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デュラハン

 大剣を振り上げるアンデッド騎士とその足元で尻もちを付く俺。

 こうゆう時、咄嗟に出す魔法はだいたい決まっている。


「ロックパイル!」

 叫んで石杭を突き出した。でもそれは囮ですぐに髑髏(どくろ)騎士の足元に穴を掘った。

 バキャーン!


 石杭を破壊したところで、その破砕音を余韻に髑髏騎士は落とし穴の奥深くに落ちて行った。

 咄嗟の判断だったから深くはあるけど30メトル位しか掘れてない。

 すぐさま、土砂を流し込むように埋めて行く。

 得意なのは穴掘りだけじゃない。ほぼ同じ数だけ穴を埋め戻してきたのだ。

 あの騎士が今にも飛び出してきそうで俺は焦りながら穴を埋めていった。


「おい。何をした。奴はどうなった?」

 グレン他騎士たちが埋め終わった穴の周りというか俺の周りに集まって来た。

 目の前には若干盛り上がった土がまるで墓の様になってしまっている。


「見ての通り、深い穴に落として埋めました。簡単には出て来れないと思いますよ」

 言いながら、俺は瘴気の闇を見た。

 閃光が走っている。まだ師団長は戦っているのだろう。


「皆さんリファの方に移ってくれませんか?師団長の援護に行きたいんです」

 グレンは、「ならば我ら騎士団も行こう」と言ってきた。

 でもそれは邪魔だ。

「自由に動けなくなるので皆さんはここに残って欲しいんですが」


「小僧!貴様は我らを邪魔者扱いするか!」

 一人の騎士が怒鳴った。

 こうゆう所が面倒くさい。


「今、私は背後に下がれず危うく死にかけたばかりです。元々騎士と連携なんてしたことありません。(つたな)い連携は混乱して事態を悪化させます」

「何を!小僧が偉そうに!」


「まぁ、待て。キース、我らが向こうに行けばそれこそ密集して騎士たちが動きづらくなる。それでは困る」

「では、ここに聖結界の魔法陣を施設します。俺の魔力で作るので魔道具は必要ありません」

「しかしな、その結界はお前が死ねばどうなる?」

「魔力は込めておくので3時間くらい保つようにしておきます」

「えぇい!冒険者風情のガキが騎士に何を言うか!貴様は俺達の言う事を聞いておればよいのだ!今すぐ我らを連れて師団長殿の元へ行けばよい!わかったか!」

「・・・・・」


「キース。我らは王国騎士団だ。その我らが子供の冒険者に言われて任務を怠るなどありえない。ここは我らの言う通りにしてもらう」

 グレン部隊長までが師団長の援護に行きたいらしい。

「分かりました。でも、先ほどのようなことは困ります。私は空から援護させてもらいます」


 結局、そこに50メトルの聖結界を張ってほとんどの騎士がその場に残ることになった。

 そして、空から聖魔力込みの旋風を起こしてグレン部隊長を含む決死の前衛騎士20名と共に師団長の元へと向かった。


「師団長殿。応援に来ました!今、そちらへ行きます」

 グレン部隊長が瘴気の闇に向かって叫んだ。


「キースはいるか?」

 フェルダール師団長は騎士団よりも俺に用があるようだ。

「はい。上空にいます」

「この一帯の瘴気を掃ってくれ」

 師団長の要望に応じて瘴気を掃う。

 視界が開けると師団長は無事だった。

 デュラハンの屍馬が随分とダメージを受けていた。鎧の無い部分の骨化が目立つ。

 でもデュラハン本人にはダメージがあるのかないのか判断できない。


 騎士団の面々を見た師団長が怒り交じりで声を上げた。

「誰が応援を呼んだか!下手に手出しされれば足手まといになる。そちらの討伐が終わったのであれば元凶を叩きに行くべきではないのか!」


「いや、まだ討伐は完了してはいない。が、深い穴の底に埋めたから問題なかろう。元凶退治は魔術師団の力も借りたい」

 グレン隊長が言い返す。


