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王都ジルべリア

 その頃、ノルドワルド領では・・


 竜討伐を果たし、風の旅団にも契約放棄をさせたことで、ノルドワルド伯爵は気分よくワイングラスを傾けていた。

 その向かいにはインテリギルドマスターが座っている。


「万事順調、私の思惑通りに事が運んでおります」

 ギルマスがニコリともせずに言う。

「ガハハ。だが、我が騎士団から犠牲が出ておる。素直に喜んでばかりはいられん」

「いやいや、私も子飼いの冒険者を失いました。ま、100人程度の犠牲であれば儲けものだったと考えるべきでしょう。騎士団の犠牲も無駄ではなかった。そのように考えていただきたいものですな」


「ふむ、まぁそうであるな。ところで、あの素材は如何ほどになりそうか?」

「そうですね、竜骨は3千、肉、鱗、牙、爪が合わせて600でしょうか。オークションに掛ければの話です。魔石については裏ルートに流しますが、こちらは2千程かと。ただし、くれぐれも魔石については知らぬ存ぜぬを通してください。王国にばれたらその時点でお互いまずいことになりますから」

「分かっておる。心配無用だ。そうか、では都合5千を超えるか。ガハハ、これでは多少の犠牲も致し方ない事であった。ガハハハ」


 と、二人で皮算用を立てていたわけだが、数日後、王国領地騎士団がノルドワルド伯爵邸とトッテムギルドを取り囲んでいた。

 指揮官は、あのリーガル・ロンバードだった。


「ゴードン・ノルドワルド!王国軍に報告もなく竜討伐を画策し、王国を危機に晒した嫌疑で捕縛する!爵位は一時剥奪、領地、財産を全て王国領地軍の管轄下に置く!罪状、王国危機誘発罪、王国動乱罪、国家転覆予備罪、大領地領政法違反の罪だ」

「な!何かの間違いだ!私は何もしてない!」

「全て調査済みだ。己の欲に溺れ王国に害を為したこと、牢の中で猛省するが良い!」


 同時刻、トッテムギルドにて。

「ウィリアス・ビフリート!ギルドマスターの地位を利用しノルドワルド伯爵と共謀の上、王国を危機に至らしめた罪で拘束する。当ギルドは王国軍にて一時占拠する。また赤竜討伐に関する資料、素材は王国軍が全て没収する。手向かう者は同罪と見做し処分する。ギルド職員は冒険者を抑え、王国軍に協力せよ!」


 インテリギルマスは顔を真っ赤にして抗議した。

「なぜだ!私は竜討伐を主導し王国の危機を救ったのだ!それが何故罪に問われるのか!?」

「貴様は危機的状況を作ったのであって救ってなどいない。勘違いをするな!馬鹿者が!」

「な!?そんな筈はない。私の計画通り赤竜は討伐されたのだ」

「違う!貴様の無謀な計画で討伐隊は全滅、赤竜は屍竜となって収拾不能な事態に陥ったのだ。結果、村が焼かれ多数の王国民が犠牲となった。その罪はこの討伐を主導した貴様にある!わかったか!」

「くっ・・そんな馬鹿な!竜討伐など犠牲無くしてできるものか!犠牲者は運が悪かったのだ!私のせいではない!」

「だまれ!討伐による竜の暴走など想定出来たではないか!ならば王国軍に報告するべきであった。それを秘匿した時点で貴様は罪人であるのだ!これ以上の問答は無用!引っ立てろ!」


