ランクE推薦
ギルドを出て、どこかで食事でもと思っていると後ろから声を掛けられた。
「おい、ガキ。その鞄をこっちに寄こせ」
振り返るとさっきギルドにいた3人の冒険者だった。
「何で?」
リファが首を傾げた。
「その鞄は俺達が有効に使うことにしたからだ」
「これは私たちの物だよ。アゼルがそう言ってたもん」
「いいから寄こせ!痛い目に遭いたいのか!」
一人が癇癪を起こしたように怒鳴った。
「それって野盗とやってること変わらないじゃん。おじさん知ってる?野盗をどれだけ殺しても罪には問われないんだよ。だって害獣退治みたいなもんだから。おじさん達死にたいの?」
「小生意気なガキだな!いいから寄こせ!」
収納鞄を背負っている俺に襲い掛かって来た。
ゴスッ
腹に一発、拳を叩きこんでやった。
そいつは足元から崩れてその場でゲーゲー吐き出し始めた。
「この野郎!」
ゴスッ
リファが動いたと思ったら、そいつもその男の隣で吐き始めた。
「おじさん達ってすごく弱いでしょ。私達から奪おうとしてもその程度じゃ無理だよ?」
リファが親切に教えてあげている。
「な、な、なんだこのガキども・・」
「用がそれだけならもう行くよ。次は容赦しないから」
そう言い残して、俺達は近くにあった屋台へ向かった。
翌日、ギルドに講習を受けに来た。
一応アゼルに昨日、冒険者に鞄を狙われたことを伝えた。
講習会場はギルド2階の講習室だった。
話を聞くのは俺達含めて5人しかいない。
そして、講習の内容はあまり役に立たなかった。
要するに、依頼は必ず達成する事。できない依頼は絶対に受けない事。違約金が生じて大変なことになりますよと。
それに、ギルド内でのルールやら貸し出してくれる物品の説明やらで終わってしまった。
最後に質問の時間があったので聞いてみた。
ランクの高い魔物を狩って実力を示したらランクは上がりますか?
いいえ。
魔物を狩って来たら買い取ってくれますか?
止めときなさい。
早くランクを上げる方法はありますか?
地道に依頼をこなすのが一番の早道です。
うーん・・参ったな。
このままじゃ旅費を稼げない。
悩んでいたら、説教をされてしまった。
「あなたの様に楽に稼ごうとして、これまで多くの人が魔物に挑んで死んだり大怪我を負ったりしてきたの。だから焦らず地道に稼ぎなさい、という事を教えるために開いている講習なのよ!そんな考えをしていたら早晩命を落としますよ!」
とヒステリックな先生に叱られてしまった。
そんな事は分かっているけど、こんなところで足踏みしていられない。
講習の後、ロビーでアゼルに呼び止められた。
「ね、沈黙の盾を魔境で助けた子供達ってあなた達のことよね?ベンがあなた達を探してたわよ」
「どこに行けば会えるの?」
ちょうどいい。助けたお礼に何か稼ぐ方法がないか教えてもらおう。
「隣の酒場よ。あなた達が来たら来るようにって」
すぐに酒場へ行った。
「よう!昨日は悪かったな。戻ったらもうお前たち帰ったって言われてな」
でかい声で言うから皆に注目されてる。
ベンは酒を飲んでいた。
「いや、仕事の無い日だからって普段は昼からは飲まないんだぞ。だが今はお前達を待ってる間ここに居座るからな、飲むしかなかったんだ」
俺達の視線が酒瓶に向かうと言い訳を始めた。
「それでだ、熊公の金をお前たちに渡さないといけないと思ってな。依頼を受けたのは俺達だ。だから報酬は俺達が貰う。だが、倒したのはお前達だ。だから売った素材は全てお前達に渡す。それでどうだ?」
「それでいいです。あと、冒険者のことについて教えて欲しいんだけど」
俺が答えた。
先にお金の入った袋と素材買取明細を確認して、ベンの講習会が始まった。
こっちから聞きたいことはとにかくGランクが稼ぐ方法だ。
「お前らGなのか。その強さで・・。いや、稼ぐ方法ならあるぞ。魔物の素材をギルドに持ち込めばいい。ランクアップには関係ないし、依頼を受けたわけじゃないから依頼料も出ない。だが素材を売った分の金は手に入る。常設依頼を受ける方法もある。ゴブリン、草原狼、コボルトは常に討伐対象だ。ゴブリンとコボルトは右耳、草原狼は尻尾の先端で依頼料が支払われる。魔石も売れるからな、一匹につき銅貨3枚もらえる」
