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浜離宮でのおもてなし

 港を右手に見ながら、街道を進むと大きな建物が見えて来た。

 今回の目的地グレスタール離宮――僕は浜離宮って呼んでるけど――だ。

 敷地内に砂浜が含まれてはいるが、本宮は浜辺からかなり離れている。

 やはり潮風が厳しいのであろうか。

 浜からすぐは防風林がかなりの密度で植えられていて、その後も庭園が広がっている。

 離宮はそのかなり奥だ。

 防風林の近くにもいくつか建物が見えるので、天候が穏やかな時はそちらを利用するのかもしれない。


「お待ちしておりました」


 離宮に到着すると、僕らを侍従長が出迎えてくれた。


「こちらにおわすのがフラルーク公爵の三男、アルカイト様です。本日の御滞在の儀よしなに願います」


 相手が使用人であるので、アンジェリカが対応する。

 離宮の主は公爵を引退し現在は大公の位を賜っている。

 位としては公爵より上だ。

 なので地位が下の僕の為に出迎えてくれるということはない。

 まあ、領地も実権も無いけどね。

 いわゆる名誉職、いや名誉爵位か。


「畏まりました。では、アルカイト様と侍女見習いは私が御案内いたします。他の共の者達は、侍女長が御案内いたしますので、まずはごゆるりとおくつろぎ下さい」


 僕は頷き、ここまで付き従ってくれた騎士達とメイドに休息の許可を出す。

 今は僕が彼らの主人だからね。

 僕が命じない限り、彼らは動けない。

 騎士達は侍女長に連れられ、別棟へ向かう。

 僕達は侍従長の案内で本宮へと足を踏み入れた。


「離宮にしては結構広いですよね、ここ」


 客室で二人きりになったとたんに、アンジェリカが話しかけてきた。


「そうだね、うちと比べれば三倍位はあるかな? まあ、この辺は農地としては使いづらいから、土地の取得がし易いんだろうね。歴史も古いし」


 うちも一応離宮扱いだけど、新しい領地の上、田舎であるし内陸部に有るため、基本、土地は開拓で切り開くこととなる。

 魔物も多く、それの排除にも手間と金がかかるなど、土地の取得が高コストなため、王家の離宮とは言え、そんなに大きなものは作れない。

 対して、海岸沿いは農地としての利用が難しいくせに、比較的平らな土地が多く食える植物が少ない分魔物も少ないから、低コストで土地が利用出来るため、離宮を含め貴族の屋敷は大きな物が作りやすい。

 離宮のせいで畑が狭くなったら、結局収入源を失うってことだからね。

 ここなら農業より漁業の方が盛んだから、多少大きめに土地を使ってもゆるされるというわけだ。

 そんなことをアンジェリカと話していたら、侍従長が迎えにきた。


「湯浴みの準備が調いました。湯殿へ御案内いたします」


 とは言えまだ大公との面会という訳ではない。

 まずは旅のほこりを落とさないといけない。

 貴族は面倒だ。

 まあ、貴族でなければまた別の面倒があるだろうし、どちらがいいとは言い切れないが。

 たとえば普通の庶民は湯の貼った風呂など入れない。

 一応サウナっぽい公衆浴場があるらしいが、日本人としてはやはり湯船に浸かりたい。


 大陸だと水は貴重だ。


 日本のようにまさしく湯水のように使う事はできない。

 そもそも雨が少ないし、大河はあっても小川が少ない。

 土地の高低差も小さいため水を引いてくるにも遠方から水路を引くか水車などで引き上げるしかない。

 上級貴族の屋敷なら水を出す魔導具やらお湯を沸かす魔導具があるからこうして遠慮なく入れるわけだけど、一つの魔導具で出せる水の量や熱量はあまり多くないから、主人とその家族以外の使用人にはそんな贅沢は許されないのだ。


