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5 溺れる蛟、あるいは


「溺死遺体が多発だとさ!」

「呼吸できずもがいて苦しみながらって、地味にこえーな」


黒服たちが会話している。水色髪のメイドが彼らにお茶を運んでいた。


「殺子もメイド服を着てみたらどう?」


オルティナはコークを飲みながらジャンクなフードを食べる。


「お茶はいかがですか?」

「コークがあるので結構です~」


オルティナが断りカップを返す。


「それにしても、最近はミステリー小説並みに事件が多いですね~犯人は現場に戻る!!なんちゃって」


博士は空のカップを差し出しメイドが茶を注いで去った。


「ニュースにならないだけで事件なんて日常茶飯事だよ」


罪を犯すものがいる限りどこかで何件も事件はおきている。


「呼び出しの音です!!」

「へーワタシにはなんも聴こえないけど」


私達が移動することを知ると、やはり不思議そうにして研究所に向かった。



「これまでは事前にターゲットのリストがあったね?」


すぐに任務の内容を聴けると思っていたら、とつぜん問いかけられた。


「はい」


いつもであればオルティナからターゲットの名や経歴の情報を話される。


「今回は現状だとリスト外なんです~」

「近頃、男ばかり狙われる溺死事件が起きているのは知っている?」


男の溺死と聞いてふと白雪の君を思い出す。


「はい。その事件が自殺ではなく他殺で、ターゲットがやったというところですか?」


私は頷いて、今回の任務はそれかたずねる。


「それがまだ犯人が特定できていないわけなんですよ~」


今回の溺死事件、ターゲットが絡んでいるからこそ私に命を出したのだと思っていた。


「犯人が中々尻尾を出さないの犯行現場が水場だと特定はできるけどまるで透明人間のように姿を見せない」


つまり起こしている者が誰かを突き止め、ターゲットならば始末することになる。


「わかりました」


まずは現場となりうる川や湖へ足を運び、犯人の痕跡を探す。


「今朝ここで死んでたらしいよ」

「どうせ酔って足を滑らせたんだろ」


野次馬の中年の女、その隣の男が言った。現場にはすでに近隣の野次馬や警察が張り込んでいた。


「……あ」


しかし私は遠慮なく入ると、警察の若い男にぶつかってしまった。


「お嬢さん、だめじゃないか勝手に入ったら」


私の気配はさすがに触れたらバレるようだ。


「この姿を見てもらえばわかるでしょうけど、私は探偵なの」

「嘘のわりには堂々としてるし……本当なのか……」


男は考え始めたので、私はそそくさと調べる。溺死なので当然現場に血痕はない。

しかしなにか海面がキラキラしているのがわかる。

私はコートを脱いで川へ飛び込みそれを拾って隠し、自力で川から出た。


「アンタこの寒い時期に飛び込むなんてにやってるんだ!」


髪についた水をパタパタとはらう。

水浸しになったが任務に必要なことできてよかった。


「その格好で道を歩くのか!?」

「なにか問題でも?」


これを持ち帰って博士に鑑識してもらえばなにかわかるかもしれない。


「そのままでは風邪をひく。家まで送るから乗るんだ」


家までこられては困るので、どうしようか考えてもいると誰かに後ろから抱き締められた。


「おねーちゃん、おうちにかえろー」


水色の髪をした幼い子は杖をつきながら、私の手をひいてすぐそこの民家へ連れ込む。


「どうして私を助けたのかはわからないけど感謝するわ」


私は少年に警戒しつつ、一先ず感謝の言葉をのべると彼はくったくなく微笑んだ。


「だってあの刑事さんねーいっつも違う女の人と一緒にいるんだよー」


子供から見て刑事は女好きの悪人らしい。私があの男に狙われていたから助けたのだという。