「なによ!ちゃんと方法あるじゃない。あの職員何も教えてくれなかった」
リファが怒ってるよ。
「まぁそう言うな。“たかがゴブリンされどゴブリン”ってな、舐めて掛かって死ぬ新人が多いんだ。ギルドとしても新人や子供にホイホイ死なれるのは嫌なんだよ」
「ランクも上げる方法があればいいんだけどな。せめてFなら郊外で薬草採取ができるのに」
「おう、それなら俺が推薦してやろう。あともう一人必要だな、誰にするか・・」
「推薦?」
「Cランク以上の複数のパーティーの推薦があれば、Eランクになれるんだ」
「じゃあ誰か推薦してくれそうな人に心当たりはある?」
「あぁ、いるぜ。でも、それはお前達が実力を持っているからだ。変なのを推薦して何か問題を起こされたら推薦人がペナルティーを食らうからな。そうだな、今日の夕方もう一度ここに来てくれ。さすがに、会いもしないで推薦してくれる奴はいないからな」
夕方、ベンにいわれた通りもう一度酒屋へ行くと、ベンはいなかった。
代わりに伝言が残されていた。
“明日早朝、南街門にて待つ。魔物狩りの準備をしてくるように。ベン”
何か不測の事態か?何なんだ?
疑問に思いつつ翌朝、開門時間に合わせて南街門に向かった。
少し待っているとベンが現れた。
そして一人の男を紹介してきた。
「よ、紹介する。こいつはBランカーのジムだ。お前達の実力を直接確認したいって言うから連れてきた」
「よろしくお願いします。キースとリファーヌです」
「お前達の話はベンから聞いている。だがどうしても信じられなくてな。実地でしっかり確認させてもらう。もし、実力があると分かれば推薦をしてやるから安心しろ。ただし、俺は甘くないぞ。俺が推薦したせいで死んだとかなった日には寝覚めが悪いからな」
ベンは大きな盾を持っている。それに背中に剣を担いでいる。
ジムという人はベンより背が高い。武器は短槍だった。
道々、ベンの沈黙の盾というパーティー名の由来を聞いた。
何でも、“盾で敵の攻撃を黙らせる”という何とも浅い理由だった。
俺もそろそろパーティー名を決めたいから参考にしたかったのに、残念な結果になった。
ちなみに、ジムは“ドッグソルジャー”と言うパーティーのリーダーだった。
そしてその由来は、ジムが駆け出しのころ、愛犬と共に魔物を狩っていたからだった。
響きがちょっとカッコいいと思ったけど、こっちはもっと残念な由来だった。
「さて、今から魔境に入るわけだが、連携の確認をしたい」
ジムがそんなことを言い出した。
「基本お前達で倒せ。俺達は見ているだけだ。だがそうは言っても、どんな戦い方をするのかは先に知っておきたい」
「えっと、俺もリファも魔法を使います」
「もっと詳しく話せ」
「俺は、火、水、風、土、聖を全部使えます。」
「私は、風と火。あと、植物を操れます」
俺達の言葉にベンとジムは顔を見合わせた。
「こいつらの言っていることは本当か?」
「さぁ?だが聖魔法と植物ってのと、風は見たな」
それから魔境へ入ってはみたけど、こんな浅いところでは碌な魔物がいない。
やっと見つけたゴブリン4匹をリファと仲良く半ぶっこして、あとは角兎を3匹だけだった。
これでは、実力の一部を見せることもできない。
散々歩きまわってオークの一匹も出ないから困ってしまった。
「ねぇ、リーフボードを使って空から探索しようか」
「鳥型なら見つかるけど、樹の下にいる魔物は見えないよ。それに樹の上で倒しても下からは見えないし」
「そっかぁ」
「おい、なんの話をしているんだ?」
「空から獲物を探そうかって話」
「まるで空を飛べるみたいな言い草だな」
「うん。飛べるよ」
「・・・なら見せて見ろ」
ジムもベンも何言ってんだこいつら?みたいな顔をしている。
でも、俺達でさえ飛べるんだから、過去も今も空を飛んだ魔法師なんていくらでもいると思うんだよな。
そして久しぶりのリーフボードだ。
最近、ボードの下に台をわざわざ用意しなくても飛び上がれるようになった。
体重を後ろよりに傾けて板の先端を浮かせて、そこに風を潜らせる。バランスさえ取れれば普通に浮き上がる。
このやり方を発見したのは俺だ。
ナイスアイデアに我ながら自分を褒めてやりたかった。だって、手間が全然違うから。
台いらずで気軽に飛べるって最高だよ!