「ならば、キースに手伝ってもらおう。騎士団はそこで待機を願う!」

「いや、我ら騎士団が援護する!」

「貴様たちはこの瘴気の中を動けるのか?出来ないのであればしゃしゃり出るな!」

「それはキースの作る安全な浄化範囲内で我らも戦うことが可能だ」

「それではキースの機動力が活かせない。それならば応援は不要!」


 騎士団と師団長の間で口論が始まってしまった。

 今は戦闘の真っ最中だぞ。これはただ邪魔してることにしかならない。

 だから、俺一人で行くと言ったのに・・


「キース!上空からデュラハンに攻撃をしろ!」

 師団長の命令に、俺は聖光弾を複数の軌道で連射した。

 ただ、騎士団がいるから自由に飛びまわれない。

 もう少し自由ならもっといい攻撃が当てられるのに。


 デュラハンが俺の攻撃を巧みにさばきつつ師団長へ突撃をかましに行った。

 師団長は聖光弾を複数浮遊させて全面に展開する。

 デュラハンの十文字槍がそれを叩き落とそうとすると、なんと避けた。

 ふわりと避けて馬の腹にあたって爆発した。


 バンバンバンバンバンバン

 馬の腹から腐った肉が蒸発して肋骨がむき出しになった。


 あんな魔力の使い方は初めて見た。

 師団長の聖光弾はまるで空気の動きを感じて向かってくる槍を勝手に避けたように見えた。

 そして意思があるかのように自ら目標へ当たりに行った。


「すげぇ」

 思わず感嘆の言葉が出た。

 さすが師団長だ。技が洗練されている。


「おい!小僧。先へ進め。デユラハンに近づけんことには攻撃に加わりようがない」

 名前は知らないけどさっきから高圧的な態度で命令してくる騎士だ。


「師団長は応援不要と仰ってましたよ」

「やかましい!お前は我らの言う通りにしてればいいのだ!」


 仕方なく移動を始めた。

 俺の旋風範囲がデュラハンを圏内に収めた。


「私の攻撃の邪魔だ!下がれ!」

 師団長が怒鳴った。

 デュラハンは新たな騎士の登場に猛然と十文字槍を構えて突進してくる。

 騎士たちは左右にばらけて迎撃の体制をとった。


 一突きで一人。勢いに瘴気の靄に転がり出たものが二人。

 更に屍馬に踏みつけられる者が二人。

 ほんの一瞬で5人が倒された。

 瘴気に飲まれたた二人はたぶん大丈夫だろうけど。

 でも、瘴毒を浴びたり吸い込むとどうなるのかよく分からない。


「小僧!何してる!援護せんか!」

 また怒鳴られた。

 見ている限り、馬に乗っている分デュラハンの方がさっきの髑髏よりも数段厄介だ。

 突進を止める手立てがない限り迂闊に近づくべきじゃない。

 素人目の俺にはそう見えた。


 上空から聖光弾を連発する。

 それでもまた一人、また一人と十文字槍の餌食にされてゆく騎士たち。

 師団長は完全に攻撃の手を止めてしまった。

 というか手の出しようがない筈だ。

 騎士が邪魔でしかない。

 師団長は善戦していたように見えてたけど、騎士団が無理やり割り込んで敵を奪った感じだ。


 いいのか?こんな戦い方で。

 死人が増えるだけの気がするんだけど。

「グレン部隊長、このままでは犠牲が増えるだけです。師団長に、任せて一旦引きましょう」

 俺は見てられなくてつい口を挟んだ。

「小僧は黙っていろ!俺達に指図するな!」

 やはりさっきの暴言の騎士が俺に怒鳴って来た。


 ならば、俺はそれ以上口を出さない。

 必要な援護もしてやる。

 でも、このままでは騎士の全滅は免れないだろうな。

 また一人、そしてもう一人殺された。


「小僧、援護が手緩いぞ!もっと撃て!手を抜くな!」

 いい加減カチンときた。

「俺は手を抜いてなんかいない!そのデュラハンがあんた達の手に余るだけだ!師団長と俺に任せておけばこんな無駄な犠牲を出さなくて済んだんだ!自分たちの無力を俺のせい.にするな!」