「そうなの、純朴そうに見えたけど人は見かけによらないわ」


そうだねと言って少年はベッドに座る。


「具合がわるいの?」

「ううん、昨日足を怪我して腫れちゃったんだ。ごめんね湿布臭いでしょ?」


足首に包帯と湿布が巻いてあるようだが私に嗅覚はないのでわからない。


「大丈夫、気にしないで。私はそろそろ帰るわ」

「待ってそのままじゃ寒いでしょ、ストーブにで服を乾かしていって」


少年は親切からいっているのだろう。


「親は?」

「病気で死んじゃった。面倒みてくれるお姉ちゃんはいるけど、今はお仕事してるんだ」


―――そういえばどこかで少年と似たような女をみた気がする。


「もしかしてお姉さんはメイドさん?」

「うん」


やはり、水色の髪はあのメイドと同じだ。


「なんでわかったの!?」


少年はマジックでも見たかのように驚いている。


「今日お姉さんを見かけたの」

「こんなに綺麗な人がいるお屋敷なら教えてくれればよかったのに……」


子供に言えないような職業の屋敷だから仕方がないだろう。


「乾いたから帰るわ」

「お姉さん、また会える!?」


少年は一人でいるのが寂しいのだろう。


「またくるわ」


任務の合間ならばきっと大丈夫だろう。


「おかえり」

「現場でみつけた」


私は博士に拾ったものを渡す。それは輝くプラスチック片のようなものだ。


「ぱっと見ずいぶんデカイ魚の鱗みたいだね。まあ鑑識するまで待機してなよ」


これは些細なことであるため、完遂するまで報告しなくていいだろう。

鑑識が済むまで部屋にいることにした。


「殺奇」

「はい」


クインディテが部屋に入ってくる。


「なにか言うことは?」

「報告の件ならば今回は犯人の手がかりらしきものを発見しただけなので、始末してからと思っていました」


怒っているようには見えないが、落胆しているようにも見える。


「たしかに逐一報告しろとはいっていないし、その件ではないから」


言われていないことは必要ないと自分で判断したが、それは間違えていなかったようでよかった。

しかしそれではないなら、あの件だろうか。


「ああ、もうしわけありません。川へいった際、警察と接触してしまいました」

「奴等に証拠を奪われる前に回収したことは良しとするけど、お前川に飛び込んだそうじゃないか」


情報係りが私の行動を見ていたようだ。


「死なないので大丈夫です」

「でも魔力は物理世界の水で遮断される。気をつけないとだめなんだよ」


水に入ったら大気に含まれる魔力を吸収できなくなる。

それはつまり私が死ぬことを意味しているのか。


「はい」


―――どうしてなのか、わからない。

だけどまだ死ぬわけにはいかない。



私は調査の為ではなく少年に会いにいく。

川のすぐ近くを通りかかるとあの場からは警察はもう撤退していた。


「たすけてくれええ!!」


中年男性が川で溺れている。しかし私は水に浸かることがダメなのだと昨日知った。


「まってろいまいくぞー」


それがクインディテならば助けただろうが無視してみなかったことにした。


「あ、お姉さん!」

「怪我はどう」


知り合ったのは昨日なのに治っているわけはないが普通の人間が使う通例の台詞できいた。


「昨日より痛みはひいたよサチ子お姉ちゃん」


私がつけられた名前は殺子だが、一般的に物騒な単語な為に偽名を言わざるをえなかった。


少年は足が痛かったのに私を助けに歩いてきたといった。


「え……」


目から水滴が出るとそのまま床に落ちた。

なぜか私は何も感じないのに、身体のどこかが異常をきたしている。


「どうしたの……?」

「わからない」


私はどう思ってこうなったのか、帰ったら博士にたずねてみよう。


「あのね、お姉ちゃんにサチ子ちゃんのこと話したんだ!」