二人で1メトル位の高さをスイスイと滑るように飛んで見せた。
「ちょっと待ってて!」
ホロホロ鳥が飛び立つのが見えたから、慌てて追いかけた。
上空で風刃を飛ばして落ちてきた獲物を空中で捕まえた。
それを掲げると、「キースばっかりずるい!私もホロホロ鳥捕まえたい!」とリファがお冠だった。
「分かった、分かった。じゃあ、俺が下から大きな音出すから捕まえなよ」
俺は雷撃を近くの樹に向けて放った。
ドカーン!
結構な轟音が響いて辺りの樹から騒がしく鳥が飛びたった。
それをリファが風刃で次々と落として行く。
俺も2羽落とした。
「全部で6羽か。大猟だね!」リファが満面の笑みだ。
最初のと合わせてホロホロ鳥が7羽になった。
「もう十分だ」
ボソっとジムが俺達に告げた。
「おい、お前達どうしたらそんな技使えるようになるんだ?」
ベンが大きな声で聴いてきた。
「それはいっぱい鍛錬したから」
「普通は鍛錬しても空は飛べないぞ」
「飛べるよ。風魔法が使えて空を飛びたいと願って頑張ればできないことはないよ」
「なんて無茶苦茶な・・」
最後の失礼な言葉はジムだ。
とにかく俺達はジムから推薦を勝ち取ることができた。
よっしゃ!
ギルドに戻って、最初に俺の心をへし折ったお姉さんの座るカウンターに行った。
どうやらベンのお気に入りのお姉さんの様だ。
「今日は、この二人の推薦をしたいんだ。俺とジムが自信を持ってEランクに推薦する」
そうして、俺達は会員証を手渡して、再び戻って来たときには“ランクE”の文字が入っていた。
ランクEは魔物討伐の依頼を受けられる。それもD級の魔物まで許されている。
D級と言えば、オークやワイルドボアなんかも依頼が出ていた。
これなら稼げる。
ベンとジムの二人にはすごく感謝をした。
お礼と言っては何だけど、今回の魔石やホロホロ鳥の換金額を4等分して平等に配分してあげた。
翌日。ランクEの講習があった。
一昨日説教されたばかりの年配女性が先生だった。
「あなた達、あれ程言ったのにまだ分からないのですか?本当に死にますよ?」
俺達の顔を見るなりいきなりキンキン声で説教が始まった。
「ちゃんと推薦をもらって正当な方法でEランクになったんです。怒られる筋合いはありません」
ちょっとイラっとして言い返してしまった。
「そう言って何人も死んでいるんですよ!こんな事を言うのもあなた方のためです。きちんとGランクから始めなさい」
「嫌です。ランクBの二人からの推薦です。問題ない筈です。不信に思うのであれば推薦人のベンとジムに聞いてみてください」
「まぁ!あのベテラン二人がこんな子供を推薦するなんて。一体何を考えているのでしょう。分かりました、あの二人に確認します。でももし不正があった場合は冒険者資格をはく奪しますからね!」
プンスカ怒りながら気まずい講習が始まった。
内容は、自分の力量を正確に把握して無理をしない事。何よりも生きて帰る事。魔物や魔草やその毒の知識を身に着ける事、などだった。
そして、今回も大したことは教わらなかった。
その日、俺達はフォッセギルドの初依頼を受けることにした。
ランクDへ上がるためには、E級の魔物100匹の討伐、並行して、E級の依頼100件の依頼を完遂する必要がある。E級はD級の依頼を受けることもできる。1ランク上のD級の依頼はE級3枚分に相当するし、魔物も3匹分に相当する。つまり、D級の依頼ばかり受ければ34回でランクDに昇格できるわけだ。
