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メールサーバの設置とメールシステム運用開始に向けて

 まずは自分のパソコンを持ってくるだけの先生が戻ってきて、それからしばらくしてカイゼルさんが自分のとサーバ用と二台を持ってきた。

 まあ、持ってきたのは侍従だけどね。

 とは言え一台は父からの下げ渡し、もう一台は納品前とは言え本体価格で三倍以上の値段になる予定の貴重品なので、監視は必要だ。

 多分自室と作業場の二箇所に取りに行ったので時間がかかったのだろう。


「こっちの新しいやつにも確認用に一通り『あぷり』が『いんすとーる』してある。個人登録はまだだが」

「それは手間が省けましたね」


 OSからインストールだと結構時間かかる。

 僕は念の為個人登録してメールサーバのシーケンスをインストールし、初期設定をしていく。

 メールは平文で保存されるからね。見れる人間は限定しておいたほうがいい。


「これで『サーバ』が起動しました。後は先生とカイゼルさんの『パソコン』に『メーラー』を『インストール』していきましょう」


 僕は先生とカイゼルさんにUSBメモリを渡し、インストールと初期設定を行う。


「『メール』が届くと、ここの『アイコン』が点滅しますので、切のいいところで『メーラー』を起動して届いた『メール』を確認します。『メール』を送信する時は、新規作成コマンドを選択して『enter』を押すとエディタが起動しますのでそこで手紙を書き、そのまま保存して終了すると宛先やタイトルの入力、送信可否の画面が出ますので適宜入力してていきます。『エディタ』で保存せずに終了すると新規作成は取り消しになります」


 ざっと使い方を説明すると、二人に実際に使ってもらう。


「これ、挨拶とかどうすればいいんだ? 手軽に手紙を出せるのはいいが、毎回挨拶文とか入れていたら大変だぞ」

「『エディタ』を使えば簡単にコピペが出来ますし、『メールは』紙の手紙より気楽に使えることを目的としていますから、挨拶も略式でいいと啓蒙しましょう。なになに様、お世話になっておりますとか、同僚とかならなになにさん、お疲れさまですなんてどうでしょう」


 拝啓ナントカカントカとか毎回やってたらメールの良さがなくなる。

 だが、貴族社会で無礼は許されないので、その線引は難しいところだ。


「できれば例文集とかほしいですね」

「新しい手段ですからねぇ。今度マナーの先生に相談してみます」


 使用マニュアルの他にマナー講座の資料も必要か。

 ある程度出来たら父上にも失礼に感じないか、確認しておいたほうがいいね。

 身分制度の有るこの世界ではちゃんとしておかないと首が飛ぶ人が続出しかねない。

 まさかアプリの普及にマナー講座が必要になるとは思わなかったよ。

 当分は陪臣は陪臣だけの間でメールをやり取りさせたほうがいいかもしれない。

 一番やばいのは父上とのやり取りだからね。

 仲間はずれにしておけば間違いが起きる可能性は排除できる。

 誤メールの問題は今でさえ解決していない根の深い問題だ。

 とりあえず仲間同士で慣れてもらおう。


 それから商人なんかに売っていきたい。

 身分が低いほうがマナーにうるさくない。

 今の貴族社会は三〇〇年以上続いているため、積もり積もったマナーが大量にあるのだ。

 しかもこのところは大きな戦争もなく、治世も安定しているため、貴族の価値は働きより儀礼的なところで決まりがちだ。

 能力が高くてもそれを発揮するところがないからね。

 逆に多少低くても問題なくこなせるので、能力の差が見えにくい。

 そのため能力以外の部分、優雅さだとか優美さや容姿などの美しさが評価される場合が多くなっているらしい。


 下の方でフランクなやり取りしていれば、上の方でもそれに影響されないかな?

 メールは手軽にやり取りできるため、手軽でない挨拶文は面倒に感じるであろう。

 おそらく段々と簡略化されていくだろうが、ちょっと時間がかかるかもしれない。

 まあ、そのへんはマナーの先生と考えてみよう。

 僕のマナーの時間は少ないからね。

 詰め込むより日常で使えるようにするのが目的だから、授業で覚えたことを普段実践することが大切とのことで、授業頻度も時間も少ない。

 残りの時間は陪臣や、騎士達などに教えているらしい。

 うちは田舎だから、陪臣や騎士達も下町の影響を受けやすいとのことで、時々思い出させるために授業を執り行っているとのこと。

 使用人の言葉が乱れると僕やマリエッタ、アンジェリカなんかにも影響するからね。

 必須ではないので多少お時間を拝借しても構わないだろう。


 あとはマリエッタのマナーを教えてくださる先生もいらっしゃるから、こちらには女性向けのマナーを考えていただこう。

 今離宮には母上の他に第一第二夫人が滞在しているからね。

 侍女や女官、メイドなども増えて、離宮内の雑務が増えているらしいから、パソコンを導入して作業効率を高めたい。

 あとパソコンを使える人材を増やしたいってのも有るけど。

 貴族を雇うのは高いからねぇ。

 パソコンの値段の多くを占めるのが僕のシーケンス代で、次が魔石代で、その次が魔導板や魔導線だ。

 それ以外の本体部分はかなり安い。


 まあ、向こうのパソコンだってへたをすれば値段の多くがCPUやGPUだったりするから、高度な製品というのは高いものだけどね。

 キーボードなんて千円とかなのにCPUは十数万とかザラにある。

 アプリも一般用ならともかく業務用だと数十万や数百万どころか、数千万だって普通だ。

 今の『パソコン』はどちらかと言えば業務用だからこの値段比率でもおかしくはないんだけどね。

 父上が女性用に買っていただけるといいのだけど。


 それにはまず実績作りだね。


 パソコンやメールの便利さがわかれば、普及に力を貸していただけるだろう。

 メール等のネットワーク機能は人が増えるほど便利になるのだから。

 まずはユーザーを増やすことから始めよう。

 ちょうどいいタイミングで四倍早いサーバも出来たし、とりあえずメールだけならサーバや通信回線にそんな負担はかけないだろうから、下に数十人はぶら下げても平気だろうし。


 メールの理解が進み、ブラッシュアップが済んだら、文官たちと相談して売れそうな商家やギルドなどに営業をかけてもらおうかな。

 僕は二人にメールの使い方を説明しながら今後の運用についてどうするか考えたのだった。


 インターネットが普及するに連れて、マナーの問題やネットリテラシーの問題が度々議論に上がるようになりました。

 誹謗中傷はもとより、フェイクニュースや詐欺メール、ウイルスソフトの蔓延など、インターネットの普及とともに様々な問題が起こっています。

 最近では学校でも教えるようになったようですが、犯罪やトラブルに巻き込まれる学生は後を絶ちません。

 ルールを決めても守らない人が一定数いるのはいるのは、ネットでなくても同じことですが、その対象や頻度は爆発的に増えています。

 インターネットは便利でありますが、犯罪者やはた迷惑な人たちにとっても便利になったということを忘れないようにしましょう。


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