「なんだと貴様!我ら王国騎士団にその無礼、我慢がならん!降りて来い、切り捨ててくれるわ!」

「今俺を殺せばあんたもアンデッドの仲間入りになるだけだ!自分の仲間が殺されてるのにあんたは何も感じないのか!」

 そんな言い争いの間にもまた一人殺された。


「もうよせ!キース。お前と師団長ならデュラハンを倒せるのか?」

 グレン部隊長が割って入って来た。

「倒せますよ!」

「ほう、なら我らが見ててやる。やれるものならやってみろ!」

「だから、そのためにはあんた達が邪魔だと言ってるんです。師団長だって攻撃できなくなってるじゃないですか。すぐに引いてください」

「・・分かった。撤退の援護を頼む」

 そうは言ってもデュラハンが見逃してくれるわけもない。


 俺は騎士の前、地面に降り立って、デュラハンに極大の浄化旋風弾を放った。

 髑髏騎士を吹き飛ばしたものと同じ奴だ。

 さすがに、馬に乗る騎士は重量が違う。

 髑髏騎士の様に転がって行ってくれはしなかった。

 でもその旋風弾に乗せて聖光弾も混ぜ込むと、途端に下がっていた。


 大きなダメージを与えられたわけじゃない。

 騎馬鎧に阻まれて霧散した感じだった。

 でも一定の効果があったのか嫌がっているようには見えた。


 その隙に騎士団を先ほど作った聖結界の場所まで下がってもらった。

 遺体はそのまま。

 20人いた前衛騎士も半分以下に減ってしまった。

 この後、元凶の討伐戦があるのになんて無駄に戦力をロスしてしまったことか。

 ただ損害を受けに行ったようなものだった。


 全員が結界内に入ったことを確認して俺は師団長の元へ飛んでいった。

 戻ってみると、師団長は既にデュラハンと戦闘に入っている。

 その背中に、「騎士団を連れてきてすみませんでした」と俺は謝った。


「いい、戦闘に集中しろ!」

 すこし怒ってる感じだ。


「私はお前の戦い方を知らない。何か足止めをできる魔法はあるか?」

「足止めではないですけど、試したいものが一つあります」

「よし、やってみろ」

「師団長のさっきの技に俺も魔力を付与したいんです。聖光弾が浮いて勝手に避けて当たる奴です」

「あぁ。今のところ一番有効な技だ。どうすればいい?」


 俺はただ、放つ前に俺の火の魔力を師団長の魔力に上乗せするだけだと説明をした。

 そしてすぐに準備は整った。

 師団長が俺の魔力のこもった聖光弾を浮遊させる。

 それがデユラハンに近づいて、攻撃を避けて屍馬に命中した。

 そして、激しく燃え上がった。

 粘着タイプで高温に燃え上がる様に魔力を込めている。


 予想通り、屍馬は火を消そうと暴れまわった。

 デュラハンも馬上で慌てているみたいだ。


 そうなると隙だらけだ。