 軽く汗を流し着替えた後、僕達は大公の私室に案内された。

 今回は私的な訪問という事になっているので、すべて私的な空間で行う事になっている。

 父上もいらっしゃれば別だが、公的身分が無い僕だけでは、公的訪問など出来ようはずもないけどね。


「よくきたな。その様な幼い身で、王都からの道のりは大変であったろう」

「ご心配いただきありがとうございます。こう見えましても、もう直ぐ八歳になりますし、ここまでの道が整備されていましたから、とても快適な旅でした」

「それは良かった」


 始まりは割とフランクに始まった。

 デビュー前の私的な訪問なので挨拶もない。

 デビュー前でも練習も兼ねて、正式な挨拶をする場合もあるけど、それもデビューを控えた一〇歳くらいからで、僕の年頃では練習台は家庭教師か家族だけが普通だ。

 親族とはいえ練習台にするのは失礼だからね。


「あそんでー」っていきなり部屋に入っても許されるのが子供の特権と言える。

「王都に来たときはかなり具合が悪かったと聞いていたので心配していたのだよ」

「確かに、あのときはひどかったです。王都に着いたときにはほぼ意識がありませんでしたから。父上の領地が田舎すぎて、道がガタガタだったのがそもそもの原因ですね。そこで体力を使い果たして、そのまま回復せずに王都入りです」

「それは大変だったの。あの辺は王国の中でも新しい開拓地だからな。まだまだ整備に時間がかかるだろう」

「ですね。帰りが今から憂鬱です」

「では、少しでも気分が良くなるよう、今日は珍しい海のものでもたんと食して帰るが良い」

「ありがとうございます! それを楽しみにしてきました。向こうだと海の幸は食べるどころかまずお目にかかることすらありませんし」

「あちらは内陸だからのう。今日は王都でも食べられているものと、この辺でしか食べられていないものなど色々用意している」

「それは楽しみです」

「ただ、見た目があまり良くないものや、香りが独特のものも多いので、無理に食する必要はないぞ」

「お心遣いありがとうございます」


 王族は贅沢をするが、だからといって無駄遣いが許されるというわけでもない。

 とはいえ僕が残したとしてもスタッフが美味しくいただくのであろうから、遠慮なく残して構わないだろう。

 なにしろ海のものは、奇抜な姿をしたものや独特の触感と匂いがするものがたくさんある。

 海産物を多く食しているであろう日本人でさえ、好き嫌いが分かれる食材も多い。

 これまで元の世界と極端に違う食材というのは見たことがないが、海産物はどうであろうか。


 見たことはないし食卓に上がったこともないが、この世界にはゴブリンやらオークっぽい魔物もいるようだし、足が百本あるタコが出てきても驚かない。って、向こうにもいたか、百本にせまる足があるタコ。

 なんてことを考えながら他愛もない会話をしていたら、食事の準備ができたとメイドが呼びに来た。

 僕と大公様は食堂に、アンジェリカは客室の方で食事が提供されるようだ。

 案内された食堂は意外に小さい。

 しかし窓が大きく二階部分にあるため、海がよく見える。


「私はここからの眺めが好きでね」

「ええ、素晴らしい眺めですね。海がキラキラしてとてもきれいです」


 工場排水や生活排水で汚れていない海はとても透明度が高そうだ。


「今日のような波の穏やかな日は沖の方には大きな船が通るし、漁の様子も見られる。荒れた海も荒々しくて迫力がある。何時間見ていても飽きないよ」

「僕もしばらくゆっくりしたいところですが……」

「暗殺騒ぎがあったのは聞いておるよ」

「落ち着いたら、また遊びに来てもよろしいいですか?」

「もちろん構わないとも。なにしろ引退した公爵に尋ねてくるものなどそうそうおらんからな。孫やひ孫は離宮に入れる身分ではないし。王族というのもなかなか不自由なものだ」