 ギルドが騒然とする中、(かせ)()められてギルマス、ビフリートはしょっ引かれていった。

 王国に危機をもたらした犯罪で捕縛されたのだ。

 相応の処罰は免れない。

 ビフリートは顔を青くして、衆目の中、引きずられるように連れて行かれたのだった。



 そんな事態になっているとはつゆ知らず。

 俺達は王都を目指して旅の空にいた。

 今いるロレンスク領から北北東に約3000キロル。

 王都ジルべリアは、広大なジルべリア王国の一番北西にある。

 王国の真ん中にあればもっと交通の便がいいのにと思うのだが、文句を言っても仕方のない事だ。


 あれから冒険者ギルドへは行っていない。旅費は少ないけど困ってはいないから移動を優先した結果だ。

 気になるのは大王亀討伐の素材がどうなったかという事だ。

 トッテム滞在中はその件について音沙汰はなかった。


 ここから王都までの間に侯爵家の大領地が4つもある。

 そのすべての領都にギルドはあるし、途中に山岳地帯や森もあって周辺の街にもギルドはあるらしい。


 俺達は途中で稼ぎながら王都へ向かう事にした。

 アリア曰く、王都は物価が高いのだそうだ。

「しっかり稼いでから行かないと宿代がすぐに底をつくわ」

 と言われては稼がずにはいられない。


 北へ向かう事12日。

 ディグリーム侯爵領のケルンという街に着いた。

 ディグリームと言えば、エレシアだ。

 魔境の奥で遺体を見つけて空間収納袋を手に入れた。ここはエレシアの故郷なのだろう。


 ケルンという街の北側に東西に走る長い山地がある。何と全長800キロル。

 この山地はミスリル鉱山や銅鉱山があり、更にダンジョンまであるという。

 ダンジョンとは深い洞窟の中に魔物が湧き出て来る不思議な場所だ。

 一説では大地の深い場所に魔力の奔流する地脈があり、その地脈の吹き出し口とも言われている。

 階層を潜る程に強い魔物が現れて、倒せば魔石や希少素材が得られるという。

 冒険者であれば、いつか挑戦してみたいと誰もが思う心くすぐられる場所だ。


 ただ、今回はダンジョンには入らない。

 鉱山にも用はない。

 用があるのは山に住む魔物だ。

 深い山だけあって高ランクの魔物が多く住み着いているという。

「ケルンは稼げる」というアリアの言葉を信じて、早速、ケルンギルドにやって来た。


 おなじみの門構えのギルドの建物に入りカウンターに並ぶ。

 周りは何となく歴戦の猛者(もさ)風の冒険者ばかりだ。

 髭の人が多い。それに汗臭い。


「こんにちは。風の旅団です」

 俺達は会員証を差し出した。

 すぐにお姉さんが会員証を確認する。

「あら?あなた達この会員証登録が抹消されているわ」

『え!?』

「どうゆう事ですか!」

 アリアが前のめりになった。

 お姉さんがびくっとしてるよ。


「えっと、トッテム支部で抹消手続きが取られてます。えーと、2週間前ですね」

「あのクソギルマスだ!」

 アリアは怒ると口が悪い。

「お姉さん。不当に抹消されたんです。何とかなりませんか?」

 俺は懇願した。

「そう言われても。ちょっと待って」

 そう言って奥に入ってゆく。

「あのクソギルマスめ!次に会ったら顔面引っ掻いてギザギザにしてやる」

 アリアの物騒な言葉に周りの冒険者がびっくりしているよ。

 こんな美人の口から出る言葉じゃない。


「お待たせ。抹消理由は重大な義務違反だって。何したの?」

「トッテムのギルマスから、専属になれと言われて断ったんだ」

「それだけ?」

 三人でうんと頷く。

「うーん、普通はそんなことあり得ないんだけどなぁ。あ!トッテムと言えばなんか通達が出ていたわね」

 そう言ってまた奥へ引っ込んでしまった。


「ねぇ、この先どうしよう。ギルドから追放されたらお金稼げないよ」

「うーん。こうなったら商業ギルドに売るとか。それが駄目なら直接食肉を扱う商店に持ち込むとか」

「買ってくれるかな」

「安く叩かれるかもね」


「お待たせ。トッテムギルドのギルマスは更迭されたという通達が来ていたわ。理由は職務違反ってことね。あと、風の旅団に王都ギルド本部から召喚状が一通、王国領地軍第3騎士団王都本部から出頭命令が一通、王国軍統合本部から出頭命令が一通、ギュスターブ侯爵家とセルフィード伯爵家から招聘状(しょうへいじょう)・・ってあなた達何をやらかしたの!」

 声が大きい!


