何のとりえもない僕が、なぜ彼女と付き合えたのか分からない。
僕には彼女がいる。
美人で頭もよくて、愛嬌もあって、気配りができる。
そんな彼女が。
控えめに言っても、優秀。
ひいき目に言うと、完璧。
そんな彼女は僕の彼女なんだけど、どうして付き合えたのかよく分からない。
出会いのきっかけは、友達に誘われていった合コンだった。
数が足りないとか言って、無理やり付き合わされたんだ。
本当はそういうのあんまり好きじゃないんだけど、断れなくて。
押しに弱いとこ、なおさなくちゃな。
それで、参加した合コンはそこそこ盛り上がったんだけど、途中で肝試しスポットに遊びに行こうって事になったんだ。
危ないからやめようって言ったんだけど、みんな聞いてくれない。
はぁ、もうちょっと自分の意見を言えるようにしないといけないな。
それで、肝試しに参加する事になった僕は、今の彼女と一緒にペアになった。
彼女は僕の事なんて眼中にない様子で、初めは他の人と一緒になりたがってた。
僕は彼女にさえない僕と一緒になっちゃってごめん、って謝りながら、せめて早く肝試しが終わるように頑張ったんだ。
けど、友達が悪戯で仕掛けを施していたみたいで。
僕は天井から降ってきたこんにゃくに驚いて、気絶してしまった。
はぁ、ビビりな性格、なんとかしないと。
そんな体たらくだったから、彼女なんて一生できないだろうなって合コンを終えたんだけど。
なぜか僕には、彼女ができていた。
しかも、あの時ペアになった子とだ。
一体なんでだろう。
あっ、メールだ。
えっと何々?
また、肝試しの時にみんなを乗せてくれたあの恰好いい車で、またお出かけしましょう。
か。
恰好いいって、車に興味があるのかな。
あの車、そこそこ外国では有名な車だし。
高いから、簡単には手に入らないんだよね。
そういえば僕、肝試しする前に車が好きだからって、皆に色々自慢しちゃったんだっけ。
あの時だけは、ちょっと饒舌になったもんだから、みんな引いてた気がする。
はぁ、趣味の事になるとお喋りになるこの口が恨めしいよ。
もしかしたら、彼女も車が好きなのかな。
そうだったら、同じ趣味をもててうれしいな。
それにしても、一体何で彼女は付き合ってくれたんだろう。
ほんと、不思議だよ。