第95話邪神が倒された世界で・・・
僕は邪神デモルゴンを倒した後、シャーリー、リーン、ナタリーの骸を持ち帰った。
しかし帰り道の記憶はなく、気づいたら魔界の門の目の前にいた、既に深夜になっていたので、野営をする。
久しぶりに1人きりの野営だ、薪をアイテムボックスから取り出し、魔術で火を付ける。
ポツ
僕のズボンに水が落ちた。
付近を気にしてみるものの、濡れる原因になる物はない。
そうなると考えられるのは僕の涙だ。
それを理解した時には、涙がボロボロと出てきていた。
脳裏に仲間達との思い出が蘇ってくる・・・
「・・・なんでだよ・・・・・・なんで・・・・・・死んだんだ・・・」
僕の後悔の声が氷の世界に響いていた。
数十分後、僕は泣くのをやめた。
邪神は倒したものの、僕の心は後悔でいっぱいになっていた。そして僕は悩みながらも決断を下した。
リュークは仲間達を丁寧に埋葬した後、どこともしれない島に居た。
セイッ
ハァッ
リュークは集中して剣を振るっている。
しかし剣を振るリュークに、多数の魔術が迫る。しかしリュークはそんな中でも剣を振るのを止めない。
リュークに魔術が当たると思われた瞬間、神業というべき技術でリュークは魔術を避けていく。
シッ
魔術を完全に見切り、さらにそれを避けたリュークは、剣の神と呼ばれそうな技術で、迫ってくる魔術を同時に斬り、魔術を消滅させた。
魔術を消滅させるには魔術の核、と呼ばれている魔術の中心を破壊しなければならない。
魔術に魔術をぶつけ、相殺することで破壊することもできるのだが、それを行うには同等の魔術をぶつけなくてはならない。
そして剣で斬るには、魔術の核を見極め、魔術の核を正確に破壊しなければならない。
剣聖でも行えない神技は、リュークが半年間修行することで、他の様々な技術と同時に身に付けた特技だ。
僕は帰ってきてから修行を行うことを決断した。
贖罪なのかは自分でさえも分からないのだが、僕は確かに仲間達に後悔の念を抱き、それを何らかの形で消そうとしていた。
僕は危険な修行を続けることで、死んでしまった仲間達に対し、申し訳なさと、口惜しさを伝えようとしていたのかもしれない。
僕は一心不乱に修行にのめり込んだ。仲間達ともう一度会えるならば、罵詈雑言を吐かれたって構わない、そうも思っていた。
僕は・・・僕は・・・・・・そう思っているうちにも、時は流れることを止めない、時間とは無常なものだ。とすらも思う。
仲間達が物言わぬ骸と化してから、一年間が経過しようとしている。
僕はいい加減、現実逃避を止めろと自分の中の自分に言う。
あと一日で、仲間達の命日という重要な転換期を迎える、自分の気持ちにはっきりと答えを出す時間だ。
・・・僕は・・・どうしたい?・・・・・・何もかも捨てて、消えてしまいたい?・・・それとも・・・・・・僕は、仲間達を救いたい・・・・・・彼女たちが死んでいない未来を彼女たちと共に模索していきたい。
「・・・それが、僕の答えだ・・・・・・」
僕がはっきりと決意を口に出したその時・・・・・・アイテムボックスから、見覚えがある時計が出てきた。
それこそが僕の求めた答えのような気がして、僕は浮いているそれを両手で握りしめるようにして取る。
瞬間、白黒になった世界は突如、僕の記憶の中を巻き戻っていった。
時計の事が分からない人は第48話をご覧ください。