という事で、ランクDの依頼表の前に立った。
一度に2枚まで依頼を受けることができる。
勿論、完遂できなければペナルティーだ。
その中からワイルドボアとオークの2枚を選んだ。
どちらも魔境の5キロルより奥に生息している。
早速、アゼルのカウンターへ行って受付をしてもらった。
「気を付けてね。無理してはダメよ」
アゼルは心配してくれたけど、多分何も問題はない。
「大丈夫!」
俺達は張り切って街門を出て行った。
リーフボードを出して早速空を飛ぶ。
魔境まで10キロルの草原地帯を気持ちよくぶっ飛ばす。走るよりも断然早い。
10分で着いてしまった。そのまま飛行して更に10キロル奥へ行く。
魔境に降りて、魔物の痕跡を探しながら歩き回った。
こんな事をしていると、ベックの指導を思い出して懐かしくなる。
無事に着いたことをベックに知らせたいけど、国をまたいで手紙など送れるのだろうか。
後でアゼルに聞いてみようと心にメモを残しつつ、痕跡を探す。
いた。
オークが3体。
醜い豚鼻に茶色のたてがみ。間違いない。
オークの鼻は何かの薬になるらしい。討伐証明の採集部分でもある。
「私がやる」
リファが周りの蔦を操って、3匹の頭上から静かに3本の蔦を伸ばして行く。そして一気に首を巻き取って上へ持ち上げた。3本の蔦を一度に操つるとはさすがリファだ。
そのまま締め落として殺してしまった。
喉元を切り裂いて魔石を抜き、豚鼻を切り落して依頼完遂だ。
オークはボアが人型の魔物に変化したという説があるけど、真相は分からない。
只、人族が人型魔物を食べると発狂すると言われている。
少なくとも、人族の食べ物ではない。
だから、遺体はそのまま放置しておく。魔物のいい餌になって魔境が潤うことだろう。
次はワイルドボアだ。
ボアにはいくつか種類がある。
普通のボアはただの魔猪だ。目が赤い位で猪と大差ない。ちなみにE級だ。
D級にワイルドボアとブラックボアがいる。
ワイルドな方は灰色ベースに黄や赤の色が混ざる。ブラックは真っ黒だから分かり易い。
C級にアイアンボア。鎧のような硬い皮膚が特徴的な奴だ。図体もでかいし牙もでかい。
そのワイルドボアを見つけた。
番なのか2匹いる。
今度は俺が倒す。
慎重に狙って、2匹同時に下から石杭を喉元に一突きした。
近寄ってみるとなかなかのサイズだ。3メトルと2.5メトルもあった。
こっちは血抜きをしただけで持ち帰る。
拾った収納鞄が大活躍だ。
依頼を達成した俺達は再びリーフボードに乗って、草原地帯へ戻った。
そこで、夕方までリーフボードの練習をする。
空中戦を想定して、リファと鬼ごっこだ。
これがまたすごく楽しい。
リファは魔力操作で小回り良く逃げてしまうから捕まえられないのだ。
だから、俺が鬼でリファが村人役をやると一番練習になる。
逆に俺が逃げると、早すぎてリファがついて来れないし楽しくない。
楽しい楽しい鬼ごっこの時間を過ごして、閉門前にフォッセの街へ戻った。
再びギルドへ行き、素材査定をしてもらってアゼルのカウンターに並んだ。
「ちょっといいかい、君たち」
ビシっとスーツを着たオールバックのおじさんに声を掛けられた。
「ニュイから実力のない子供がEランクになったと聞いてね、私が審査をすることになった」
ニュイとはヒステリック先生のことだ。
「ニュイ先生がどうして私達の実力を知っているんですか?」
リファが突っかかった。ちょっと怒ってる。
「君たちの年でEランクは普通じゃない。だからしっかり確認させて欲しいんだ」
