
凛「そうね」
麗奈「本当に広いですわね」
唯「広すぎだと...思う」
リリス「そうね」
六人は試験会場へ入っていった
受付嬢「受験番号を拝見しても?」
六人が会場の広さに驚いていると、受付の女性が近づき、受験番号の確認をしに来た
六人「はい...」
六人は紙を渡した
受付嬢「あなた方は、Bブロックですね、あちら側に行っていただければ、試験は受けられます」
六人「わかりました」
六人はBブロックのエリアまで五分かけて移動し、十分ほど待機していると、二人の試験官が現れたた
試験官A「それでは、人数が全員揃いましたので、試験を開始します」
試験官A「知っていると思うが、この試験は筆記試験・能力実技試験・戦闘試験の順で行われる。くれぐれも気を抜いて凡ミスで不合格にならないよう、注意してくれ」
試験官B「まずは、筆記試験からです、皆さん後ろの部屋に移動をお願いします」
ゼン達、六人を含む、受験者270名は部屋へ移動した
試験官B「試験時間は五十分、合格の最低基準は六十点、では、試験開始!」
一時間後、受験者数は135名まで減った
試験官B「合格者は、この部屋に入ってきた扉の正面にある扉へ進んでください」
135名は次の部屋に向かうと、そこには中心に中くらいの広さのアリーナとその周りのトラックがあった
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