第91話勇者達VS邪神デモルゴン1
邪神編、戦いは最終章へ
『魔王を倒してくれてありがとうございます。私はグザファン、またの名を邪神デモルゴンといいます。よくぞ魔王アロイスを倒して頂けましたね、貴方達の戦闘によるエネルギー、感謝しますよ。』
こう喋った声が聞こえてきた次の瞬間、僕の体は2度相まみえることになった神の間へと移動していた。
『神の間へと来る101人目の勇者、リューク。私は寛容なので、遺言を残してやることを許してやろう。』
デモルゴンは世界一と言っていい賢い頭を持っている、それはセージの時の戦闘を見たときに分かっていることだったが、それでもなお人間に対しては取るに足らないと思っているのが直ぐにわかる。
僕はデミウルゴスが喋った、言葉に心を惑わされたりはしない。
遺言を述べるわけでもなく、黒い影のような邪神に、邪神殺害剣を思いっきり投げる。
邪神殺害剣は黒い影にぶつかることなく中空に刺さり、止まった。
『・・・バカめ、折角の遺言のチャンスを自ら失うとは・・・・・・笑止千万だ。』
デモルゴンは嘆くように首を振った後、攻撃をしてきた・・・・・・それが僕たちの策だとも知らずに・・・
10階の階段での会話
「邪神デモルゴンは強い、それこそ魔王なんて比じゃないぐらいに・・・」
僕はそう言った。
「でも、それじゃあどうやって倒すの?」
シャーリーの疑問は尤もだったので、僕は作戦の概要を話していった。
「デモルゴンには、この邪神殺害剣でしか致命的な攻撃ができない・・・でも、それは逆にデモルゴンは邪神殺害剣だけを気に留める。だから、僕が先に邪神殺害剣をぶん投げて結界に止められる。
・・・それで僕たちが、もう邪神殺害剣を持っていないこともアピールして、デモルゴンからの攻撃を受け、攻撃を耐えきる。」
「・・・そして、デモルゴンが致命傷を与えようとしてきた隙に、誰かが邪神結界破壊魔術具を使って、デモルゴンの結界を破壊する。
その後、僕が結界が破壊されて、慌てふためいたデモルゴンに肉薄し、邪神殺害剣数百本をデモルゴンの体に埋め込む。」
そう言って、僕は邪神デモルゴンに対応するための作戦説明を終えた。
僕の意識が、昔から現在に戻っていく。
デモルゴンは僕たちを痛めつけ、苦痛を植えつけるようにして攻撃してきた。
精神系統の魔術を大量に発動するデモルゴンに、僕たちは耐え続けた。一瞬の隙を狙う為に・・・
グァァッッッ
グッッッッ
キャァァァァ
僕たちはわざと悲鳴を上げていく、わざとらしくないように気を付けながら・・・
『・・・チッ、先代の勇者たちは強かったのに、振れ幅が大きいな・・・しかし、まぁいい苦痛のないよう、殺してやろう。』
やっと来たっ、そう思ってしまったのは僕だけではないだろう。
僕は仲間達を信じて、デモルゴンの影に飛び込んでいった。
デモルゴンも流石に感知したようで、さらに強力な魔術を発動してくる。
僕はデモルゴンの魔術を避けたり、受け止めたりしながら、数秒でどんどんと近づいて行く。
僕が後ろを振り返ることはない、仲間達を信じている、というのもそうだが、一応の予備として邪神結界破壊魔術具を持っているのだ。
僕の体が数瞬でも止められることのない魔術だけを選別し、それだけは受ける。
肉体や勇者の鎧は傷ついていくが、そんなもの関係ない。・・・なぜなら?・・・なぜ僕はなぜならなんて・・・いやそんなことを気にする必要も、時間もない。
デモルゴンまでの距離、300メートル、やはり簡単には近づけない。
デモルゴンが発動した魔術の弾幕が、僕を襲う。
デモルゴンまでの距離、150メートル、近づいて行くにつれて魔術の密度が増して来た。
・・・痛い・・・苦しい・・・辛い・・・でもそんな気持ちすら飲み込んで、僕は進んでいく。
デモルゴンまでの距離、50メートル、ここまで数秒と経過していないにも拘らず、僕の体はボロボロで、右足を失っていた。それでも前だけを向いて、魔術と自分の体を最大限に活用して進んでいく。
デモルゴンまでの距離、25メートル、既にデモルゴンの巨体は視界を埋め尽くし、僕は魔術によって左腕も失った、しかし止まることなく突き進んでいく。
僕の心に宿るのは復讐心や激怒ではなく、強い義務感だった。
・・・ゥオオオオオオオオッッ
デモルゴンまでの距離、10メートル、僕は大きな叫び声を上げ跳躍した、デモルゴンの弱点がどこにあるのかは知らないが、流石に地表付近にはないだろうと考えたのだ。
デモルゴンまでの距離、5メートル、手足を失っても突き進んでくる姿に、デモルゴンは畏怖を感じたようで、少しだけ後ろに下がった。
それで、少しだけ距離が遠のいたが、僕の跳躍は勢いを衰えずにどんどんと近づいて行く。
僕の頭は過去最高に集中し、ほとんど時が止まっているようにすら見える。
魔術が僕に近づいてきた、避けることはできるのだが、僕の体は既に満身創痍、避ける体力すら勿体ない。しかし体は跳躍の反動で勝手に、デモルゴンの下に進んでいった。
デモルゴンまでの距離、0・・・・・・・・・
まだ伏線は終わってません。