「そう」


少年の姉は同業というよりも悪の組織で雇われたメイド。

殺し担当の私が大切な弟に近づいていい気はしないだろう。


「それでね、あまり困らせたらだめだよって」

「貴方は年のわりに落ち着いているわ」


姉と二人暮らしとなればおのずとそうなるのは必然ともいえる。

私は少年とカード遊びをして帰った。



「偉いね殺子」

「なにが?」


博士に鑑定結果をたずねにいくと、顔をみるなり急に言われた。


「だからさーあんた偶然とはいえ犯人と解る前から犯人に接触してたみたいなんだよね」

「それは鑑定した鱗の持ち主と私が接触したということね」


しかしその犯人とは一体だれなのだろう。


「それはね、人魚」

「その鱗は人魚からはがれたものと言いたいの?」


人魚がこの一般市民街で彷徨いているとは思えない。


「むかしセルデの研究員が妖精姫とかいう生命力吸収者(エナジーバキューマー)を作る実験をしたら、失敗して水中を泳げる人魚ができたんだってさ」


妖精姫とは植物の怪物と悪魔が融合されたものらしい。


「その人魚があろうことかここに忍び込んでてね。髪が水色、といったらもうわかるだろ?」

「メイド……」


あのメイドがスパイ、つまり弟である少年はメルヒエドに捕まってしまう。


「私……いってくる」

「おーまあ頑張れ~」


私は少年を探しに小さな家へ向かったが、嘘のように裳抜けの空だった。

私はまるで幻をみていたのだろうか、誰がいたとも痕跡もない。

私は鱗を持ちながら彼らのいるであろう水場を探す。


『犯人は現場に戻る!!』


―――私はまたあの家へ向かう。


「あんた、鱗持ってるわね?」


あのメイドをしていた女がそこにいた。


「貴女の足がなんともないならこれは」


少年が足を痛めたのは鱗をなくしたからなんじゃないかと今なら想像がつく。


「お察しの通り、マリオルのものだけどまあメルヒエド首領の飼い犬が易々と返してくれるわけないでしょ」

「いいえこんなもの持っていても仕方がないから」


私が鱗を投げると女はそれを受け取った。


「なにかの罠?」

「貴女が一連の溺死事件の犯人ね」


彼女が犯人でないと言っても、疑わしきは罰する社会なのでしかたがない。

現場に落ちていたものは博士が鑑定済みで、無駄で――――


「え……」


私は鑑定された鱗がもう彼のだってわかっている筈なのに、認めたくなくて彼女を犯人だと言ってしまった。

あんなにも優しそうな少年が残忍な事をしてそれでも無邪気に笑っていることを、信じたくなかった。


「ワカラナイ……ワカラナイ……」


私はその場に膝をついて頭を抱えてそのまま意識を手放した。



「おはよう」


目が覚めると私は狭くて粗末なベッドにいた。

微笑みながら顔をのぞきこまれている。


「貴方はたしか、マリオル」

「教えてないはずだけど、アリエラから聞いたんだね」


彼は小さな手で私の頭を撫でると、眠っていいんだよという。

私は人間のように睡眠はできないけれど、これなら眠りにつけそうだと思った。


「鱗ってまるで花弁みたいだよね」

「……そう?」


形はなんとなく似ているが柔らかくない。


「僕らの母親はお金にこまってイカれた研究者に売ったんだ。気がついたら海の中で息ができるようになっていたし、水がかかれば鱗が生える」


少年は笑顔のままで自分達の過去をかたっている。


「海なのにまるで篭の鳥だよね」

「半年前に産まれたばかりの私には苦しみはわからないけれど貴方たちは何が目的なの?」


彼らは苦しいのに何故生きている。そんなに嫌な人生なら死ねばいいのではないか。


「とにかく幸せになることだよ。生まれてからいいことなかったけど、いつか幸せになるために他の人を犠牲にして生きる。聖人君子ならともかく同類の人殺し共に文句は言わせないさ」


