魔女の館
それは森の奥、誰も近寄らない霧を超えた先にあった。深い霧を抜けるとそこは、太陽に照らされた緑の美しい野原。色とりどりの花が所々に咲いている。中央には昔絵本で見たような綺麗な館が建っている。私はその光景に見惚れながら、少しずつ館へと歩いていく。
まさか私なんかが、『魔女の館』に呼ばれるなんて思いもしなかったなぁ……。胸がドキドキする。だってこれから、七色の魔女様と会えちゃうんだよ!まあ今では私もその魔女だけど。
七色の魔女。別名七大魔女。七大魔女はそれぞれ自らの得意な属性に合った『色』を与えられる。私だったら、毒魔法が得意だから『紫の魔女パープル』っていう称号が与えられたよ。誰を七大魔女に任命するかは、その時の七大魔女の最高権者次第らしい。私は赤の魔女様に任命された。
さて……そんなことを考えて歩いていたら、目の前には大きな門が現れた。私の身長の十倍くらいの高さかな……。館に入るにはこの門を潜らないといけないけど、確か何かを使わないと開かないんだっけ……。確かバッグの中に……あ、これこれ。『招待状』。これをかざせば入れるみたい。どういう仕組みなのか私もわかってないけど、魔法の力で開くはず。
ーーガシャンッ。キィィィ。
すごい!開いた!よし、入ろう。
…………
……………………
うぅ……緊張して足が……動かない!こ、こういう時はいつものユウキダセール薬で……って門がすごい速さで閉じようとしてる……!?
ーーその時、藍色の髪の女性が後ろから急に現れ、私の右手を掴み、門の内側へと引っ張ってくれた。
「あ……ありがとうございます!」
「いや……それより怪我はない?」
「は、はい!」
「そう……それならよかった。」
藍色の女性は安心した様子で、ため息をつく。その安心した顔はとても綺麗だった。藍色のショートヘア。鋭い目。藍色のコート。イケメンな女子だ……。
「あなたはもしかして……新しい紫の魔女?」
「は、はい!あなたは……藍の魔女様?」
「ああ。僕は『藍の魔女アイス』だ。これからよろしく。」
「よ、よろしくお願いします!」
藍の魔女様が私の手を握ってくれた……!やばいよー!嬉しすぎる!
「顔が赤いけど大丈夫?」
「あ、大丈夫です!」
「そう。じゃあ館に入ろうか。」
「館……」
そうだ。私は今、藍の魔女様と同じ七大魔女……。うぅ……お腹痛くなってきたかも……き、緊張するぅ……。
「お腹押さえてるけど、もしかしてご飯食べすぎて……ああ、だからさっきも動けなくなっていたのか。」
……なんか変な勘違いされてるー!?まずいこのままじゃ、食べ過ぎで動けなくなり門に挟まれて死ぬところだった女になっちゃう!
「い、いえ。緊張でお腹が痛くなってしまって……」
「ああ、緊張か。わかるよ。初めては緊張するよね。大丈夫。僕がついてるから、ね?」
なんかえっっっですね……いえ、変なことは想像してないですよ。はい。
「ありがとうございます!」
「入ったらトイレもあるし、案内するよ。行こう。」
ということで私は藍の魔女様と一緒に館の中へと入った。
続きは書くかわからないですが、設定だけは結構できてます。