『え!え?えぇ~!?』

「俺達何した?」

「さぁ、あ、あのロンバードって騎士にお別れ言わなかったからじゃない?」

「お礼はちゃんと言ったよ!」

「だから、街出るって挨拶しなかったじゃん」

「それで王都呼び出し?いや違うんじゃないか」

「じゃあ、あれ!ロゼムギルドであの腐れ騎士団長の悪口散々言ったのがバレたとか」

「あーそれだ!」

「でも統合本部?ってさ、なんだかもっとすごいところじゃない?きっと騎士団の親玉みたいな人を怒らせたんだわ」

「キース!あれだよ!亀!やっぱあの亀さん王国の守り神的な奴だったんじゃない?」

「だったら竜でしょ!下手すれば王国全土に被害出ていたはずだから。きっと王国民を危険に晒したとか、村を壊滅させて大勢死なせたとか。そんな感じじゃないかしら?」

「だって、それはロンバードって騎士から感謝されたし・・あ、あれは個人的にだった」

「じゃあ、騎士団と軍の本部は竜ってこと?でもギュスターブとセルフィードはなに?」

「コンコン鳥殺しすぎちゃったとか?キース見境なく撃ち落としてたわよね」

「ぅぐっ・・」

「あぅ、私達やり過ぎちゃったんだぁ」

「あぁ、もう!きっとすごく怒られるわよ」

 うん。絶対怒られる・・

 話していて俺達は顔が真っ青になってしまった。


「あなた達、色々と心当たりがあるみたいね、ちょっと奥へ来なさい」

 お姉さんの目が怒っている。

 個室へ連れて行かれると、ここのギルマスまでやって来た。


「君たちが風の旅団か。一体何をすればこんな面倒な所から呼び出しが掛かるんだ?」

「さぁ。心当たりがあるような無い様な」

「ない訳ないだろ!いいか、このギルド間の連絡では詳細まで分からない。この召喚状や出頭命令ってのは、絶対に顔を出せという強い命令なわけだが、大概はいい意味で使われないものだぞ!だが、犯罪者として手配が掛かっているわけじゃないからまだ救いはある。早く王都に行って誠心誠意詫びてきなさい。こうゆう事は迅速に謝ることが大事だ。反省しているという事を態度で示すんだ。ひたすら詫びて許しを請うんだ!」