 更に大きめの聖の魔力をたっぷり込めた火球を一つ作り出した。

 俺の火球は12メトルのトロルの半身を消滅させるほどの威力を持つ。

 高温の火球が屍馬ごとデュラハンを飲み込み激しく燃焼した。


 周囲の温度が一気に跳ね上がった。

 熱い。

 けど、明らかに苦しんでいる。

 当たりさえすれば勝てるのだ。


 火球の魔力が消え、屍馬は骨だけになってガラガラと崩れ落ちた。

 これは成仏した。

 ところが、デュラハンは鎧から煙を上げて立っている。

 まだこっちは健在だった。


「よくやった」

 師団長が一言。そしてデユラハンへと突っ込んでいった。

 手に銀色の長杖を握っている。


 師団長は近接戦闘も得意なようだ。騎士顔負けの素早い動きでデュラハンの十文字槍と渡り合っている。

 たまに左手から聖光弾を放って動きを鈍らせて、鎧の上から長杖を槍の様に突きを繰り出している。

 しかし、デュラハンは動きが鈍ってきてはいるけど、まだ師団長を圧倒している。

 これでは勝てない。


 そもそも、首がないくせにどうやって師団長の攻撃を見定めているのか。

 それにあの鎧には何か力を感じる。絶対に普通の鎧じゃない。呪物か何かだ。

 さっきからあの鎧には何度も攻撃を当てている。

 それで倒せないという事は、鎧の下に直接聖の魔力を当てるしかない。

 でも、全身を覆われていて、首以外に隙間が見当たらない。

 そしてその首を狙うのが高難度だ。


「キース!打開策が欲しい。何か手はないか?」

 十文字槍を巧みに捌きつつ師団長が声を張り上げた。

 動き以上に声に余裕がない。


「俺がやります!師団長は少し離れていてください」

 俺は早く決着をつけるために雷撃を使う事にした。

 ただ、何をしたかはバレたくない。

 雷撃魔法は離れた場所に放つと大きな音が鳴る。空気を介在させると大きな音が鳴る様なのだ。

 でも、手から直接雷撃を対象物に流せば普通に音は小さいのだ。


 だから、直接あの鎧に触れるしかない。

 俺は全身に身体強化を掛けてデュラハンの死角に回り込んだ。

 首がなくとも見えるなら、会話もしっかりと聞こえているのかもしれない。

 それでも、死角から攻撃するは価値ある。


 目で合図すると、師団長が少し飛び下がった。

 そのタイミングで俺が背中へと飛びかかる。

 本気のダッシュで一瞬で鎧の背中に手を添えると、雷撃を放った


 バチン!

 短い閃光が走って、デュラハンは硬直した。

 すぐに、ジャンプをして肩の上に乗る。そして短剣を首に突き刺した。


「くたばれ!」

 聖の魔力を大量に短剣を通して流し込む。

 肉が腐り恐ろしい悪臭を放ち始めた。

 悲鳴はないけど、硬直したままデュラハンが苦しんでいることが分かる。


 効いてる!