殺して犠牲にしていることに対する非情さなど殺し屋の私たちが言えた義理ではない。


「どうして私はここにいるの?」

「僕が……お姉さんを気に入ったから。はじめは組織を探ってボスに報告するだけのつもりだったけど、まさかの大魚を釣れたよ」


彼らは組織の頭に私を捧げるつもりなんだろう。


「私は他の組織のトップに会うつもりも殺される気もない」

「誤解しないで、個人的にだから」


マリオルは悲しそうに眉を下げ両手を握った。

これが本心なのか、もう素直に信じられなくなっている。


「あのね、一つ嘘ついたことがあるんだ」

「なにを」


そろこそ私をボスへつき出さない約束だろう。


「あの警察のお兄さん、別に女たらしとかじゃないんだ」

「……?」


たしか彼が私を助けたときにいっていたような。


「お姉さんを見て、一目で仲間だと思ったんだ」

「仲間?」


彼のいっていることが私にはわからない。

人間として生まれ改造された彼と、初めから人間と違うものに生まれた私。

それがどうして仲間と呼べるのだ。


「私は人間ではない。なのに仲間?」

「そうだよ。たとえ人間と猫だって魚が好き同士なら仲間でしょ?」


つまり同じものが好きなら種族が違えど仲間。彼はそう言いたいのだと理解はした。


「一週間前セルデのボスは僕達に君を捕まえろと命令した。でも僕らは組織に好きで入ったわけじゃない。

早く仕事を終わらせて、さっさと次の組織ににいきたいと思っていたら、突然ボスと右腕が消えて組織もなくなってた」


それは私が彼等を倒したからだ。

組織を奪ったのが私だと知っているのかいないのか、であればそれをどう思うのだろう。


「命令するボスがいないなら私を連れてくる意味はないでしょう」


殺すのが目的ならあの場でやれただろう。研究したいなら今ごろは薬品まみれの部屋で科学者が子守唄を歌っているところだ。


「僕はただ大好きな人と一緒にいたいだけ。だってそれが幸せなんでしょ?」

「幸せというものがなんなのかわからない」


私には幸せを感じる心が欠落している。なにをもって嬉しいかなんてあるはずがない。


「お姉さん……名前なんだっけ」

「殺しの奇跡とかいてサツキ」


彼の大好きな人とは家族、つまり姉だろう。


「そばにいたいなら、姉のそばにいればいいのに」

「僕は夜は水中にいないとダメなんだ。ずっといられるわけじゃない。それに僕が一緒にいたいのは……」


彼は泣きそうな顔をして、私の肩へしがみついている。

私が人間ではないから水中でも大丈夫だと思って一緒にいてほしいというんだろう。


「私は水中では魔力が据えないから、貴方とずっと一緒にはいられない」

「大丈夫、魔力がほしいなら僕があげるから」


彼に手をひかれ、水中に落ちていく。水が私たちの周りを避けている。

まるでアクアリウムにいるかのようだ。


「どうして夜は水の中にいなくてはいけないの?」

「むかし月の魔女と海の魔女が敵対したから、僕は間に入っていないと海が荒れるんだ」


月の引力で潮の満ちひきがあるときく。


「……僕はお姉さんがいるから寂しくないよ。でも貴女は陸に帰りたいんでしょ?」

「私はやらなきゃいけない役目がある」


彼を悲しませたくはないが、どうしたらいいのだ。


「陸にいる王子様がいいんだね……」

「王子なんていないけど、毎日はこまる」


それに私は溺死犯にしてターゲットとなる彼を殺さなくてはいけない。


「……していいよ」

「……え?」


よく聞き取れずもう一度いってほしいと聞き返した。


「僕を殺してよ、このまま生きていてもいつかは殺されるし捕まる。

誰かわからないやつに死なされるくらいなら貴女の手でヤられたほうが本望だよ」


死なされたくないなら、この海にいれば安全だろう。

しかし彼は海で独りでいるのが嫌だといっている。

ここにいれば死なないが、孤独で空虚な彼はそれでは満たされない。

さすがに彼は今回のターゲットで、姉はスパイをしていたのだからこちらのボスに許されないだろう。


「私は貴方の傍にいられない。でも死んでほしくはない」