「あなたは誰ですか?」
「おっと、失礼。私はこのギルドのサブマスターだ。会計が終わったら二人共、下の練武場へ来なさい」
そう言ってサブマスは去っていった。
会計を終えて、下へ行くとサブマスが待っていた。
「で、何をすればいいんですか?」
「そうだな、君たちの得意分野で私が相手をする。私が認めた時点で試験は終わりだ」
「私達、中途半端な戦いは苦手なんです。殺したり大怪我させたりするかもしれないですけど」
「ははは。私に掠ることが出来たら一発合格だよ。それじゃリファーヌ君から始めよう」
サブマスは木刀を一本持っている。魔力を通しているから何とかするだろ。
ムスッと頬を膨らませたリファがサブマスの前に立った。
「リファ、殺さない程度にしときなよ。死ななければ俺が治すから」
「うん」
「まぁ!サブマス相手に何を偉そうに!ほんと子供って礼儀を知らないんだから」
ヒステリック先生の声が聞こえた。
部屋の隅で高みの見物らしい。
「さぁ、掛かってきなさい」
リファが風刃を5つ浮かべた。次々と放つ。それをサブマスは平然と切り伏せた。
でも、その時既にリファは小さく分裂させた風刃を準備している。多分25枚。
こんなことが出来るようになったのも、エルフの里の特訓のおかげだ。
それを自由自在に操って着弾させてゆく。
スパパパパパパパ
「ストップ!ストップ!」
「あら、まだ全然本気出してないけどどうしたんですか?まさかもう終わりですか?」
リファが黒い笑みで笑っている。
10枚くらいは切られたと思うけど、まだ15枚はサブマスを取り囲んでいる。
サブマスに躱す隙間もない筈だ。
「君は合格だ」
「まぁ!なんてことでしょう!」
リファがきつい目でニュイを睨んだ。
「私程度で合格ならキースも合格するわ!」
「次はキース君だ」
「俺はリファみたいに細かい魔力操作ができないから途中で止めるとかできないですよ」
「・・・それは困るな。では、あの的に向かって君の本気の魔法をぶつけなさい」
「いいですけど、ここの結界壊れても知りませんよ」
「まぁ。結界が壊れる訳ないでしょう。良いからやりなさい!」
「ニュイ!君は黙ってなさい!」
サブマスもイラっとしたのか声を張り上げた。
「耐衝撃結界を壊すほどの威力があるという事かい?」
「さぁ。やってみないと何とも言えません。本当に全力でいいんですね?」
俺は魔力を両手に集めた。全力と言う訳ではない。でも、それなりの威力だ。
(魔力弾!)
ただの魔力の塊だ。俺の青白い魔力が両手の前で発光して膨れ上がる。
「ちょっと待て!」
焦った声でサブマスが止めに入ったけど、遅いよ。ごめん、もう撃っちゃった。
ドッゴーン!
ビリビリビリビリ・・パリ-ン!
建物全体が揺れて、結界が割れてしまった。
「サブマス。止めるならもう少し早く言ってくれないと」
思わず苦言を呈してしまった。
「なんてことだ・・」
土煙が上がったから、風魔法でニュイのいる部屋の隅へ追いやっておく。
「私達弁償なんてしませんからね!規定に沿って昇級してるのにわざわざ問題視してこんな茶番に付き合わされたんだから。フンだ!」
リファがお冠だ。
ドタバタと大勢の人が階段を駆け下りてきた。
「何があった!大丈夫か!?」
ざわざわとしてきて試験どころじゃなくなってしまった。
「サブマス、俺も合格でいいですよね?」
「あ、あぁ」
「じゃあこれで失礼します」
俺達は少しクサクサした気分で宿へと戻っていった。




