第98話世界の抵抗
シャーリーが・・・
シャーリーは軽傷を負っていたようだが、それだけでこれほどの痛みになるとは考えにくい・・・
何かの呪いでもなければ・・・
「おい、呪いの可能性は?」
しかし問いかけている合間に、自分で調べてしまう。
ステータスが表示されたプレートをスライドさせ下げていく・・・・・・あった
神呪、と表記された呪いに、僕はさらに鑑定を行う。
神呪
神から受ける呪い、効果は放たれた呪いの種類によって、死亡、狂乱などといった、悪い呪いから、不老、幸運などという、良い呪いまで様々。
今回の場合、神デモルゴンにから放たれた呪いは、即死性を持っているため、個体名シャーリーは数分後には死亡する。
※世界ヘンデの歴史変動への抵抗として発動されたこの呪いは、解呪できるものは存在しない。
警告
これは予定調和である。個体名ナタリー個体名リーンが生存することによっての歴史の変動は少ないが、個体名シャーリーが生存することによって、歴史は大きく変動してしまう。
再警告
これは予定調和である。
その文を読み終えた僕は絶望した。いや、絶望したというのは正しい表現ではない。助けられると思ったのに、また、死んでしまうということに絶望しなおしたというべきだろう。
昔の僕も少し違ったが、同じような気分だったに違いない。
「シャーリー、よく聞いてくれ・・・これは呪いだ。デモルゴンの最後の抵抗と言ってもいい。」
辛そうな顔を隠そうともせず、必死に、真剣に話す昔の僕。
「この呪いは強力だ、神呪と呼ばれるこの呪いは、発動する神によって大きな違いが出る。シャーリー、君は数分後、呪いの影響で死ぬ。」
シャーリーは、自分が死ぬと悟っているのか、話を聞いていても眉一つ動かすことはない・・・・・・しかし、呪いによる影響は広がっていく、左腕から上半身、そして全身へと黒い痣は広がっていった。
僕たちはただ見ていることしかできない。治すことのできる神も存在しないならば、治す方法がない。
悔しい・・・悔しいっ・・・折角誰も死なせない未来を掴み取ることができたのに・・・・・・
「ねぇ、リューク・・・私はどうなるの?・・・」
シャーリーは錯乱しているのだろうか?
「君は死ぬんだ、シャーリー・・・救えなかった僕を許してくれ・・・」
昔の僕は泣き出した、僕もほぼ涙目になって周りから眺めている。
「いえ、そういうことじゃなくてね・・・私は死んだあと、どうなるの?」
「魂となって、アントラーズで誰とも知れない人間に、転生する・・・」
死後の世界は謎に包まれているとされているが、僕たちは知っている。遥か悠久の昔から・・・
「・・・・・・ならよかった・・・」
「「・・・え・・・・・・どいうこと」」
何も分からない僕たちは、素直に疑問を口に出す。
「・・・転生できるなら・・・私はまたリュークに会えるってことでしょ・・・・・・」
そんなことが本当にできるのか・・・・・・しかし記憶は消えてしまうのだろうから・・・シャーリーも・・・・・・
「・・・記憶を持っていなくたって大丈夫・・・・・・私はリュークに会って、また恋をする。・・・・・・約束、ね・・・幼馴染なんだから守ってよ。」
「あ、ああ」
昔の僕は安請け合いをしてしまった。しかし僕でもそこは頷いてしまうだろう。
「じゃぁ・・・来世で、ね・・・」
嬉しそうな、しかし苦しそうな笑いをしたシャーリーの体には、黒い痣が全身広がりきっていた。その痣は完全なる悪の呪いで、呪いは細胞を死滅させてしまう。
細胞を喰らう呪いは、シャーリーの肉体を破壊していく、でも僕たちは目を背けずに見つめる。
シャーリーの体は数十秒後、この世から完全に消え去っていた。その場に残った黒い残り粕を、昔の僕が拾い集める。
僕は不意に未来へと戻される予兆を感じた。
僕はもどかしい気持ちで、昔の僕へと最期を告げる。
「僕は過去に戻ることになった・・・どうなるのかは分からないが、また会えたなら・・・・・・」
僕が追加の言葉を告げようとした瞬間、僕は光に包まれた。
辛そうな表情を隠し引き攣った笑いを見せる昔の僕に、僕は笑いかけた。
そして僕は未来へ戻る。
最終回まであと2話、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。