だから今はここに、独りでいてもらいたい。

いつか彼の傍に誰かが来るだろう。

それまでは泡とならぬように待っていてほしい。


「わかったよ……じゃあお姉さん、僕が大人になったら会いに来てね」


―――きっとその頃、私は生きていないだろう。


「わかった。きっと……」


それをさとい彼は気づいているか否か、それでも私は叶うはずのない約束をした。


「貴方のお姉さんについては私が説明しておくから」

「……うん」


殺すことになるとは思うが、それより幸せを探していた二人の姉弟が幸福の鳥を逃がすようにターゲットを逃がした私が危ういけれどそれでもいいと思う。


「おかえり」

「私を殺して」


私は帰還して真っ先に部屋にいくと主に斧を渡す。


「まったく……帰ってくるやいなや、いきなり殺せだなんてどういうつもりだい?」

「任務に失敗しました」


私は溺死事件の犯人について話す。


「まさかメイドがスパイで、犯人の人魚かと思いきや意外な奴が犯人ときたもんだね」


そう言いながらクインディテはこちらに迫る。


「失敗した罰は何がいいだろうね」

「……殺して」


私がクインディテの目をじっと見ているとバタバタという足音が聞こえてきた。


「大変大変!」


いきなり博士とオルティナがドアをあけてやってくる。


「あ、邪魔でしたかごめんなさい」

「いや違うだろ」

「なにが大変だって?」

「テレビみてテレビ、溺死事件の犯人逮捕だってよ!!」


私達がテレビをつけて観ると、この前の溺死事件の犯人が逮捕されたという報道が流れていた。


―――犯人は被害者の近所に住む男女。


「この顔は……」


私が現場に訪れた際にいた野次馬の中年達だ。


「犯人って人魚じゃなかったのかよ」


―――そういえば私はてっきりマリオルを犯人と決めつけていた。

しかし彼は自分が犯人だとは言っていなかった気がする。

セルデ幹部からの任務は私を捕まえることでその幹部は以前倒した者等だ。

彼は姉がここでスパイをしていたと言っていたが、溺死事件のことはやはり一言もいっていないのだ。


―――任務に失敗したが、私はなぜか満ち足りた。


「ところで今回の件の沙汰は?」


博士がクインディテに私の失敗においてどうケジメをつけるか問う。


「そうだねぇ……じゃあ……」


―――私はクインディテに命じられてある事をしにいった。


「まさかこんなことになるなんて」


私の目の前には水色髪の少年と女がいた。


命とは逃げたスパイの女アリエラを捕まえる事とマリオルを連行する事だ。


「この組織はまさに少年の宝庫ですね」

「お前がつれてきてるだけだろ、まあ人魚を調べるのは楽しみだが」


喜ぶオルティナとしらける博士が対照的だ。

彼が海に入らなくてはならないのを博士がなんとかしてくれるという。


「セルデはもうないからな、きびきび働けよお前ら」


博士はまるでボスかのように二人に行った。


「ところで、白雪の君を水に突き落としたのは貴女達のどちらか?」


今さらだが溺死ときいて彼を思いだし、私はアリエラに問いかけた。


「誰それ」

「巨人族と暮らしていたノーショタ野郎です~」


オルティナが追加して、二人は顔を見合わせる。


「僕は基本的にあの街のエリアを離れていないよ」

「せっかく大組織メルヒエドに近づいてたのに、ほいほい他の区域を歩きまわるわけない」


―――どうやら本当に知らないらしい。


「それより……お姉さん、僕頑張るから!」


マリオルが私の手を握って微笑む。

背後からすさまじい殺気がきたのは気のせいだろうか?


「なんだいあのガキは?」

「殺子までショタコンキャラになったら私の立場が……」

「お前ら大人げないな」


「今なんかぞわってした」


マリオルまでもが身震いを始める。


「私も……」


あらゆる感覚が私にはない筈なのに、不思議なこともあるものだ。



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