 僕も他人事ではない。

 多分僕の子供は平民となり、一生父上に会うことは許されないだろう。


「短い間ですが僕でお慰めになれば幸いです」

「よいよい。気にすることはない。そなたのような子供が来てくれるだけで心が軽くなる。そのまま普通に接してくれれば嬉しい」

「はい、今日は甘えさせていただきます」

「では、早速食事としようか」


 公爵が侍女にうながす。

 侍女はさらに部屋付きの女官に食事の開始を告げた。

 部屋にいるのは僕と大公とこの侍女だけ。

 どうやら今日の食事の采配はこの侍女が行うようだ。

 随分と若い。

 一〇代なかばといったところか。

 その割に所作は見事だ。かなりの美人さんでもある。

 大公と王孫の会食であるから権力はともかく地位はむやみに高い。

 普通は失礼があってはならないから、年寄り、げふんげふん、もといベテランが采配するものだが、これだけ洗練された動きができるのであれば、今日の会食を任されたのもうなづけるというものだ。

 そんな事を考えていたら、程なくして一品目が運び込まれる。


「鮮魚の切り身にございます。好みのタレを付けてお召し上がりください」


 こ、これは!?


「もしかして、生ですか?」


 そこに出されたのは、まさにお刺身。それも活き造りだ。


「はっはっはっは、びっくりしたか? 今朝そこで捕れたものを生簀に入れて持って来た上、私が浄化の魔法をかけ、生きたまま調理したから、中る心配はないが気持ちが悪ければ下げさせるぞ」

「お気遣いありがとうございます。大丈夫です、全然いけます」


 まさか生の魚が食えるとは。

 海の幸サイコー!

 漁港が近いだけあって、生簀に入れて運んでくるのも容易だろうし、汚れた水を交換することだってできるだろう。

 まだ食材の一部は生きているようで微妙に身動きするくらい新鮮だ。

 とはいえ新鮮なら必ずしも旨いというわけではないけどね。

 熟成したほうが旨い魚もあるが、温度や湿度管理、なにより衛生管理に疑問が残るこの世界では避けたほうが無難だ。


 その点活き造りなら新鮮であることは間違いなく、きちんと洗浄すれば病原菌の繁殖も最小限に抑えられるであろう。

 また、寄生虫なども生きている間は内臓や皮のところに寄生し魚が死ぬと食い破って肉の方に移動するらしい。

 この世界の寄生虫も同じような性質なら、生きているうちに内臓と皮を取り除いてしまえば寄生虫による食中毒の可能性は大幅に低下するはず。

 ここへ来る前にそう考えていたことが、ここではすでに実現していたとは驚きだ。

 だが醤油は流石に無いであろう。


「そうか。ならばよかった。元の形を見せずに切り身だけ出しても良かったのだが、あとで元となった食材を見て気分を悪くする者もおったから、初めての客人に出す場合は見た目でわかるようにしているのだよ」


 確かに。


 食わされたあとからお前の食ったのはこれだとか、気味の悪い食材を出されたら、人によっては怒り出す者もいそうだ。


「内陸では見慣れない姿形ですからね」


 魚はともかくタコやイカともなると、食べ慣れないと気持ち悪く思うであろう。

 そう。

 切り身として鯛やアジっぽいものの他、タコやイカが盛り付けられていたのだ。

 一部地方? ではデビルフィッシュと恐れられているタコが、胴体はそのままに足の部分だけスライスされて盛り付けられていた。

 見ただけで気分を害する人はいそうだ。

 しかしこのタレは?