 モクモクと立ち上がる臭気に耐えられないから目を瞑って、息も止めて聖の魔力を一気に鎧の内側へと押し流して行く。


 ギギギギ・・ギイギイ

 ガッシャン


 鎧がバラバラになって崩れ落ちた。

 これでデュラハンの討伐は終わったようだった。

「キース。何をした?」

「・・内緒です」

 クリーンを掛けながら応えた。

「雷魔法を使ったようにも見えたが違うか?」

「それを知られたら俺の自由を奪われることになりませんか?前に散々な目に遭ったことがあるんです」

「そうだな。黙っておくとしよう」

 師団長はそう言って崩れた鎧を漁り出した。


「ふむ、やはりあったか」

 人型アンデッドには魔石がない。これは常識だ。

 でも、デュラハンは死霊系の魔物と言われている。

 魔物であれば魔石があってしかるべきなのだが、それが見つかったという事なのだろう。

 その手に黒い魔石が握られていた。

「これでデュラハンの復活はあり得ない。さ、一旦騎士団に合流しよう」

 師団長は騎士団の待つ方へと足を向けた。


 その後、一度本陣に帰還しての軍議中、騎士団長から俺へ詰問があった。

 騎士団長は黒い噂のある人物だ。ひん曲がった唇で見かけも悪人面なおじさんだ。

「キースといったな。騎士団へ暴言を吐いた上、援護の手を抜いた為に前衛騎士が何人も死んだと報告が来ている。何か申し開きはあるか」


 隣でリファがピクっと反応した。今度は何やらかしたの?って顔に書いてあるよ。

 それにしても、暴言に手抜きだと?ふざけるな!と言いたい。

 俺は邪魔だと遠回しに伝えたのに、自ら首を突っ込んで自爆したのは騎士団だ。

 絶対に俺のせいなんかじゃない。


「私はできる限りの援護をしました。であるにも拘らず手を抜いているように言われるのは心外です。だから言い返しました。それを暴言と言われても困ります。そもそもフェルダール師団長が援護不要と言っておられたのに無理に割って入ったのは騎士団です。私は騎士団との拙い連携は危険だと初めに伝えております。それでも現場に行くと決めたのはグレン部隊長です。結果何人も倒されて尚、立て直しの目途もつかない様子でしたので見かねて撤退を進言しました。グレン部隊長は私の進言を入れすぐに撤退を実行しています。私に非はないと断言できます」


 騎士団長はじろりと睨むように俺を一瞥(いちべつ)してグレン部隊長に顔を向けた。

「グレン部隊長。貴様の言い分を聞こう」

「確かにデュラハンは予想以上に強く厄介な敵でした。魔術師団長も手古摺っておられる様子だった故に救援に入った処、一方的な反撃を受け撤退せざるを得ませんでした。しかし、攻撃を受ける我らへの援護が十分であったかというとそこは疑問です。実際何人も死んでいますので」


 その時、師団長が割って入った。

「待て。私は援護不要と確かに言った筈だ。それでも突貫してきたのは騎士団だ。騎士団への援護が十分だったかという話だが、十分であるわけがない。そもそも敵のすぐ傍に騎士達がいてどうやって援護をするのだ?私の攻撃の巻き添えになる可能性があったのだぞ。それはキースとて同じであっただろう。我々魔法師は騎士団が接敵している最中に中遠距離の攻撃などできない。それを援護不十分と断じられても困る。だから拙い連携などしない方が良いのだ。それでもキースはあのデュラハン相手に細かく攻撃を与えていた。キースに非はないと私が断言する」


 師団長は俺の肩を持ってくれた。

 こんなことで罪を着せられても困る。だから騎士団に関わるのは嫌だったんだ。

「三者の言い分は分かった。この件、以後の働きを見て判断する。さて、明日はいよいよ元凶の討伐戦だ。各位万全の態勢で臨む様に。以上だ」


 軍議が終わり、フェルダール師団長が俺のところへ来た。

「キース。今回のことは気にするな。あれは騎士団が迂闊だったのだ。私が証言するから君が責められることは何もない」

「ありがとうございます。けど腑に落ちません。何故グレン部隊長はあんな無謀な戦闘をしたんでしょう。仲間が死んでいるのに決断が間違っているというか遅かったというか」

「それは騎士団が焦っているからだ。これまで時間と犠牲ばかり掛けて、何も進展しなかったからな。挽回のチャンスとでも思ったのだろう。だが、瘴気掃いは元々魔術師団の仕事だ。今回は規模が大きいから騎士団が主導しているが、所詮畑違いだ。向こうも焦りや不満が溜まって爆発寸前だ。どんな言い掛かりをつけてこちらに失敗の責任を押し付けてくるか分かったもんじゃない。特に君達は気を付けなさい。幼く未熟な冒険者だ。決して隙を見せてはならんぞ」


 リファが俺を心配そうに見る。

 そんな顔するなよ。

「はい。気を付けます。でも、少し自信がありません。強引に罪を擦り付けられるとどうしようもありませんから」

「私も良く見張っておこう。とにかく油断するな」


 そう言い残して師団長は去って行った。

「キース、なんか心配。ここから逃げ出したくなっちゃった」

「俺も」

 師団長の助言はありがたくも、不安を掻き立てるものだった。

「とにかく、明日は難癖付けられない様に気を付けるよ」


 俺は不安そうにしているリファにそう言うのが精いっぱいだった。

 


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