第二話 悲劇①
新月の日当日の早朝、村はずれの木々の間で、玲也は何者かと通信をしていた
玲也「この村を襲うのは止めませんか」
玲也は何者かに言っていた
???「なぜだ、俺らには辞める理由はない、次口答えしてみろ」
???「妹がどうなっても良いのか?」
何者かは玲也の妹を人質に取っていた
玲也「わかり・・ました、予定通り・・・今日の夜にやります」
玲也は少しの沈黙も経て、言った
???「定時連絡はこれで終わりだ」
通信機が切れた音
玲也「止められ、なかっか」
玲也は拳を握りながら、一滴の涙を流した
星空が輝く夜、村離れで何かが空に飛び破裂音がしそれから数分後
ドアを叩く音
アレン「誰だこんな時間に」
アレンは扉を開いた
村人A「アレン、村が襲われた」
アレン「何だと!?」
アレンは酷く驚いた
襲撃者A「死ねーッ!」
襲撃者の一人は狂気じみた叫び声とともに村人Aに襲いかかる
素早く振り下ろされた刃は空を切り裂く
村人A「あっ、死ぬ...!」
アレン「オラっ」
アレンが村人Aの襟を掴み引っ張り、刃を目前でかわし、アレンは襲撃者Aの腹をめがけて強烈な蹴り叩き込んだ
アレンがアレン「おい!、逃げろ!」
村人A「あっはい!」
村人Aは慌てて、走り出した
襲撃者A「痛てえな、ぶっ殺してやるよ!」
襲撃者Aはキレ、アレンに攻撃しようとしたが
アレンは呟いた
アレン「くらえ、氷支配【氷槍】」
アレンは手元に鋭く輝く氷の槍生み出した
襲撃者A「なっ」
そして、アレンは襲撃者Bに間髪を入れず攻撃をした
襲撃者A「がはっ!」
襲撃者Aは氷の槍に腹を貫かれ、その場で崩れ落ちた
アレン「ユリア、ゼン、起きろ」
アレンは急いでユリアとゼンを起こした
ユリア「なんですか〜アレンさ~ん?」
ゼン「何、父さん?」
二人は眼を擦りながら起きた
アレン「村が襲われた、2人で逃げてくれ」
ユリア「え、そうなんですか!?」
ユリアはひどく驚いた
ユリア「でもアレンさんはどうするんですか?」
アレン「後で追いつくから、二人で逃げてくれ」
ユリア「ちゃんときてくださいね、ゼン、逃げるわよ」
ゼン「玲也兄と村長にも知らしてくる」
ゼンは走り出した
ユリア「ゼン、勝手にいかないの」
ユリアが逃げる準備をしていたらゼンはすでに離れた位置まで走っていた
その頃、村の中央で
襲撃者B「頭、村の連中が逃げようとしています!」
頭と呼ばれた男「なら、あの魔導具で村と周辺の森を囲め」
襲撃者の頭「森の中なら逃げるのも遅くなるだろう」
頭と呼ばれた男、襲撃者Bに命令をした
襲撃者B「は、はい」
襲撃者Bは魔導具を置き、唱えた
襲撃者B「魔導具発動【結界牢】」
結界牢と唱えたと同時に魔導具から空に光が伸び結界が急速に構築され始めた
二分後
理久の家に近づきゼンは見た、玲也が理久の心臓を貫いた所を目撃した
玲也「えっ、ゼン...」
ゼン「うわぁぁぁぁぁぁぁ...」
ゼンは恐怖で走り出した
一分後
ユリア「ゼン、どこに行ってたの?」
ゼン「・・・」
ゼンは恐怖で目撃した事を言えなかった
ユリア「逃げるわよ」
ユリアは何も聞かずにゼンの手を強く引いて走りだした
数分後
ゼン「母さん、もうすぐ村の裏口だよね?」
ユリア「そうよ、え」
ユリアはふと空を見上げ、結界が急速に構築されてることに気が付いた
そしてもうすぐ完成しそうなことに顔を青ざめた
ユリア「ゼン、ごめんね」
ゼン「なんで急に謝ってきたの母さん?」
ユリアが急に謝ってきた事にゼンは困惑した
ユリアは呟いた
ユリア「風操作【風の箱舟】」
ユリアは風を生み出し、ゼンの周囲に渦巻かせて箱舟を作り上げた
ゼン「え...」
ゼンは風の船に運ばれ結界の外まで運ばれると、同時に結界牢の構築が完了した
ゼン「母さんなんで」
ゼンは結界を何度も拳で叩きつけた
ユリア「ゼン、逃げなさい」
ゼン「やだよ!」
ユリア「いいから早く逃げて!」
ゼン「うっ」
ゼンは涙を流しながら走りさっていた
ユリア「よかった、ゼン、生きて幸せに成ってね...」
ユリアは一滴の涙を流した
ゼンは森を走りながら、今まで感じたことがない、感情に蝕まれ、息を切らしていた
ゼン「はぁ...はぁ...はぁ...」
ゼンは息を整えながら心で強く思った
ゼン「(絶対に復讐しテやル...!)」
と誓ったと同時に全身に痛みが走った
ゼン「な...んデ......急...に...痛みガ」
ゼンは激痛に耐えられず、うつぶせに倒れ込んだ
ゼン「いっ...たイ...どう......スれ…ば」
その時、禍々しい大剣がゼンの目の前に墜ちてきた
ゼン「ナん......デ...急に.........大剣......ガ」
ゼンは困惑しながら大剣に触れると、大剣が光に成り、体の中に入り込んだ
ゼン「体......ノ......中...に!」