 透明なものからほぼ真っ黒なものまで六種類ほどが小皿に入れられ並べられている。

 茶色っぽいものはほぼ見た目は醤油だが。

 とりあえず一番黒っぽいものを手元に引き寄せ、スプーンでひとすくい。


「う~ん、ちょっと生臭い? もしかして『魚醤』? いえ、魚を塩漬けにした調味料ですか?」

「おお、知っておったか? 食したことが?」

「いえ、そのような調味料があるというこということくらいは知っていましたが」


 刺身といえば醤油というイメージがあったせいか、魚醤という発想はなかった。

 しょっつるやナンプラーとかが有名であるが、僕は残念ながら口にしたことはないはずだ。

 あるとしても、調味料まで意識して食べたことがないので、味の方はよくわからない。

 聞いたところによればだいぶ風味が違うらしいが。


 とはいえ雑学としての知識はある。

 魚醤は作るのは至極簡単で、たしか魚と塩、それだけだ。

 あとはそのまま樽か何かに詰めて寝かせておくだけ。

 ここで肝になるのが、酵母も麹も必要ないことだ。

 確か魚自身の酵素で発酵するため、扱いの面倒な細菌を使用しなくてすむ。

 中には細菌を使用するものもあるようだが、この地方で昔から作られているのだとすれば、危険性も少ないであろう。

 刺し身を魚醤で食べたことはないが、そういったブログの記事は読んだことがある。

 僕は別の小皿に入っている魚醤をすくい上げ香りを嗅いで見る。


「これは……」


 並べられた小皿の中に醤油と似た香りのものがあったのだ。


「これを掛けたものを」


 小皿を指し示し、侍女に指示すると、彼女は大皿から切り身を取皿に移し、魚醤を掛けてくれた。

 それを僕はフォークですくい上げ口に運ぶ。


「……美味しい」


 醤油と微妙に違うが、それだってたまり醤油と普通の醤油の違い程度の差でしかない。

 魚醤は元になる魚や熟成期間によって結構味が変わると聞いている。

 また、加熱することによって醤油とは逆に香りが抑えられるとも聞いたことがある。

 魚と熟成期間と加熱具合を調整すれば、もっと醤油と似た風味のものができるかもしれない。


「それは良かった。生の魚も魚醤も王都の人間は受け付けないものが多くてな」


 魚醤も発酵食品の一つだからね。発酵は過程としては腐敗と一緒だから腐敗臭がする。

 人間は腐敗したものは危険だという本能的な刷り込みがあるから、安全だと脳が感じられるようにならないと、美味しくは食べられないのだ。


「いえ、とても美味しいです。少し生臭いのが気になりますが、こちらのハーブと一緒に食べるとそれほど気になりません。それどころか香りが鼻にすっと抜けて気持ちいいです」


 まさにわさび、いやそれに近いハーブだ。

 おそらく辛味成分がわさびと同じなのだろう。西洋わさびかその近隣種かもしれない。

 ちくしょう。なぜここに日本酒がないんだ!