「はい。分かりました。ところでギルド追放処分って撤回していただけないですか?」

「あたり前だろ!何をしたか知らんが騎士団やら侯爵家やらに迷惑かけておいて何を言ってるんだ!」

「はい。すみません」


 俺達はしょんぼりしてギルドを出た。

「もうなんか疲れた。俺、この国嫌になっちゃった。はぁ」

 思わず本音と弱気がポロリと出た。

「キース、ジュリアを見つけたらこの国を出てノエリアにでも行こうよ。ここよりは住みやすいかもよ」

「その時は私も付いて行く。でもそのジュリアって子を探すのが大変そうね」

「うん、いつかノエリアに移住も考えておこう。けどその前にまずは王都に行かないと」


 俺達はギルドで稼ぐこともできずに再び王都を目指した。

 現在の所持金は端数を抜いて、アリアが金貨8枚。俺とリファ合わせて金貨4枚だ。


 王都で何日の滞在になるのか知らないけど、ちょっと心もとない気がする。

 一度も街に寄らず、お金を使わない様にして旅を続けた。

 そして、俺達は王都ジルべリアの南大門を潜った。


 その門というか城壁はとても分厚くて高かった。南大門も大きければその広場も相当広い。

 長い行列を並んでやっと順番が来たら、身分証が無くて通行を許されなかった。

 仕方なく、一人銀貨1枚を出して入門許可をもらった。

 これで一ヵ月の滞在が許される。


 早速安そうな宿を探して回ったけど、どこも満室だった。

 これだけ人がいれば宿も取れないのも頷ける。

 だけど、困った・・


 仕方ないから追放されてしまったけど、冒険者ギルドに寄ってみることにした。

 さすが王都ギルドというだけあって、大きな建物だった。

 中もとにかく広い。

 両端の壁際がカウンターになっている。普通は片側だけだったからこれは驚いた。


 それに夕方って言う時間帯もあるけど、これまた凄く混んでる。

 広間中央に掲示板がずらっと奥まで3列並んで、その間を大勢の冒険者が埋め尽くしていた。

 あまりの広さと人ごみに戸惑いつつ、入り口近くの列に並んだ。

 やっと順番が来て、紹介宿を聞いてみた。

「えー、今ってちょうど年の暮れなのよね。この次期で安い宿は軒並み満室なのよ」

 だそうだ。


「あの、王都ギルドから呼び出しされてるんですけど」

 そう言って召喚状を出して見せたけど。

「こちらに連絡が来てないから何かの間違いじゃないかしら」

 と言われて終わってしまった。

 お姉さんは忙しそうにもう次の冒険者と話をしている。


「どうゆうこと?」

 王都ってわけわかんない。

 俺達はその後、薄暗くなる王都の街を、宿を探して歩き回った。

 歩き回った果てに川のほとりに行き着いた。

 王都は広すぎて、川もいくつか流れているらしい。

 そして野原のような広い空き地を見つけた。

 そこに俺は土小屋を造った。

 結局、これまでと同じ野営だ。食事をして風呂に入ってさっさと眠る。


 くたびれてぐっすり眠っていると、突然大きな声がして飛び起きた。

「こら!こんなところで野営する馬鹿がいるか!」

 怒鳴ったのは見回りの兵士らしい。

「ここは貧民街に近い場所だ。こんなところでのんびり寝ていたら明日の朝には身ぐるみ剥されてるぞ」

「でも、宿がどうしても見つからなくて」

「仕方ない、付いて来い!」

 深夜、兵士らしき人について行く。

 そして見回り兵の駐屯所みたいなところに連れて来られた。

「2階の大部屋に雑魚寝で寝なさい」

 通された部屋は板敷きの何もない薄暗い部屋だった。ベッドも机も何もない。


 奥の方で何人か雑魚寝をしている。

 荷物は鍵付きの棚へ入れるよう指示されて、鍵を渡された。

「明日の朝出て行きなさい」

 宿代は無料らしい。不愛想で怒鳴る怖い兵士だけど、助かった。

 俺達は雑魚寝部屋の片隅に3人で身を寄せ合って眠りについた。


 翌朝、兵士が起こしに来た。

「全員起きろ!」

 怒鳴るが早いかガンガンとドラのような鍋のような、金属音で起こされた。

 うるっさい!

「もう朝だ!全員でここを掃除しろ!それが終わり次第荷物を持ってさっさと出て行け!」

 ひどい起こされ方だ。もう少し言い方というか起こし方があるだろうに!

 アリアが不機嫌になっている。


 荷物を持って、表へ出た時に、騎士団本部の場所を聞いてみた。

 確か、王国領地軍の第3騎士団と王国軍統合本部だったかな。

「お前達のような子供が何のようだ」

「呼出し状をもらってまして」

 俺は2通の出頭命令書を出した。


「お前ら・・何をした?」

 皆同じことを言う。

「さぁ。あまり身に覚えがないんです。というかあり過ぎてどれの事か分からないというか・・」

「何か犯罪を犯したのか?」

「さぁ?」本気で分からないから、首を傾げた。

「えーい!さぁでは分からんではないか!自分たちが何をしたか位分かるだろう!」

「最近だと大王亀と竜と大きな花のお化けみたいな奴を討伐しました」

「何を言ってるんだ?お前は。我ら王国兵には嘘を吐くだけで罪になると知らんのか?」

「いや、嘘ではなくてですね・・」

「怪しい奴だ。騎士団本部へ引き渡す前に我らで取り調べる。こっちへ来い!」


 俺達は別室で尋問を受けることになってしまった。

 騎士団本部の場所を知りたかっただけなのに。

 兵士に聞いたのが間違いだった。

 ギルドか街の案内所みたいなところで聞けばよかった。

 俺の失敗だ。

 冒険者ギルドを追放されるような子供だ。何を言っても信じてもらえない。


「いい加減にしろ!3人そろいもそろって嘘ばかり並べやがって。こんなイカれたガキ共は初めてだ。王国兵を愚弄するという事がどういうことか分かってやっているのか!」

 隣の部屋からも怒鳴り声が聞こえてくる。

 リファもアリアも怒られているみたいだ。

 ごめん、ごめん、ごめん!俺のせいでごめん!