ゼン「ダメ......だ...急二......寝...け......が」
ゼンは突然、強烈な睡魔に襲われた
???「情けねえな俺、まだ子供だから仕方ねえか」
突然ゼンの頭の中に声が
ゼン「ダ...レ?」
???「誰かは今は関係ねえよ、今は寝てろ!」
ゼン「モ...お...ダ......メ...だ」
ゼンは眠るかのように意識を失った
三日後
???「おーい、起きろ!」
ゼン「だ・・れ」
ゼンは誰かに呼ばれ、目を覚まし、声のする方向を見ると
???「起きたか」
そこには紫色の瞳をした黒髪の青年がいた
ゼン「誰?...」
ゼロ「俺はゼロだ、もう一人のおめぇだ」
ゼン「そうんなんだ?」
ゼロ「信じてない表情だな」
ゼンはゼロの言ったことに信じていなかった
ゼン「急に言われても、どう信じれば良いんだよ?」
ゼロ「そんな事より、全身の痛みはどうなった?」
ゼン「そう言えば、もう...痛くない」
ゼンは気を失う前の痛みが無くなっていることに気づいた
ゼン「あの痛みの原因は何だったの?」
ゼロ「あれは”魔物堕ち”ってやつだ、おめぇの中に居るもう一人と一緒に抑えたから痛みは引いたんだ」
ゼロ「けどな、精神汚染による変質は完全に抑えられなかった」
ゼン「どういうこと?」
ゼンは頭に?を浮かべた
ゼロ「今のおまえしゃべり方、前と違うだろ?」
ゼン「そういえば」
ゼロ「簡単に言うと人格が変わる」
ゼン「え...」
ゼンは絶句した
ゼロ「驚いても絶句までするか?」
ゼン「急に言われたら誰でも絶・・く・す・るだ・ろ」
ゼンは再び、強烈な睡魔に襲われ、途切れながら言った
ゼン「急な・・眠気・が...」
ゼロ「もう、時間切れか」
ゼロ「じゃあ、またな」
ゼンは眠るように意識を失った
ぼんやりとした視界に白い天井が映る、鼻を突く消毒液の匂い
ゼンは頭をぼんやりとしたまま、かすれた声で呟いた
ゼン「ここ...は...どこ?」
引き戸が静かに開き、白衣の看護師が入ってきた
ゼンはまばたきしながら、視界に映る見知らぬ人物をじっと見つめる
看護師「失礼します」
看護師は慣れて手つきで点滴を交換し始めた
ゼン「ここは、どこでなんですか?」
看護師「ここは病院ですよ」
ゼン「病院って何です?」
看護師「病院を知らないんですか?簡単に言うとケガや病気を治すところです」
ゼン「そうですか」
看護師「先生を呼んできますね」
看護師が医者を呼びに行き、五分後に医者が来た
医師「まずは最初に君の名前は何て言うんだい?」
医者はやさしい声色で聞いた
ゼン「氷月ゼン」
医者「ゼンくん、山の中で倒れていたらしいけど、何があったんだい?」
少しの沈黙を経て、ゼンは途切れながら起きたことを話した
医者「つらいことをきいてすまない」
ドアをノックする音
???「あのー、入っていいですか?」
医者「どうぞ」
ドアが開く音
黒髪の男性とピンク髪の角が生えたロングヘア―の少女が入って来た
ゼン「誰?」
医者「この少女が君のことを見つけてくれたんだよ」
ゼン「そうですか、ありがとうございます」
ゼンは少女に向かってお辞儀をした
しかし、心の中では感謝の気持ちなどなかった
人の善意を素直に信じられない自分がいる
???「お礼は良いですわ、当たり前のことをしただけですわ」
麗奈「私は黒羽麗奈9歳ですわ、あなたのお名前はなんですの?」
麗奈は笑顔で言った
ゼン「氷月ゼン、6歳」
ゼンは麗奈の笑顔を見て少し顔を赤らめた
麗奈「ゼンさんですわね、よろしくですわ」
吉秋「俺は吉秋だ、よろしくな」
ゼン「よろしくです」
医者「そろそろゼンくんの後何日入院するかの話がしたいのですか、してもいいですか?」
吉秋「聞く前に、話してしまい、すみません」
麗奈「すみませんですわ」
医者「謝ることではないので、大丈夫ですよ、今日は検査のために入院してもらいます、意識など混濁してないので検査で問題が出なければ明日の昼頃で退院です」
ゼン「はい」
医者「ただし、ゼンの両親は生死不明ですので退院した後の生活は児童養護施設などに預けることです
が」
「生死不明」そのことばがゼンの胸を締め付ける
医者「話を聞いた感じと今の精神状態を鑑みれば、大勢の知らない人と暮らすのは避けた方が良いかと」
医者は少しの間をおいて言った
医者「それで…」
吉秋が医者の話の間に割って入り言った
吉秋「それなら家で面倒を見られるか妻に聞いてみますよ」
医者「それは今お願いしようとしたのありがたいです、ゼン君良かったね」
ゼン「はい」
ゼン「(どうせ世間体のことを気にして言ったんだ)」
心の奥でチクリと痛みが走る
人を信じる気持ちは、あの裏切りの日に消えたままだった
翌日昼ごろ
面白いと思っていただければ。感想をお願いします。誤字脱字や文章の違和感があればXで報告お願いします。
https://x.com/hyougetuzen