 いやまあ、米がないからしょうがないんだけどね。

 お酒って基本的にその地方で作られている穀物や果物をベースに作られる。

 そりゃあ材料を輸入までして酒を作るなんてありえない。

 特にこの世界のような流通に多大なコストがかかる世界では。

 米がなければそれを使った酒もありえない。

 もしかしたらお酒くらいは輸入しているかもしれないが、僕が飲めるほど入ってこないだろうし。

 知識チート物なら自分で米を育てるところだろうが、この国の気候や風土では難しいだろうな。


 米というのは基本的に温暖湿潤な環境が必要だ。

 今でこそ北海道でも美味しい米が採れるようになったが、それも品種改良が進んだ近代になってからだ。

 寒冷なこの辺で作れる米があるかどうかもわからないし、作れたとしてもうまいかどうかもわからない。

 寒冷地でも育つうまい米があったとしても今度は水の問題がある。

 米が小麦に比べ収穫量が多くチート植物などと呼ばれるには水田によるところが大きい。

 水田は連作障害が起きにくく、水が抜ける乾田で割と暖かい地域なら二毛作だって可能だ。

 しかしこれは水の豊富な日本や東南アジアだからこそできたことだ。

 この国は大陸性の気候で、雨が少ない。

 川の水量こそ多いが川自体が少なく、水田が作れる地方は限られている。


 確かに水田の米は単位面積あたりの収穫量は多いが、畦や水の確保と管理に手間がかかるし、田植えというのは結構重労働だ。

 実のところ面積あたりではなく作業工数あたりで収量を計算すると麦などとあまり変わらなかったりする。

 麦は極端に言えば、焼き畑して種籾を適当にばらまけば、あとは収穫まで放置でいい。

 元の世界でも、その程度の農業を行っている発展途上国もまだ多い。

 麦は面積あたりの収量は低いが、水も少なくて済むし寒冷地にも強く圧倒的に手がかからない。

 日本の農業は農業ではなく園芸だと言われているなんて話も聞いたことがあるくらいだ。


 陸稲と言われる畑で作られる米もあるが、味の評判はあまり良くないようだ。

 連作障害もでるし。

 陸で育てる限り、手間も収量も麦とさして変わらないのだ。


 この世界で手間がかからない、というのは大きな利点だ。

 農繁期がそもそも植え付けと収穫時以外ほとんどないため、その間別の作業ができる。

 父上の領地でも、農作業で得られる利益よりも、開拓時に出た木を売ったり炭を作ったりしたほうが、大きかったりする。

 まあ熱く語ってしまったが、ここでは米を見つけても米の栽培はほぼ不可能ということだ。

 僕はお酒の代わりに用意されていた冷たい水に果汁を垂らして風味づけした飲み物を口に含む。


「ああ、このお水も美味しいですね。お魚の油がすっと流されていくようです」

「その水にはこのあたりで採れる果物の汁を垂らしておる。酒が飲めぬときに重宝するのだ」


 レモンのようなオレンジのようなフルーティーな香り。

 吟醸酒独特の吟醸香にも通じるものがある。

 つまり香りだけなら日本酒もどきが作れるということだ。

 これは朗報だ。

 酒のベース自体は焼酎でいいだろう。

 甲類焼酎の作り方なら癖のないお酒ができる。

 それに加水して蜂蜜やここの果物の汁を加えれば、日本酒っぽいものが作れるかもしれない。

 蒸留酒ならこの国でも作っているし、果物はここにある。

 場合によってはいくつかの果物をブレンドしてもいい。

 米と米麹を探すより現実的だろう。

 今回の訪問は上級精霊が主目的ではあったが、食に関しても大収穫だ。

 もう精霊のことなど放置して、食について語り合いたいくらいだ。


「本当に美味しいです。僕もここに住みたくなりました」

「はっはっはっは。気に入ってくれて何よりだ。成人したらこの領地に来るか? ここも田舎ゆえ貴族たちが寄り付かん。殆どが王都からの派遣で、数年でいなくなるとここの領主を務めるアゼルドート公もこぼしておった」

「それは魅力的な提案ですね。将来の選択肢のひとつとして考えておきます」


 ここを異世界のシリコンバレーにするのもいいかもしれない。

 海沿いの土地は農業に向かず、取得コストが安いし、魚は長距離輸送に向かないため外貨獲得手段が限られる。

 そこへ金になる産業ができれば歓迎されるであろう。

 一考の価値がある。

 原料となる木とガラスの入手に目処が立てばの話だが。


「ゆっくり考えるが良い。そなたにはまだたっぷり時間がある」

「そうですね」


 これが余生と考えれば、長すぎるほどには時間がある。

 慌てる時間じゃない。

 まだ一品目じゃないか。

 他の海産物を味わってからでも考えるのは遅くない。

 数種類並べられた魚やタコの切り身を一切れずついただき、久々の海の幸を堪能し手を止めた。

 お刺身は残っているがここで全部を食べてしまったら、お腹が一杯になってしまう。

 とりあえず来たもの全部を食する。まずはそれからだ。

 僕は二品目が来るのを首を長くして待ちわびた。


 一口に魚醤と言っても、その地方によってだいぶ作り方や風味、味が違うようです。

 まず地方によって取れる魚が違いますし、その魚も数種類混ぜたり、魚以外の食品も入れたり、何らかの細菌発酵させるものなど、原材料から作り方まで多種多様。

 当然香りや味は千差万別。

 同じ材料、作り方でも熟成度や絞り方でも味が変わってきます。

 その中から自分好み、あるいは料理に合う魚醤を見つけるのは至難の業。

 近年では地ビールならぬ地魚醤? なども作られているようですが、基本的に現地でしか味わえないようです。

 まあ、魚醤だけ買ってきてもそれに合った料理を作れる人なんて、そうそういませんからねぇ。

 やはり地元の料理は地元で味わうのが一番のようです。


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