「もういい。お前達は王国兵に虚偽を並べた罪で捕縛する。その上で騎士団へ引き渡す。だがな、騎士団は我ら程甘くないぞ。不敬が過ぎればその場で無礼討ちもある。今の内にその態度を改めることだ」


「だって嘘なんてついてないもん!全部本当のことだもん!」

 尋問部屋から出てきたリファが泣いている。

 しかも、頬が赤い。口の端に血が滲んでいる。

 ・・リファ。その顔はどうした?

 リファ。その顔の腫れは殴られたのか?

 そう思った時、俺は魔力が一気に溢れ出た。髪が逆立った。

 血が逆流してブチンとどこかで音がした。


 俺は後ろ手に木枷を嵌められているけど、それが俺の魔力でさらさらと崩れた。

 自由になった手をリファと部屋から出てきた兵に突き出す。

 リファを殴った兵士だ。


「キース!ダメ!」

 ドガっとリファが体当たりしてきた。

 突き飛ばされて俺は尻もちを付いた。手に集めた魔力も霧散した。

 でも怒りは収まらない。収まる筈がない。


「キース!我慢して!私なら大丈夫だから、痛くもないんだから!キース抑えて。このままじゃ本当に犯罪者になっちゃうよ!」

 俺の視界をリファが塞ぐ。なにも俺の目に入らない様に。

 リファの凄く必死な顔が俺を止めた。


 フーフーフー

 俺は荒い息を吐いて目を瞑った。怒りを何とか鎮める。

 危ないところだった。我を忘れて最大級の魔力をぶっ放すところだった。

 リファに感謝だ。


「なにしてるの?」

 アリアも出てきた。

 俺とリファの様子に目をぱちくりしている。

「何でもないの」

 リファが鼻声で応えた。

「ふーん。なんか結局捕まっちゃったね、私達。もうどうにでもなれって感じ」

 アリアがやけにサバサバしている。なんでだ?

「さ、早く騎士団に行きましょうよ」


 アリアの妙に空気を読まないあっけらかんとした口調が俺を冷静にさせてくれた。

 周りで何が起きたのか分かってない兵士達がやっと動き出した。

「何をしようとしたか知らないが、手向かうと余計罪になるぞ」

 俺は再び後ろ手に拘束されて、ひとつど突つかれた。


 馬車に乗せられ、3名の兵士と乗り合いで大通りを延々と進む。

 王都は石畳が敷かれていて、ガラガラと車輪の音がうるさい。

 木の椅子が硬くて乗り心地も悪い。ついでに俺の気分も悪い。

 リファの顔を癒してあげたいけど、それができないからイライラする。


 これ以上なく不機嫌な俺を連れて馬車は騎士団本部の敷地へと入って行った。


「王都警邏隊(けいらたい)より騎士団本部へ罪人3名を連行してまいりました!」

 この兵士は王都警邏隊というらしい。

「罪人だと?聞いておらんな。そんな連絡回っているか?」

 本部建物の前で門兵がそんなやり取りをしている。

「いったい誰の指示でそいつらを連れてきたのか?」

「この者たちが出頭命令書を持っておりましたので」

 その命令書を警邏兵が見せると門兵の顔色が変わった。

「暫し待て。これは本部からの発令だ。何かの間違いではないのか?」

 警邏兵と門兵が揃って俺の顔を見た。

 知らんし!こっちが聞きたいよ!

 

 不機嫌な今の俺には顔色も態度も取り繕う余裕がない。

「俺に聞かれても知りませんよ。俺達に用があるから呼んだんでしょ!遠くから理由もなく呼びつけられて嘘つきだの罪人だのって、どういうことかこっちが教えて欲しいですよ!」

「何だと!」

「ちょっとキース!」

「・・すみません。少々苛立っていました」

「以後、口を慎め!」

「確認してくる。待機所にて暫し待っておれ」

 そう言って門兵が走って行った。


 そして、確認を終えて案内された場所は、それはそれは豪華な接客用の部屋だった。

 俺達3人はポカンと部屋を眺めている。

 俺達を連行してきた警邏隊の連中もだ。


 ここはどこだ?

 何だ?この部屋は。

 これは一体どうゆう事なんだ?


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