第14章、ロッドの指導⑨
日付変わってしもうた…。すみません。
ロッドの元で修行を始めて早四週間。
ギアは、三週間を過ぎる頃には、すっかりロッドの魔獣全匹と仲良くなった。
中には、今まで全く関わってこなかった、癖の強い魔獣もいた。しかし、初日に学んだ、〈魔獣それぞれの個性と特性を知ること〉を心がけ、魔獣にも己を信用してもらえるよう努めた。最初から歩み寄りが上手くいく魔獣もいれば、仲良くなろうとして むしろ関係性が悪化しかけた魔獣もいた。だが、別な魔獣と組む日も気にかけるなど、アプローチを怠らないことで、徐々に全員と仲良くなっていった。
結果的に、ギアはかなりの信頼を得ることができ、一日の最後にロッドと対決する際には、それなりの成果を生み出すことができるほどに連携が取れるようになった。
イーラもまた、ロッドから教わって、以前にはできなかったようなことができるようになった。
己の“できる範囲”と“相手に任せる範囲”を考え、仲間のことを信頼した魔法の使い方や戦い方をするようになった。
二週間を過ぎた頃には、ロッドの指示で、ロッドだけではなく、ロッドの魔獣も加えたパーティーで戦闘訓練することにもなった。イーラはそれまで、ギアやロッドという人一人としか組んでこなかったため、なかなか苦労した。しかし、一週間で何とか様にはなってきた。…初日に、連携に失敗してそれぞれの放った魔法がぶつかり、大爆発を起こしたことに比べたら。
四週目には、とうとうギアとイーラのペアに戻された。そして、細々(こまごま)とした課題をこなしながら、やはり夜には戦闘訓練を行った。
本来の相棒へとペアが戻された時、ギアとイーラはそれぞれ、相棒を頼もしく感じた。修行始まる以前よりもずっと。相棒が成長したのを感じたのだ。
また、ペアに戻ってすぐに、ギアとイーラはそれぞれの力を発揮した。以前は上手く噛みあっていなかった一人と一匹の呼吸が、すぐに調和したのだ。あまりにも親和性が高く、ペアに戻ったその日に、初日にボロ負けしたリリとロッドのペアに一泡吹かせることができた。
修行が始まった日に、ロッドから、「修行の進み具合によっては一か月以上かかる」と脅されていたギアだったが、杞憂に終わり、「明後日でアタシの元での修行はおしまい」と言われるに至った。
そう言われ、安心した翌日。
「今日と明日は、集大成として特別な課題に取り組んでもらうわ。」
ロッドはそう言った。続けて、「この課題をクリアできなかったら修行延長よ」と脅しの言葉を吐く。
ギアとイーラは緊張感を持った。
そこにロッドが告げる。
「今日の特別課題は、―――かくれんぼよ。」
ギアは拍子抜けする。
「ああ、初日にもやりましたね。全員捕まえたら終わりですか?」
「ええ。」
ロッドはニヤリと笑う。その魔獣たちも、面白そうに笑ったり、挑発的に笑ったり、揶揄うように意地悪く笑ったりと、何やら楽し気だ。
ギアとイーラは身構える。この課題、何かある。
「隠れる方も探す方も、魔法を使って良し。…隠れるのはアンタたちよ。」
(俺たちか。)
そこで、コリンと目が合う。コリンは無邪気に笑顔を向ける。遊べると思って楽しみなのだろう。誰よりも尻尾がぶんぶんと揺れている。
(探す側になっても、コリンは厄介だろうな…。)
なんせ、鬼ごっこでも知恵を披露して来る子なのだ。課題と称した遊びに付き合わされ、何度、コリンらの賢さに驚かされたことか。
ギアの思考がすでに戦略の組み立てに走りかけたその時、ロッドは告げた。
「―――探す側はアタシとアタシの魔獣全員よ。」
ギアとイーラが固まる。
「アンタたちふたりとも見つけたらアタシたちの勝ち。…精々 一生懸命、隠れなさい?」
深まるロッドと彼の魔獣たちの笑みに、ギアとイーラは焦り始めた。




