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私の話  作者: 羚羊
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死にたいなあ

今日は休日出勤をした。

ちゃんと働いて偉いと思った。


正社員になって日は浅いけれど、私はある事に気が付いた。毎日、それも何年、いや何十年も働くって凄い。ドラマや漫画で若手の優秀社員が28歳とかの設定で出てくるが、そんなの無理じゃないのかって思うくらいお仕事難しい。大手企業でバリキャリで働く人は、きっと毎朝スムージーを飲んで、週3でジムに行って、アフターファイブはこじゃれたバーで「いつもの。」とか言ってるのかもしれない。それに対して私は、朝はもさもさご飯を食べて、買ったランニングシューズも放置しっぱなし。こじゃれたバーがどこにあるのかさえ知らない。そもそもこじゃれたバーに行くには、少々野暮ったい服しかない。


もし何かの手違いで、私がフジテレビの女子アナに選ばれたとしても、あのキラキラした雰囲気は決して出せないだろう。きっと周りのキラキラに負けて一週間で胃潰瘍になる自信がある。キラキラ女子も怖いが、キラキラ男子も怖い。なんか青いスーツを着て、やたら胸筋が発達してるツーブロックのサラリーマンなんか怖すぎて友達になれる気がしない。彼らの溢れ出る自信についていけないのだ。


生きる気力が元来少ないタイプの人間からしたら、何が何でも成り上りたい!という熱量を持つ人間というだけで、少し苦手意識を抱いてしまう。それと死にたいと一度も思ったことがないタイプの人間とも話が合わないことが多い。なぜ死にたいと思わないのか心底不思議である。

別に自傷行為をしたり、鬱である訳ではない。ただ、来る日も来る日も人生があり、頑張り続けなければ人生を過ごせず、節目節目にこなしておくことが多いのが面倒くさいのだ。お金を貯めて、地位を得ても、長くて70年もすれば私という存在はいなくなる。それに現在だって72億人の内の一人でしかない。


まあ、私が死にたくなるのは、私が矮小な存在だからという訳ではない。死にたくなる理由は、72億人の人間が、生まれてから死ぬまでの間に必ず、苦しくて辛い思いをするから、だ。

私はたった26年の間でも、凄く辛くて苦しい時期が何度かあった。さらに周りの友達や、大人たちを見てみると、個人差はあるが、人生一度も苦労してなくて理想の人生を歩んでいます。などという人は誰一人いない。つまり、産まれたからには、必ず何らかの苦労をするのだ。それは避けては通れないのだ。それなのに今日も新しい人間が産まれてくる。その事を考えると、決して抗えない大きな力を感じて、無力感に襲われる。


仏教では、現世に産まれることは、より良い魂になるための修行のようなものだと捉えられている。けれど、修行をしたところで天下一武道会が開かれる訳ではないし、死後の世界で「おめでとう!素晴らしい魂になったね!」と言ってもらえる保証もない。そんな感じで私は今日も死にたいなあと思って過ごしている。



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